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 私の思いと技術的覚え書き

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デンソー・米ハネウェルアライアンスから憂慮すること

2021-06-17 | コラム
デンソー・米ハネウェルアライアンスから憂慮すること
 近日、デンソーと米ハネウェルがアラインアンス契約を締結したことが報じられている。これについて、思うところを書き留めたい。

 まず、デンソーという企業だが、元々トヨタ自動車の電装部門を分離独立して成立した企業である。株式増額を繰り返した現在でも、トヨタ自動車およびトヨタ系列企業が株式の1/4以上を保持し、筆頭株主となっている企業だ。
 元々、自動車がスターターモーターとか発電機、高圧点火系など、電子と云うより電気デバイスの製造やラジエーターなどの熱交換器の製造を担う企業であったのだが、いわゆる車両の電子化の時代(バイワイヤーなど)になり、製造部品も電子回路を含んだ電子デバイス企業に変わって来ている。元々、オルタネーターの電圧制御用のICレギュレターなどから出発したのだと思うが、現在ではHVEなどのIGBTというパワー半導体素子までを自製する電子デバイス産業に業容を拡大し、納入先はトヨタ系列企業に関わらず、系列外の日本車や会社にまで拡大し、世界的な電装メーカーになっている。
 そもそも、デンソー独立直後(この時はニッポンデンソーが正式社名)に独ロバートボッシュと技術提携し、燃料噴射機構などをライセンス生産し始めたが、いわゆる53年度排出ガス規制に伴う三元触媒の採用のためO2センサーを利用したフィードバック制御がガソリンエンジンでは現在のデファクトスタンダードになっているが、この世界初のシステム改正もデンソーが成し遂げている。一方、ディーゼルエンジンにおいて、超高圧の電子制御燃料噴射(いわゆるコモンレールシステム)の実用化でも、ボッシュより先にデンソーがシステム開発を成し遂げている。ただし、コモンレールの名称はボッシュで、一般にはボッシュが開発したと思われているが、実態はデンソーの先進性は、今やボッシュを追い抜いていることは確かだろう。また、IT化の現在においてQRコードが各種場面で普及しているが、この開発もデンソーオリジナルということは、あまり知られていないことだろう。

 一方、ハネウェル社であるが、正直日本での民生品の知名度は高いとは感じられない様に思う。ハネウェルと聞いて想像するのは米軍産複合体といわれる企業群の第4番目の規模を誇る企業で、各種兵器のいわゆる制御部分を生み出している企業だ。

 今次のデンソーとハネウェルのアライアンスだが、いわゆるドローンと呼ばれる無人飛翔機の大型判である、無人の電動航空機の主に電動推進システムで、デンソーの技術力を期待している様に想像される。つまり、電動推進のプロペラの回転制御は、永久磁石回転子を持つ三相直巻モーターによるのだろうが、これのIGBTによるPWM(パルス幅制御)による電流コントロールとか、電圧の昇減圧と周波数制御による緻密でコントローラぶるな機体制御にあると想像する。

 ただ、杞憂を感じるのは、例え当初は民需用の開発だとしても、それが効果的でコストパフォーマンスが高いとなれば、即軍事用機体の製造に結び付くのは常のことなのだ。例えば、我が国で開発された、画像素子がベトナム戦争で、飛翔制御のナパーム弾頭の基幹パーツに使われたとか、カーボンコンポジット材が、即座に米航空宇宙軍事用の軽量素材として採用されてきた歴史が、事実としてあるのだ。




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