シム(shim)とは、機械などにおいて、その取り付け位置や隙間などを調整するために用いる詰め物で、いわゆるスペーサーとも呼ばれるものと同義語です。
クルマに使われるシムやスペーサーとしては、昔のダブルウィッシュボーン・サスペンションにおいて、アッパーアームのフレームへの取付部などに良く見られたものでした。また、二分割プロペラシャフトにおいては、センターベアリング部で高さが一直線になることが望ましく、その調整のために多用されていたものでした。
それと、ボデーでもドアヒンジ部に挿入されて、ドアチリの調整がなされている様なクルマも時々見掛けたものです。
しかし、昨今のクルマは、シムやスペーサーの使用を見掛けることが少なくなったと感じます。これは、特にモノコックボデーにおいては寸法精度が著しく向上したことによるものと想像されます。現在のクルマでは、いわゆる蓋物部品と云われるボンネットや各ドアなどの取り付けボルトは、取り付けボルトのフランジ部がテーパー加工された、センタリングボルトが使用されており、新車時の状態においては、調整なして各チリがドンピシャとなる様になっています。ただ、事故修理などにおいて微調整したい場合は、通常ボルトを使用すれば、ある程度は調整可能な様に考慮はされています。
モノコックボデーの場合は、プレス加工や組み立て溶接治具の精度性能向上により、寸法精度は向上した訳です。しかし、ランドクルーザーの様なフレーム付きRV車でのフレームは、そこまでの寸法精度はないものと想像されます。これは、その組立が、熱歪みの少ない抵抗スポット溶接でなく、アーク溶接によることだとか、フレーム素材の板厚がありプレス加工の精度に限度があるとか多々あるのでしょう。
ところで、過去に見て来た中で、凄いシムが多用されたクルマがありました。それは、GM・シボレー・コルベット・スティングレーなのでした。このクルマは、米国車で唯一とも云えるスポーツカーで、代々モデルチェンジしながら作られ続けているクルマですが、初代は除き、2代目以降はFRPボデーでシャシフレームを持つという構造は踏襲されています。そこで、フレームの寸法精度が低いこともありますが、FRPボデーの寸法精度が低いこともあったのだろうと思います。ですから、とんでもないところにスペーサーが挿入されており、ビックリする訳です。ただ、こうした新車製造時のシムやスペーサーの使用というのは、製造ラインの工数を上げますから、生産能率を下げコストを上昇させます。
しかし、修理する立場から見れば、調整余裕があるということは、自由度が高い(ある意味ごまかせる)ことであり、悪い側面だけではなかったのです。
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