メディア変遷の諸行無常

　過日、東芝がＨＤ－ＤＶＤから撤退するとの発表がありました。これで、次世代の光ディスクメディアは、ＢＤ（ブルーレイディスク）に収束することとなりました。今回の出来事を持って、東芝を非難するかの様な意見もありますが、技術革新という宿命の中でやむを得ない現象の一つであろうと感じます。
　過去から、メディアの不統一に関わる問題は、ビデオテープでのＶＨＳとベータが併売されるという問題がありました。また、光ディスクではレーザーデスクとＶＨＤという併売もありましたが、この時の勝利したレーザーディスクも、その後のＤＶＤメディアの登場により今や見掛けることもなくなっています。パソコン用の磁気記録装置であるフロッピーディスク（ＦＤ）も、当初の８インチから５インチへ、そして３.５インチへと小型化されて行きました。そして、今やＦＤは、あまり使用されることもないメディアとなりました。この様に記録メディアは、技術革新により小型・大容量化（高密度記録化）の方向に絶えず変化して行かざるを得ないものなのでしょう。それによって、消費者は最終的な利益を得られるのです。今回のＢＤメディアも、何年か先にはＨＤＴＶ以上の高画質動画の登場もなされるでしょうし、それに伴いさらに高密度記録の大容量メディアも登場しつつ変遷していくのでしょう。正に諸行無常のメディア変遷です。
　ところで、今回の東芝のＨＤ－ＤＶＤの撤退に関して、驚いたことに東芝の株価は上昇しているのだと伝わります。どうやら、東芝は、相当に無理をしてＨＤ－ＤＶＤの普及拡販を続けており、同関連の業績は赤字であった様です。それが解消され、東芝本来の強みに集中することで、業績向上を予測する株主が多いと云うことの様です。