私の思いと技術的覚え書き

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炭素繊維のこと

2018-09-09 | 技術系情報
 炭素繊維強化樹脂(以下CFRP)は、今やハイテクの象徴みたいなイメージとして、その独特のカーボン繊維の交差模様に似せた柄が至る所に使われている。例えば内装パネリングだとか、ボンネットやルーフへのラッピングだろう。私的には何であっても偽は嫌いだし、基本的に樹脂より金属に信頼を持つと云うことだが、今や古い考え方なんだろう。前講釈が長くなってしまったが、今から10年前(2008年)のこと、住まいから15km程と比較的近い東レ三島工場に隣接する東レ総合研修センターでCFRPの講演があると聞き、参加した際の思いで話を書き留めてみたい。

 今から10年前といえ、既にCFRP材はゴルフクラブからF1マシーンのボデーや超弩級スーパースポーツカーなどに使われていて、脚光を浴びいていた。飛行機もこの時点では飛んでいなかったと思うが、B787の胴体部分をカーボン素材(正確には長尺カーボン繊維を熱硬化性樹脂に含浸させた半製品たるプリプレグ)を東レが三菱重に納入することが発表されていた。三菱重は金型上に積層したプリプレグをオートクレーブ炉内で焼成して製品化し、ボーイングに納入するという流れの様だ。クルマなどの量産品にも、近い将来、使われるだろうという機運は満々で、先の講演の参加者は200名以上だったと思う。会場から近い裾野市にはトヨタ自の東富士研究所があり、ここの関係者も多いということが小耳に聞こえる会話から感じ取れたが、トヨタ以外の全車両メーカーが来訪していたのではないだろうか。

 講演の内容の細部は、割愛させて戴くというか、あまりにも専門的な部分は理解できるスキルもないということなのだ。ただ、一つだけ、講演者の東レの方によれば、近年炭素繊維の比強度は向上してきたが、それは1本1本の繊維直径は7μm(ミクロン)という細さだが、この断面には何らかの欠陥ができ、その欠陥率に応じて比強度は低下するのだそうだ。それが、近年欠陥率を大幅に低下させうる品質向上の目処が確立され、このことが比強度を高めて来たのだと語っていた。

 以下は研修会場の東レ総合研修センターでデモンストレーションしていた展示物などの写真と解説を付ける。

①研修会場の東レ総合研修所はJR三島駅から直線道路で1km弱のところにある。なお、駅至近から研修所に至るまでの西側は東レ三島工場のかなり広大な敷地だ。
②東レ総合研修所の正面玄関。
③炭素繊維の特徴。(強い強さと剛性。炭素繊維単体で鋼のおよそ10倍の強度を持つ)
④ボーイング787の胴体部分デモンストレーション。
⑤先に同じの裏側。
⑥B787でのCFRP採用部位。
⑦鉄筋コンクリート橋脚の補強用途。
⑧プロペラシャフト利用例。従来の2分割シャフトを軽くて共振周波数が高い故に危険回転数を上げることで1本にできる。
⑨鋼材でいうH形とかチャンネル、アングル状の製品もある。将来トラックフレームにも使われるか?
⑩東レは元々東邦レーヨンであり各種合成繊維を作ってきた。エアバッグなどは66ナイロンに内面コートされたものだと思う。












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