キャビテーションとは流体中に気泡(バブル)が生じると、その気泡が消滅する際に衝撃波が生じて周辺の物体を浸食する様な現象を云います。例えば、船のスクリューだとか、水ポンプのインペラの形状設計が悪いと、このキャビテーションにより破壊する場合もあると云います。軍用潜水艦では、スクリュー形状は外秘で公開しませんが、水深効率が良く、キャビテーションを起こすことがない形状に削り上げるのは相当なノウハウがあるのでしょう。また、形状が判れば、想定音源が予測できてしまうのかもしれません。
ところで、クルマのエンジンでキャビテーション絡みのトラブルが起こることが昔から知られています。これは、主に湿式ライナーの冷却水側で生じたキャビテーションにより、ライナーが浸食され、ライナー内面に貫通する無数の小さな穴が開いてしまうと云う現象です。また、ウォーターポンプのインペラがキャビテーションで浸食されて、羽がなくなってしまった等と云うこともある様です。
このキャビテーションによるバブルの生成と崩壊による衝撃ですが、悪いことばかりではありません。例えば、ショットピーニングという、小さな(数ミリ以下)鋼球の多数を比較的高速で対象物(ワーク)に吹き付けぶつけ、ワーク表面の硬度を高める表面硬化処理が知られています。これを、噴出水流中にキャビテーションバブルを内在させることで、ショットピーニングと類似の作用を行うものがあるそうです。
また、洗浄液中にキャビテーションバブルを内在させることによって、洗浄力を向上させる例もあるそうです。
その他、派遣労働者絡みで不適切発言を行う等、良識に欠けた人物と感じられる経団連会長の会社の作っているプリンタでインクジェットプリンタをバブルジェットプリンタとも呼んでいますが、これはインクノズル部で加熱することによりバブルを発生させ、そのバブル破壊による力でインクを吹き出すという原理の様です。