私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

ステア・バイ・ワイヤを思う

2008-07-23 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険

 前々からクルマにおけるバイ・ワイヤ技術関連のことは何度か記して来ました。ところで、ステアリング機構のバイ・ワイヤ技術ですが、現在の段階でアクティブステアリングやVGRS等と云ったステアリングホイールとフロントタイヤ間の非線形な動作が実現されて来ています。しかし、ステアリングホイールとステアリングギヤ間に一切の機械的な接続を持たない様なものまでは採用なされてはいません。これは、現時点で技術的には可能であっても、万一のフェイルセーフ上から無理からぬことと思います。

 ここで今から23年前、1985年8月15日に発生した日本航空のボーイング747の墜落事故のことが思い出されます。この当時の747の操縦系統は完全なフライ・バイ・ワイヤ化なされていた訳ではありませんが、各翼の操縦翼であるエレベーター(昇降舵)やエルロン(補助翼)を駆動している油圧が総て失われたことにより操縦不能となり、エンジンの出力制御のみできる状態で約30分飛び続け、墜落し500名以上の命が失われたものです。航空機の場合はクルマ以上にフェイルセーフの思想は強く取り入れられているはずで、油圧系統も二重化する等の対策は取られていたのでしょう。しかし、破損部位によっては、本事故の様に総ての操縦翼の動作が不能となる自体が現実に生じてしまったのです。

 この様な問題への挑戦という問題はあるものの、ステアリング機構の完全なバイ・ワイヤ化は何れ実現するものと想像されます。この装備により、タイヤの摩擦限界内ですが如何なる状態でも完璧なニュートラルな操舵特性を持つクルマや、将来の完全自動操縦のクルマの実現にも近づいて行くものと感じます。




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