最近はTVでも見る機会のない(つまり感心が薄まった故)F1グランプリであるが、1960年代末期から1980年代初頭まで、およそ20年近く多くのF1チームのグランプリマシンに搭載され活躍したエンジンが、Ford DFVだ。F1での総優勝回数155回にもなると聞く。このエンジンは、新興レーシングエンジンメーカーたるコスワース社がロータス社からの要請を受け開発に着手したが、資金難からフォード社のスポンサードを得て開発された、3L・V8の4弁エンジンだ。
中村良夫氏は自著の中で、このエンジンを「正に玄人の作ったエンジンだ」の旨を賛辞として記述しているが、(想像するに自らの反省の念も込め)アマチュアリズムを廃し、凝った機構でピークパワーだけを狙わず、パワーバンドを広げつつ、メインテナンス性を高め、当然エンジンはモノコックエンドのバルクヘッドに剛結されリヤサスペンション系の反力を負担(ストレスメンバー)できることをコンセプトとしていた。
当初はロータス社だけがDFVを積んで、いきなり初戦でポールポジションから優勝を飾った。ところが、このエンジンの独占を目論むロータス社の思惑と異なり、フォード社は同エンジンを市販供給することになった。一時は、全F1コンストラクター中、フェラーリを除くすべてが、DFVを積む自体にまで至ったという。当時のF1は、シャシはコンストラクター毎に異なるが、エンジンはDFV、クラッチはボルグ&ベック(現:ボルグワーナーに吸収)、ミッション(5MT)はヒューランド(FG400)というのが多くの定番だった様だ。
ここでギヤのことについて2つ記してみたい。まずDFVのカムを駆動する複数のアイドラギヤを介したギヤトレインであるが、市販車ではまず使われることはない。クランクシャフト自体も回転変動するし、カムギヤは駆動反力の変動が著しく、ギヤに必用なバックラッシュ(無いと歯面が焼き付く)で、打音が酷くなることは明らかだからだ。まだ、このDFVも、開発当初は、ギヤの共振による破壊が生じていたという。想像だが、アイドラなどのギヤの歯数を変えて、共振点を常用域から追い出すことで解決した様だ。
もう一つ、ヒューランドのギヤをネット画像で見ると、1~5までスパーギヤ(平歯車)の様だ。市販車では、まずスパーギヤ-は使わない。スパーギヤーを使うのは、常時噛み合いでないリバースだけは、ギヤを移動して噛み合わせるためスパーギヤを使うのが普通なのだ。だから、バックだけヒューンと唸る音が生じる訳だ。ということで、1から5まで、ヒューン、ヒューンと唸るスパーギヤではなく、ヘリカルギヤ(斜め歯車)を使い、静粛なギヤ駆動を行っているのだ。
※エンジン断面図で、ギヤトレインの様子が判る。クランクとカムギヤの間は4枚のアイドラギヤで駆動している。それと、インテークポートの形状は、見事に直線的で、これぞレーシングエンジンという感を持つ。
中村良夫氏は自著の中で、このエンジンを「正に玄人の作ったエンジンだ」の旨を賛辞として記述しているが、(想像するに自らの反省の念も込め)アマチュアリズムを廃し、凝った機構でピークパワーだけを狙わず、パワーバンドを広げつつ、メインテナンス性を高め、当然エンジンはモノコックエンドのバルクヘッドに剛結されリヤサスペンション系の反力を負担(ストレスメンバー)できることをコンセプトとしていた。
当初はロータス社だけがDFVを積んで、いきなり初戦でポールポジションから優勝を飾った。ところが、このエンジンの独占を目論むロータス社の思惑と異なり、フォード社は同エンジンを市販供給することになった。一時は、全F1コンストラクター中、フェラーリを除くすべてが、DFVを積む自体にまで至ったという。当時のF1は、シャシはコンストラクター毎に異なるが、エンジンはDFV、クラッチはボルグ&ベック(現:ボルグワーナーに吸収)、ミッション(5MT)はヒューランド(FG400)というのが多くの定番だった様だ。
ここでギヤのことについて2つ記してみたい。まずDFVのカムを駆動する複数のアイドラギヤを介したギヤトレインであるが、市販車ではまず使われることはない。クランクシャフト自体も回転変動するし、カムギヤは駆動反力の変動が著しく、ギヤに必用なバックラッシュ(無いと歯面が焼き付く)で、打音が酷くなることは明らかだからだ。まだ、このDFVも、開発当初は、ギヤの共振による破壊が生じていたという。想像だが、アイドラなどのギヤの歯数を変えて、共振点を常用域から追い出すことで解決した様だ。
もう一つ、ヒューランドのギヤをネット画像で見ると、1~5までスパーギヤ(平歯車)の様だ。市販車では、まずスパーギヤ-は使わない。スパーギヤーを使うのは、常時噛み合いでないリバースだけは、ギヤを移動して噛み合わせるためスパーギヤを使うのが普通なのだ。だから、バックだけヒューンと唸る音が生じる訳だ。ということで、1から5まで、ヒューン、ヒューンと唸るスパーギヤではなく、ヘリカルギヤ(斜め歯車)を使い、静粛なギヤ駆動を行っているのだ。
※エンジン断面図で、ギヤトレインの様子が判る。クランクとカムギヤの間は4枚のアイドラギヤで駆動している。それと、インテークポートの形状は、見事に直線的で、これぞレーシングエンジンという感を持つ。