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今労働者の基本形が弾圧されている(関西生コン労組弾圧事件)

2021-09-11 | 事故と事件
今労働者の基本形が弾圧されている(関西生コン労組弾圧事件)
 日本にはおよそ6千万人の労働者がいると云われている。
 戦後、アメリカの押し付け憲法だと云われながらも、現行憲法では以下の様に憲法28条で労働者の権利を明文化している。

第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

解説
大日本帝国憲法にはなかった規定である(そもそも制定当時工業労働者の労働運動自体がほとんど存在しなかった)。第二次世界大戦後の経済民主化政策の一環として労働組合の育成という要請がなされ、それを受けて憲法に明文化された。当権利・人権の性格上、私人間にも適用されるとされる。

団結権
 労働組合を結成する権利。労使関係において立場の弱い労働者が、団結することで自分たちに有利な労働条件を確保することを目指す。

団体交渉権
 労働者が団結して使用者と交渉し、労働協約を締結できるようにする。なお、文言上は団体交渉は団体行動の一例として掲げられているものと読めるが、解釈上は、団体交渉権と団体行動権は別のものと考えられている。さらに、文言が「勤労者」となっているため、労使関係にあるかないかに関わらずその他の働き方に対しても、利害関係のある者との間に団体交渉権が保障されるべきとの見解が、委託・請負・フランチャイズ契約で働く勤労者およびそれらを支援する有識者の間に広がっている。

団体行動権
 ストライキなどの争議行為をすること。この団体行動権は団体交渉権の裏付けにもなるものである。ただし、これが発動されることによって多くの国民が不利益を被るような職種の場合、公共の福祉の観点から団体行動権が法律で制限される場合もある。なお、条文上は「団体交渉その他の団体行動をする権利」とあり、(別個のものを列挙する際に用いる)「その他」ではなく(それ以前に示したものが例示であることを示す)「その他の」であることから、団体交渉権は団体行動権の一種とも読めるが、一般に、団体交渉権と団体行動権は別個のものとして理解されている。

 しかるに、過去の中曽根内閣時代に国鉄は全国JR各社に分割民営化されたが、建前の公式としてはともかく、これは国労という労働組合潰しが最大の目標であったと云われている。

 そして、今、関西生コン支部という労組を中心とした組合員労働者に、憲法の規定を無視した弾圧が続けられていることを全国6千万人の労働者は意識しなければならない。

 つまり、関西生コン関係で、90名近い逮捕者を出し、長期拘留の上(例の人質司法)で起訴、警察、検察、判事が、共謀して、憲法28条の規定を無視し、強要未遂罪、恐喝罪、業務妨害罪などで立件起訴され、有罪判決を受けているという実態がある。

 そもそも関西生コン事件の細部を知っていくと、警察の実働部隊は組織犯罪対策課(通称マル暴)なのだ。労組事件なら、公安課とか生活安全課が通常の実働部隊課となるのだろうが、あまりに不自然だ。

 では、何故関西生コン労組が狙い撃ちの様に、こうして司法という国家組織ぐるみで弾圧を受けるのだろうか。それは、関西生コンの組合としての統率力が強く、個別の生コン企業(おおむね中小零細企業)では歯が立たないのだが、その上位に位置するコンクリート製造メーカーとかゼネコンは、いわゆる下請けへ隷属する圧力が凄まじいところが起因になっていることが読み取れる。そもそも、独占禁止法を管轄する公正取引委員会では、下請法という法令を策定して、親会社の優越的な地位の乱用を禁じているのだが、なかなか大企業の罪を咎めるということを手控える傾向がある。そんな環境の中、最下層の生コン会社では、中小企業だから独占禁止法を逃れられる協同組合を作り、関西生コンとも連動して親会社に対する発言力を一時は発揮してきていたのだ。ところが、近年、親会社が政治的な関与力を与えていると考えられないが、国家司法組織として、関西生コン労組員を中心に憲法条文を無視した弾圧を仕掛けているということなのだ。

 しかし、バブル崩壊以後、大企業優先で。消費税率のアップと法人税の軽減がセットで行われつつ、グローバリゼーションだとか新自由主義とかさももっともらしい理屈を付けて、派遣労働をあらゆる業種に認め、派遣者は人件費じゃなくて物件費で必用な時だけあてがい、正社員とケタ違いの福利厚生コストを切り捨てることで減価低減し、大企業は利益を出している。一方、派遣労働者以外とか、正社員であっても中小零細企業では、例え正社員であっても、大企業とは大きな格差のある給与に甘んじざるを得ないという現実がある。

 だいたい、今次のコロナ病変にともなう持続化給付金だとかオリンピックの各経費の扱いで、一部露見した、電通だとかパソナなど大企業たる元請けが中抜きして末端に支払うという構図の実態に驚く。その中抜きは、20%とか云うレベルではなく、中には逆転した80%中抜きしているという、正に搾取(詐欺取と云って良い)という姿が浮かび上がるのだ。

 そして、私の実感としては、アベ、スガ政権として、この9年間の間に、官邸独裁主義という権力を官邸に集め続けて来たと感じる。その権力の事態は、恫喝であり、偏向した人事権の行使だろう。

 思うことを拡大して記し過ぎた感があるが、最後に返し全国6千万人の労働者に再認識してもらいたいのは、自由民主主義で憲法でも労働者の権利は明記され、その発言だとか行動は、一般の強要、恐喝、業務妨害は適用除外になるべきもので、そのための団体行動も侍さずが労働組合の真髄だと云うことだ。このことをないがしろにすると、労働者は一方的に搾取だけされる存在にしかなり得ないということは、個々人が意識しておくべき最低限のことだろう。


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