私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

クレーン事故のことなど

2018-07-28 | 事故と事件
 つい先日(7/26)、神戸製鋼高砂製作所内で新車クレーン(コベルコ建機)の性能検査中、クレーンジブが崩壊し死傷者4名を出すという事故が生じたとのことを報道で知る。それでなくとも、クレーンに関わる事故というのは、大きく報道されないものも含めれば多数生じているのだが・・・。考えて見れば、近世になり人間は様々な巨大構築物を作って来たが、クレーンという機械があったればこそのことであろう。太古に作られたエジプトの巨大ピラミッドは、20年とか200年の制作期間を要したとか聞くが、もし現代の大型クレーンが4機揃って作業すれば、1年で完成してしまうことだろう。それだけの力量というか土木建築や機械製造の基本要素となるクレーンだが、ちょっとしたミスが事故になってしまうとも感じられる。

 今回のコベルコ建機の事故だが、クレーン建機は最大吊り過重1200トンと陸上移動型としては最大級のものだろう。未だ正式な事故原因は特定されていないだろうが、性能試験中に生じたという。この試験で130トンの重りを吊り、旋回試験を行っていたところ、事故が生じたらしい。事故写真を見るとクローラの下部走行体も、上部旋回体も転倒せず、メインジブの根元付近でラチスジブが断裂している様子であることが伺える。

 クレーンの最大荷重は天井クレーンみたいにクレーン真下に吊り下げる場合は何時もその値となる。しかし、ジブを持つものついての最大定格荷重は、最大起伏角(80°程)における最小の作業半径かつ、アウトリガーやクローラ式ではクローラ間隔を最大とした場合のものだ。起伏角を小さくしたり、ジブを伸縮出来る場合は伸ばしたりした場合は、定格荷重はどんどん小さくなる。だから、よくあるのが起伏角を大きくして手元近くで吊り上げ、旋回して起伏角を小さくして向こうに吊り荷を移動しようとしたら、コテンと転倒したりジブの曲損を生じさせる事故が起きるのだが、現在はコンピュータ式の安全装置が付いているのだが、それでも事故は起き続けているのだ。

 先に今回のコベルコ建機のクレーンは陸上型で1200トンで最大クラスと記したが、海上型のクレーン船となると4000トンクラスまでがある様だ。写真は、「海上自衛隊呉史料館(てつのくじら館)」に展示の海自の潜水艦「あきしお(約2000トン)」の揚陸釣り上げ作業だが、深田サルベージの「武蔵(最大能力3700トン)」でのものだ。こういうクレーン船は、海面上に浮いており、アウトリガーみたいな固定装置は持たない訳だが、バラストタンクにより平衡を保つ機構を持っているとのことだ。





最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。