私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

温暖化を解決するために原発は必用という論理?

2021-04-06 | コラム
 昨今は地球温暖化対策としてのガソリン車禁止とかEV推進が特に欧州では声高に叫ばれ出している。その帳尻に日本のこれが首相かと認めがたい人物さえ同調し、発言をしだしたから、トヨタ辺りは、このままでは日本の製造業の危機を訴え始めているのが現在の状況だろう。

 ところで温暖化=CO2の増大で語られることが多く、ついては原発はCO2を出さないから必要悪だと云わんばかりの論調も復活してきた。ここで、本当に温暖化しているかという論議もあるが、それはさておいて、CO2だけが温暖化の理由にはならないと云うことを書き記しておきたい。

 そもそも原子力にしても、おおよその動力機関というものの、いわゆる熱効率(燃料の持つ熱量のどれだけが目的の動力なり発電量に寄与するか)を平たく述べれば、1/3つまり33%程度というのが一般的なことが知られている。原発もまったく同様で、熱出力300万KWの原発の電気出力は100万KW程度となる。つまり、残りの2/3にはいわゆる廃熱として捨てている。

 日本に原発が多数出来たが、すべて海際にしかない。欧州とか米国では、事故を生じたチェルノブイリもそうだが、相当の内陸部に設置されている例もある。これは何故かといえば、熱出力の70%近くを冷却のために必用として、もし内陸部に作るなら、それなりの大河川とかそれに付随する大プールが必用と云うことになるのだ。日本には、四季を通じて大流量を確保出来るさほどの大河川もないので、そもそも内陸部に電発を作ることは出来ないのである。

 しかも、世界の中で、巨大地震の20%を占めるという日本大陸は、地震が何時周辺で起こっても不思議でない知であることは、太古からの歴史が証明している。

 福島1原発の大事故も、初動の地震で原発の制御棒は全数が挿入され、いわゆる「原発は停止した」状態に自動的になった。しかし、この停止はクルマのエンジンを停止したのとは異なるのだ。幾ら制御棒を全数入れて核分裂連鎖反応が停止しても、燃料自体が指呼崩壊する熱は発し続けてしまうのだそうだ。つまり、クルマに例えれば、原発の停止はいわばアイドリング状態に近似していると云える。

 クルマのアイドリングでも微量ながらも燃料は燃え続け、熱を発し続けるから、冷却系統が不良で、冷却水がなくなればオーバーヒートを起こす。福島1で原発4機が大爆発したのも、このアイドリング状態いわゆる崩壊熱を冷却できないがためにオーバーヒートして、まずは高温でジルコニウムが分解して水素爆発を生じたのと、原子炉圧力容器の下方は4千度を超え、メルトダウンを生じたのが原因だと伝わっている。

 ここで云いたいのは、福島1が事故を起こしたのは悔やんでも悔やみきれず、これから世紀を超えて何百年もその処理に付き合うことになるのだろうが、原発とは通常の使用において、熱出力の7割近い廃熱を出し続けているということだ。つまり大量の海水を引き込んで、海水を温めることにより、冷却していると云うことだ。だから、m原発はCO2こそ、その稼働中は出さないが、膨大な海水を温めるという温暖化には相当の寄与を与えているということなのだ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。