私は、工場立会に際(暇な時は近くに行った際立ち寄り)、その対象工場の内部や駐車場の総てを隈無く歩き廻ります。そして、興味が損傷車(損傷車でない興味ある車でも)があったり、独自アイデアの作業が行われていたり、工夫された工場環境を垣間見たりすると興味深く観察して近くにいる工員と、ああじゃないこうじゃない等と話をするのが常なのです。こんなことを記すと、それは企業機密を盗んでいる等と、眉をひそめる経営者の方もいるのかもしれません。
しかし、そんな行動をしながら、見知った工員と「やあ」と声を掛け合い、苦労話を聞いたりすることが、どれだけ真実の実態の把握とその見積作成に役だって来たのかと云えば、それ相応のもがあったのだと思っています。
例えば、塗装屋さんのところへ行った際、丁度ブルーマイカ色を塗り終わったところでしたが、「やっぱ染まりが悪い(透け易い)ですか?」と聞けば、「まあね、でも思った程ではなかったよ」なんていう生の意見を聞くことができる訳です。
中には、これから修理費の打ち合わせる社長さんと話す前に、鈑金担当者と「どお、直せる(鈑金できる)?」なんて話をします。そして、社長さんと話して「○○さん(工員名)は挑戦したいって云ってますよ」なんて笑いながら話すこともあります。
それと、これは私が不案内な名古屋地区へ行って間もなくのことでしたが、結構な大規模工場でしたが、随分と元気な二代目社長さんで、えらい剣幕で煽られたことがあります。私は、こんな様子の二代目社長じゃあ、従業員にも良く思われていないだろうと、該当車を担当する従業員に探りを入れてみました。そうしましたら、予想に反し従業員の社長への反感はなく、「若いし頑張り屋だから良いんじゃないの」といったものでした。ここで、従業員の反発が聞かれたとしたら「やっぱりな」と、私は尚更突っ張った対応としてヒートアップさせられたと思います。しかし、面談で伺えない、この社長さんのことを「へーえ、そうなんだ」と思いつつ知らされ、以後は「何かと苦労があるんでしょうね」等とおだてたりしながら協定をしたものでした。
この工場の社長さんもそうですが、当初の出会いで相手の悪い面を見て反目することは多いものですが、反面の良い面を知ることで、お互いに認め合う関係が生まれることは良くあります。ここの若社長さんとも、以後は仲良くスムーズな協定ができる様になりました。(ただ、やたら清算見積の提出が遅いのにはまいりましたが。)