つい先日、かねがね見学してみたいと思っていたJBUS小松工場の見学を行ったので、その内容などと感じたことをメモしてみます。なお、工場内は基本的に写真撮影禁止ということで、文章中心記述になることをご承知おき下さい。
ご存じの通り、JBUSは日野とイスズが折半出資のバス製造企業で、観光系を小松工場で、路線系を宇都宮工場で行っているということです。なお、小松工場は元日野車体小松工場であり、宇都宮工場はイスズと川崎重工が起業したIKコーチという工場がベースになっているそうです。なお、設計部門は、JBUSにはほぼなく、観光系は日野自動車が、路線系はイスズが行っているそうで、例えばJBUS小松で製造の観光系は、日野もイズズも極細部の一部外装品を除いては共通で、エンジンも日野製が搭載されていると云うことです。
過去、トヨタ、日産、日産ディーゼル(現UDトラックス)など、新車製造プラントを各種見学してきましたが、縦に流れる製造ラインという基本構成が普通ですが、ここはかなり異なります。まず、車体の各面である6面体のそれぞれを作る工程が行われ、それが一定完了すると、6面を合体して立方体のバス車体が完成するという流れとなります。ただ、6面体の中で、左右サイドとか、上下(ルーフとフロア)はかなり大きなパネルとなりますので、それなりのジグ上に、長物レールとかパネルを仮固定して溶接作業を行っている様子が伺えます。車体修理にある程度知悉した方なら、セレットベンチという車体修正ジグを知ると思いますが、その超大型専用ジグというべき、大型定盤(12×2.5m)の上に、100を超えると見える測定および固定子を持っており、この上にサイドレールや、ルーフを仮固定し溶接していきます。なお、工場内で、極一部(たぶん溶接機でしょう)にロボットが使われるそうですが、ほとんど見掛けませんでした。
工場内の車体組み立て移動は、縦の動きもあるのですが、横に移動するトラバーサという仕掛けを多用しています。こういう点ではYoutubeで見る鉄道車両の製造に似通っていると思います。なお、ルーフやサイドリッドなどのプレス鋼板パーツは、2年前まで同じ小松市内にあるトランテックスという日野系車体メーカでプレス加工を行っていた様ですが、現在はJBUS内別棟にプレス工場を移管しているとのことでした。なお、Youtubeで見る新幹線の車体製造では、全アルミ製ボデー(主に貨物車のあおりに使用される様な引き抜きブロック材)を、NC制御のレーザー切断機などで加工しており、そちらの方がより進んでいる様にも見えます。しかし、大型バスのサイドパネル(サイドガラスとサイドリッドの間の細長い通しパネル)は、透かして見てもほとんど歪みは見えず仕上げられますが、これはトラス骨格構造を形成後、貼り付け鋼板パネルの前後の引張力を与えつつ、スポット溶接する作業が過去から行われている故です。この辺りは、新幹線がサイドパネルが透かして見るとベコベコと歪みが目立つのとは大きな違いでしょう。
角断面(50×50mm・3t程でしょう)による車体骨格(スケルトンボデーと呼ばれる)が完成し、サイドリッドなどの鋼板およびアルミ板パネル(後方サイドパネル)のサイドリッド関係の蓋物パーツが取り付けられると、塗装工程に入ります。下塗り工程は5層に横に並べられたプール(15×5×5hm)で湯洗、水洗、化成皮膜処理、水洗、カチオン電着塗装)と行い、熱硬化乾燥となります。これは、エンジンやフロントサスペンションが付くサブフレームや、各付属パーツも同じくパーツラック上に乗せられ、同一工程を行います。なお、この処理工程は乗用車の場合と基本同じですが、乗用車より約20年遅れで採用されだした工程です。更に、ご存じの方も多いと思いますが、化成皮膜処理工程ですが、リン酸塩という弱い酸液中に漬けることで、パネル表面にリン酸亜鉛被膜を形成する訳ですが、この際にパネル表面を適度に荒すことにより足付け研磨の効果を持たせる処理で、別名ボンデ処理というものです。巷市販されるボンデ鋼板とは、この処理を行った鋼板のことを指すのです。
バスの場合、ほぼ受注生産が原則ですが、上塗り塗装は基本色(ベースカラー)の塗布を自動塗装機で行い、過熱乾燥後に、顧客の指定カラーを手吹きで塗り込み加熱乾燥、更に追加塗装と繰り返して行うということで、最高で20色までを塗り込む場合があるとのことです。なお、昨今はラッピングにより代えることもできるのでしょうが、退色の問題もあり、塗装処理で行っているとのことでした。なお、これは想像ですが、乗用車両とかトラックキャブでは熱硬化樹脂塗料による加熱重合型(130℃30分)ですが、たぶん2液重合型塗料(80℃40分)の使用であろうと思います。
車体の塗装が完了すると、艤装ラインとして、ワイヤリングや室内断熱材、シート、各ガラスなどが装着されていきます。そして、別ラインで組み立てられた、前後サブフレームにセットされたサスペンションおよびエンジン駆動系のAssy部品との結合がなされます。これら、大物部品の取付の主ボルトはそれ程多くはないのでしょうが、関係する全ボルトは200本を超えるとのことでした。
写真の説明
①JBUS小松工場の正門(小松市の工業団地の一角にある)
②工場構内(工場建屋に排気筒が林立するのでここが塗装スペースだろう)
③完成車置場(ここから全国に自走で出荷なされる)
④顧客説明用デモンストレーション車のステップ部(ステップ部のLEDアレイに関心)
⑤室内装飾用アクリル(これは応用次第で作れそうだ)
⑥前部天井トリムの加賀友禅風のラッピング
⑦2年程前に私が装着したふそうのLED装飾
ご存じの通り、JBUSは日野とイスズが折半出資のバス製造企業で、観光系を小松工場で、路線系を宇都宮工場で行っているということです。なお、小松工場は元日野車体小松工場であり、宇都宮工場はイスズと川崎重工が起業したIKコーチという工場がベースになっているそうです。なお、設計部門は、JBUSにはほぼなく、観光系は日野自動車が、路線系はイスズが行っているそうで、例えばJBUS小松で製造の観光系は、日野もイズズも極細部の一部外装品を除いては共通で、エンジンも日野製が搭載されていると云うことです。
過去、トヨタ、日産、日産ディーゼル(現UDトラックス)など、新車製造プラントを各種見学してきましたが、縦に流れる製造ラインという基本構成が普通ですが、ここはかなり異なります。まず、車体の各面である6面体のそれぞれを作る工程が行われ、それが一定完了すると、6面を合体して立方体のバス車体が完成するという流れとなります。ただ、6面体の中で、左右サイドとか、上下(ルーフとフロア)はかなり大きなパネルとなりますので、それなりのジグ上に、長物レールとかパネルを仮固定して溶接作業を行っている様子が伺えます。車体修理にある程度知悉した方なら、セレットベンチという車体修正ジグを知ると思いますが、その超大型専用ジグというべき、大型定盤(12×2.5m)の上に、100を超えると見える測定および固定子を持っており、この上にサイドレールや、ルーフを仮固定し溶接していきます。なお、工場内で、極一部(たぶん溶接機でしょう)にロボットが使われるそうですが、ほとんど見掛けませんでした。
工場内の車体組み立て移動は、縦の動きもあるのですが、横に移動するトラバーサという仕掛けを多用しています。こういう点ではYoutubeで見る鉄道車両の製造に似通っていると思います。なお、ルーフやサイドリッドなどのプレス鋼板パーツは、2年前まで同じ小松市内にあるトランテックスという日野系車体メーカでプレス加工を行っていた様ですが、現在はJBUS内別棟にプレス工場を移管しているとのことでした。なお、Youtubeで見る新幹線の車体製造では、全アルミ製ボデー(主に貨物車のあおりに使用される様な引き抜きブロック材)を、NC制御のレーザー切断機などで加工しており、そちらの方がより進んでいる様にも見えます。しかし、大型バスのサイドパネル(サイドガラスとサイドリッドの間の細長い通しパネル)は、透かして見てもほとんど歪みは見えず仕上げられますが、これはトラス骨格構造を形成後、貼り付け鋼板パネルの前後の引張力を与えつつ、スポット溶接する作業が過去から行われている故です。この辺りは、新幹線がサイドパネルが透かして見るとベコベコと歪みが目立つのとは大きな違いでしょう。
角断面(50×50mm・3t程でしょう)による車体骨格(スケルトンボデーと呼ばれる)が完成し、サイドリッドなどの鋼板およびアルミ板パネル(後方サイドパネル)のサイドリッド関係の蓋物パーツが取り付けられると、塗装工程に入ります。下塗り工程は5層に横に並べられたプール(15×5×5hm)で湯洗、水洗、化成皮膜処理、水洗、カチオン電着塗装)と行い、熱硬化乾燥となります。これは、エンジンやフロントサスペンションが付くサブフレームや、各付属パーツも同じくパーツラック上に乗せられ、同一工程を行います。なお、この処理工程は乗用車の場合と基本同じですが、乗用車より約20年遅れで採用されだした工程です。更に、ご存じの方も多いと思いますが、化成皮膜処理工程ですが、リン酸塩という弱い酸液中に漬けることで、パネル表面にリン酸亜鉛被膜を形成する訳ですが、この際にパネル表面を適度に荒すことにより足付け研磨の効果を持たせる処理で、別名ボンデ処理というものです。巷市販されるボンデ鋼板とは、この処理を行った鋼板のことを指すのです。
バスの場合、ほぼ受注生産が原則ですが、上塗り塗装は基本色(ベースカラー)の塗布を自動塗装機で行い、過熱乾燥後に、顧客の指定カラーを手吹きで塗り込み加熱乾燥、更に追加塗装と繰り返して行うということで、最高で20色までを塗り込む場合があるとのことです。なお、昨今はラッピングにより代えることもできるのでしょうが、退色の問題もあり、塗装処理で行っているとのことでした。なお、これは想像ですが、乗用車両とかトラックキャブでは熱硬化樹脂塗料による加熱重合型(130℃30分)ですが、たぶん2液重合型塗料(80℃40分)の使用であろうと思います。
車体の塗装が完了すると、艤装ラインとして、ワイヤリングや室内断熱材、シート、各ガラスなどが装着されていきます。そして、別ラインで組み立てられた、前後サブフレームにセットされたサスペンションおよびエンジン駆動系のAssy部品との結合がなされます。これら、大物部品の取付の主ボルトはそれ程多くはないのでしょうが、関係する全ボルトは200本を超えるとのことでした。
写真の説明
①JBUS小松工場の正門(小松市の工業団地の一角にある)
②工場構内(工場建屋に排気筒が林立するのでここが塗装スペースだろう)
③完成車置場(ここから全国に自走で出荷なされる)
④顧客説明用デモンストレーション車のステップ部(ステップ部のLEDアレイに関心)
⑤室内装飾用アクリル(これは応用次第で作れそうだ)
⑥前部天井トリムの加賀友禅風のラッピング
⑦2年程前に私が装着したふそうのLED装飾