本日(10/8)東京地裁において、2019年4月19日に東池袋地先の路上において、車両を暴走させ赤信号無視で交差点に進入し、母娘2名が死亡、その他10名が重軽傷する事故を生じさせた第1回公判が行われた。事故原因は、暴走車(プリウス20)の運転者たる飯塚被告が、アクセルとブレーキを踏み間違えたことが原因と車両に装備されたEDR(※下記参照)データの解析結果より判断し警察は起訴したものと想像する。この第1回公判が本日(10/8)、東京地裁において行われた。
本日の公判において、飯塚被告は起訴内容に付いて否認し、アクセルペダルを踏み続けたことはなく、車両になんらかの異常が発生して暴走したものだとし無罪の主張を行ったという。
ここからは私見として記す。本件については、飯塚被告は言い逃れて無罪を得ようと嘘を述べているとは思わない。飯近被告としては、あくまで自分はブレーキを目一杯踏み込んでいるという認識にあり、間違えてアクセルを踏むんだという意識はないのは当然のことなのかもしれない。しかし、車両には、ブレーキ踏んでおらず、アクセル100%踏んでいるというデータが記録されていると云うのがEDRという機能だから、このデータを証拠として提示されたら、反証するのは困難だろう。従い、飯近被告側が具体的な車両欠陥の立証できる有力な証拠を示せなければ、程なく結審し、上告しても結論は変わらないだろう。
ということで、この池袋暴走事故については、程なく結審すると心配もしていないのだ。しかし、この池袋暴走事故を遡る1年前となる、2018年2月18日に都内港区白金において、元東京地検特捜部長の弁護士・石川被告が起こした暴走死亡事故(暴走車は最新型レクサス500h・歩行者1名死亡)について(以下白金暴走事故と記す)は、今後の結審までに予断を許さないものが内在していると思える。
本白金暴走事故は、つい先日の東京地裁10月2日の公判において、検察側はアクセルを踏み込んでいた記録が車両に残されており、被告が誤って急加速させたと禁固3年を求刑したとされる。しかし、この公判は既に6回ぐらいの公判を繰り返しているのだが、被告側は停車時にシートを後方に移動させ背もたれを傾けて、乗り合わせる者を待っており、その者が来たことが見えたので、ドアを開いて右足を出したところ、クルマが動き出し、急加速するに至ったのであって、アクセルに足は届かない状態だったと主張している。
従前までの公判においては、被告の弁護人をさておいて、元検事だけあり自ら判事に主張を行うなど、普通の被告人にはなかなかできないことだろう。
さらに、石川被告側の証人として、元独立行政法人「交通安全環境研究所」(現独立行政法人自動車技術総合機構)リコール技術検証部リコール技術検証官(みなし公務員)の出川洋氏という者を出廷させ証言させている。同証人曰わく、『事故車が「ドアが開いた状態で発進したのは不具合といえる」と証言。外資系メーカーなど4社の社名をあげ、「シフトポジションがDレンジで停止しているとき、ドアを開けると自動的にシフトがパーキングに切り替わる仕組みを(それらの社は)2014年には採用した。事故は2018年2月に起きた。(トヨタは)著しく遅れている。もし前職にいれば、保安基準対象ではないのでリコールではないが、改善すべきだと国交省に報告する」と述べた。』などと証言し、あたかも車両側に事故の要因が内在していることを示唆する証言を行っている。この事故は、どの様な結審をするか、予想が付かない注目すべき事故だと云える。
※次回公判11月6日10:30 東京高裁818号法廷/事件番号:平成31年特(わ)625号
※EDR(イベントデータレコーダー)
この機能は、エアバッグ装備と共に、車両メーカーが取り入れた機能で、開発の目的はPL(製造物責任法)法への対応であった。つまり、エアバッグが作動しなかったとか作動したけど重篤な死亡に至ったとかで訴訟になった場合を想定し、事故前から事故後の限定された時間において、車速(タイヤ回転数)、ハンドル回転角、ブレーキのON・OFF、アクセル開度(%)、シフトポジション、シートベルト装着ON、OFF、エアバック装置の機能異常ON・OFFなどの諸情報を時系列に限定された時間範囲(15~20秒と云われる)を不揮発性メモリーに記録する機能だ。なお、記録する諸情報は、近年益々拡大する方向にあり、ABSの作動ON、OFF、スタビリティ装置(ESC)の作動ON、OFF、加速度センサー(X、Y、Zそれぞれ)の値など製造年度が新しい程拡大される傾向にある。また、データ記録アイテム数、サンプリング頻度、分解能、最大記録時間などを統一化させようという動きは、米国(NHTSA)などで顕著な様だが、国内でも既にH20年にJ-EDRの技術要件として策定されている。なお、本技術要件については、現在までのところ、規制などはない。
参考ページ 国交省 J-EDRの技術要件(H20/3/28)
https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha08/09/090328_.html
元特捜部長に禁錮3年求刑 暴走死亡事故、無罪主張(10月2日東京地裁公判)
2020/10/2 17:39 日経
車を暴走させ男性をはねて死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死)と道交法違反の罪に問われた元東京地検特捜部長で弁護士の石川達紘被告(81)の論告求刑公判が2日、東京地裁(三上潤裁判長)で開かれ、検察側は禁錮3年を求刑した。
論告で検察側は、車の機能に異常は認められず、被告が誤ってアクセルを踏んだと指摘。「運転者の基本的な注意義務を怠っており、過失は極めて大きい」と述べた。
公判で被告は「アクセルペダルを踏んでいない」と無罪を主張し、弁護側も「事故当時の体勢ではアクセルを踏むことは不可能で、何らかの車の不具合で加速、暴走した」と反論している。
訴状によると、2018年2月18日、乗用車を路上に止めて降りようとした際に誤って急発進させ、時速100キロ超で約320メートル暴走。東京都港区の歩道上で堀内貴之さん(当時37)をはねて死亡させ、店舗に突っ込んだとしている。
石川被告は1989年に特捜部長に就任。福岡、名古屋の両高検検事長を経て01年に退官し、弁護士登録した。〔共同〕
池袋暴走の1年前にも上級国民暴走事故があった 2020-06-24
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/6fdb97bdb42863334c385a1c05784b56
池袋暴走の1年前にも上級国民暴走事故があった その2 2020-07-08
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/8c77ca834bb3e233f12e5b592c0e1804
本日の公判において、飯塚被告は起訴内容に付いて否認し、アクセルペダルを踏み続けたことはなく、車両になんらかの異常が発生して暴走したものだとし無罪の主張を行ったという。
ここからは私見として記す。本件については、飯塚被告は言い逃れて無罪を得ようと嘘を述べているとは思わない。飯近被告としては、あくまで自分はブレーキを目一杯踏み込んでいるという認識にあり、間違えてアクセルを踏むんだという意識はないのは当然のことなのかもしれない。しかし、車両には、ブレーキ踏んでおらず、アクセル100%踏んでいるというデータが記録されていると云うのがEDRという機能だから、このデータを証拠として提示されたら、反証するのは困難だろう。従い、飯近被告側が具体的な車両欠陥の立証できる有力な証拠を示せなければ、程なく結審し、上告しても結論は変わらないだろう。
ということで、この池袋暴走事故については、程なく結審すると心配もしていないのだ。しかし、この池袋暴走事故を遡る1年前となる、2018年2月18日に都内港区白金において、元東京地検特捜部長の弁護士・石川被告が起こした暴走死亡事故(暴走車は最新型レクサス500h・歩行者1名死亡)について(以下白金暴走事故と記す)は、今後の結審までに予断を許さないものが内在していると思える。
本白金暴走事故は、つい先日の東京地裁10月2日の公判において、検察側はアクセルを踏み込んでいた記録が車両に残されており、被告が誤って急加速させたと禁固3年を求刑したとされる。しかし、この公判は既に6回ぐらいの公判を繰り返しているのだが、被告側は停車時にシートを後方に移動させ背もたれを傾けて、乗り合わせる者を待っており、その者が来たことが見えたので、ドアを開いて右足を出したところ、クルマが動き出し、急加速するに至ったのであって、アクセルに足は届かない状態だったと主張している。
従前までの公判においては、被告の弁護人をさておいて、元検事だけあり自ら判事に主張を行うなど、普通の被告人にはなかなかできないことだろう。
さらに、石川被告側の証人として、元独立行政法人「交通安全環境研究所」(現独立行政法人自動車技術総合機構)リコール技術検証部リコール技術検証官(みなし公務員)の出川洋氏という者を出廷させ証言させている。同証人曰わく、『事故車が「ドアが開いた状態で発進したのは不具合といえる」と証言。外資系メーカーなど4社の社名をあげ、「シフトポジションがDレンジで停止しているとき、ドアを開けると自動的にシフトがパーキングに切り替わる仕組みを(それらの社は)2014年には採用した。事故は2018年2月に起きた。(トヨタは)著しく遅れている。もし前職にいれば、保安基準対象ではないのでリコールではないが、改善すべきだと国交省に報告する」と述べた。』などと証言し、あたかも車両側に事故の要因が内在していることを示唆する証言を行っている。この事故は、どの様な結審をするか、予想が付かない注目すべき事故だと云える。
※次回公判11月6日10:30 東京高裁818号法廷/事件番号:平成31年特(わ)625号
※EDR(イベントデータレコーダー)
この機能は、エアバッグ装備と共に、車両メーカーが取り入れた機能で、開発の目的はPL(製造物責任法)法への対応であった。つまり、エアバッグが作動しなかったとか作動したけど重篤な死亡に至ったとかで訴訟になった場合を想定し、事故前から事故後の限定された時間において、車速(タイヤ回転数)、ハンドル回転角、ブレーキのON・OFF、アクセル開度(%)、シフトポジション、シートベルト装着ON、OFF、エアバック装置の機能異常ON・OFFなどの諸情報を時系列に限定された時間範囲(15~20秒と云われる)を不揮発性メモリーに記録する機能だ。なお、記録する諸情報は、近年益々拡大する方向にあり、ABSの作動ON、OFF、スタビリティ装置(ESC)の作動ON、OFF、加速度センサー(X、Y、Zそれぞれ)の値など製造年度が新しい程拡大される傾向にある。また、データ記録アイテム数、サンプリング頻度、分解能、最大記録時間などを統一化させようという動きは、米国(NHTSA)などで顕著な様だが、国内でも既にH20年にJ-EDRの技術要件として策定されている。なお、本技術要件については、現在までのところ、規制などはない。
参考ページ 国交省 J-EDRの技術要件(H20/3/28)
https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha08/09/090328_.html
元特捜部長に禁錮3年求刑 暴走死亡事故、無罪主張(10月2日東京地裁公判)
2020/10/2 17:39 日経
車を暴走させ男性をはねて死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死)と道交法違反の罪に問われた元東京地検特捜部長で弁護士の石川達紘被告(81)の論告求刑公判が2日、東京地裁(三上潤裁判長)で開かれ、検察側は禁錮3年を求刑した。
論告で検察側は、車の機能に異常は認められず、被告が誤ってアクセルを踏んだと指摘。「運転者の基本的な注意義務を怠っており、過失は極めて大きい」と述べた。
公判で被告は「アクセルペダルを踏んでいない」と無罪を主張し、弁護側も「事故当時の体勢ではアクセルを踏むことは不可能で、何らかの車の不具合で加速、暴走した」と反論している。
訴状によると、2018年2月18日、乗用車を路上に止めて降りようとした際に誤って急発進させ、時速100キロ超で約320メートル暴走。東京都港区の歩道上で堀内貴之さん(当時37)をはねて死亡させ、店舗に突っ込んだとしている。
石川被告は1989年に特捜部長に就任。福岡、名古屋の両高検検事長を経て01年に退官し、弁護士登録した。〔共同〕
池袋暴走の1年前にも上級国民暴走事故があった 2020-06-24
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/6fdb97bdb42863334c385a1c05784b56
池袋暴走の1年前にも上級国民暴走事故があった その2 2020-07-08
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/8c77ca834bb3e233f12e5b592c0e1804