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豪裁判所トヨタ賠償裁定 【追報】

2022-04-17 | コラム
豪裁判所トヨタ賠償裁定 【追報】
 4/7に記した、豪裁判所がトヨタディーゼルエンジン(DG型)のDPFに欠陥があると裁定したという報だが、4/12付け日経記事(下記)によれば、若干細部が追報されている部分があり書き留めてみたい。

 これにより判ることとして、以下を抜き出した。
➀訴訟は集団訴訟ということ
②対象車両は、2015年10月~2020年4月に販売されたピックアップトラック「ハイラックス」とSUV(多目的スポーツ車)「フォーチュナー」、同じくSUV「プラド」の3車種、合計26万4000台以上
③賠償は、1車両当たり7千豪ドル(65万1000円、1豪ドル=93円換算)以上の価値が下がったという。この集団訴訟の弁護士(以下、原告側)は、全てのユーザーが損害賠償を請求すると、その額は20億豪ドル(1860億円)を超えると主張
④トヨタモーターコーポレーションオーストラリアは、「我々は一審の判決には同意していない」とした
⑤原告側が「欠陥」と訴える主張は、「DPFから煙が出て、燃費が低下して、エンジンの摩耗が大きくなった」というもの

 これら次項から、DPFから煙が出てとは排気ガスのと想定できるから、いわゆるDPFの再生機能(カーボントラップで目詰まりしたのをポスト噴射(排気行程での燃料噴射)で触媒内で燃焼させ、その高温でDPF内のカーボンを燃焼させ焼き飛ばす)により、ダイリューション(燃料がシリンダー内を降下してオイルを希釈する)などでエンジンの摩耗を促進していることを指すのだろうか。

 以前、事態の詳細は情報不足だが、現状判る範囲として記すものだ。

【過去記事】
豪裁判所がトヨタのディーゼルエンジンのDPFに欠陥認定?
2022-04-07 | 事故と事件
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/84e2794d47edfefe66183e3a12f9b69a


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トヨタ、豪州で「欠陥DPF」のなぜ 開発設計に詰めの甘さか
近岡 裕 日経クロステック 2022.04.12
 オーストラリア連邦裁判所は2022年4月7日(現地時間)、トヨタ自動車(以下、トヨタ)のディーゼルエンジンの部品であるDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)に対して「欠陥」を認める判決を出した。集団訴訟(クラスアクション)に対する判決であり、オーストラリア放送協会(ABC)などの報道によれば、対象は2015年10月~2020年4月に販売されたピックアップトラック「ハイラックス」とSUV(多目的スポーツ車)「フォーチュナー」、同じくSUV「プラド」の3車種、合計26万4000台以上だ。

 この欠陥により、クルマ1台当たり7000豪ドル(65万1000円、1豪ドル=93円換算)以上の価値が下がったという。この集団訴訟の弁護士(以下、原告側)は、全てのユーザーが損害賠償を請求すると、その額は20億豪ドル(1860億円)を超えると主張している。

 判決を受けてオーストラリアToyota Motor Corporation Australia(トヨタモーターコーポレーションオーストラリア)は、「我々は一審の判決には同意していない」とした上で、こうコメントした。「DPFの不具合を経験したお客様に対し、一貫して真摯に向き合って、車両については無償での修理対応をしてきた。一方で、影響を受けた一部のお客様に不便や迷惑をおかけしたことについておわび申し上げる。トヨタはDPFの不具合を認識後、対象のお客様に対し、有効な対策を提供すべく、継続的に取り組んできた。その都度、お客様の視点に立ち、技術的な根拠に基づいた改善策を実施し、お客様の懸念の解消に尽力してきたものと考えている。今後は一審判決について慎重に検討した上で、対応していく」──。

 一方、日本のトヨタ本社はこの判決について、「現在、裁判所の判決内容を精査しているところだ。トヨタはどの段階においても、お客様の不安を解消するために、お客様の視点に立ち、技術的な根拠に基づいた改善策を実施してきたと考えている。トヨタとしては一審判決を慎重に検討した上で、今後のコメントを出していく」とコメントした。

 現時点で公開された情報は少ない。原告側が「欠陥」と訴える主張は、「DPFから煙が出て、燃費が低下して、エンジンの摩耗が大きくなった」というものだ。あくまでも限られた情報からの分析だが、自動車のエンジンに詳しい専門家(以下、専門家)は「安全・安心上の問題はないため、リコールにはならない。ただし、不利益を被ったと顧客に思わせたのは事実。開発設計に詰めの甘い点があったのかもしれない」とみる。

 トヨタ車のディーゼルエンジンに何が起こったのか。専門家からの知見を踏まえつつ日経クロステックが独自に調べたところ、トヨタの開発設計段階で排出ガスの浄化性能と燃費のバランスについて追求の甘さがあった可能性が見えてきた。

 3車種が搭載したディーゼルエンジンは、トヨタが2015年6月に発表した「GDエンジン」(同社)だ。具体的には排気量2.8L直列4気筒の「1GD-FTV」もしくは2.4Lの「2GD-FTV」とみられる。それまでの「KDエンジン」を15年ぶりに刷新したディーゼルエンジンで、トヨタが豊田自動織機と共同開発した。生産を担っているのは豊田自動織機だ。

 特徴は2つある。1つは低燃費であることだ。1GD-FTVの場合、最大熱効率を44%と当時「世界一の水準」(豊田自動織機)に引き上げ、燃費性能を最大で15%も高めた。もう1つは、排出ガスの浄化性能の高さである。2014年から施行された現行の厳しい欧州排出ガス規制「Euro 6」をクリアしている。このために、トヨタは尿素SCR(選択還元触媒)を同社で初めて採用した。

 尿素SCRは、排出ガスに含まれる窒素酸化物(NOX)を浄化するための触媒だ。アンモニア(NH3)を無害化した尿素〔(NH2)2CO〕水を尿素噴射モジュールから排出ガス中に噴霧する。すると、尿素の加水分解で生じたNH3とNOXが反応し、NOXを還元して窒素(N2)と水(H2O)に変える仕組みだ。NOXの浄化率は「最大で99%」(トヨタ)と極めて高い。

 ところが、件(くだん)の3車種のディーゼルエンジンからは、この尿素SCRが外されている。結果的にトヨタのこの選択が、オーストラリア市場で今回の集団訴訟を招いた大きな要因になったと考えられる。・・・


#豪裁判所トヨタ賠償裁定 #1DG-FTB or 2DG-FTB


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