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燃料噴射ハードウェアの考察 その3

2022-11-14 | コラム
燃料噴射ハードウェアの考察 その3
 本記事については「その2」で完結する予定であったが、最近EFI関連で実際にエンジンECU交換に至った案件を診断した実例があり、そのことを記録しつつお知らせしたい。
 本件現車は、一時抹消して明確には期間は不明だがどうやら5年程度放置していた車で、また登録して乗りたいということで中古車新規で再登録したまでは良かった。その他納車できる様に各所を整備中、ABSランプの点灯からABSアクチュエーター修理、右フロントドアロック動作不良が起きつつ右ドアロック中古取替とトラブルが連続して続いた。そして極めつけが、エンジンチェックランプが点灯し、DTC点検してみたところ、2D1Eアクセルペダルモジュールセンサー2ボルテージサプレーというエラーが出ている。

 このエラーだが、現在は国産車でも軽4までアクセルワイヤーがない、つまりアクセルバイワイヤーとなって、アクセルベダルとスロットルバルブ間は、エンジンECU制御経由でソフトウェアコントロールされる仕組みになっているが、その関連の故障だということは判った。記録がないが、DTCチェックのスキャンテスターで、ペダル開度がグラフィカル表示できるのだが、アクセル全開でも25%開度にしかならない。空吹かしでもアクセルレスポンスは悪いし、全開で踏みっぱなしにしてもエンジン回転は4千回転ほどでサチュレートしてしまう。
 そこで、他のBMW車のアクセルペダルモジュールと付け替えてみたが、現象はまったく変化せず、DTCエラーもリセットしても直らない。ここで、アクセルペダルモジュールに来ているハーネス6本の線色を頼りに、エンジンECUの同一線色間をサーキットテスターの抵抗レンジで導通テストを行ったところ、すべて0オームで異常はない。こうなるとエンジンECUしか原因はないと診断し、やむなくディーラー入庫となった。数日して、エンジンECU交換しかないとの話しとなり、(私の扱う中古車なら中古ECUとの入れ替えも検討しただろう)まあいいよとなり、エンジンECU部品代25万余と工賃消費税で総額271千円の修理費となった。

 ちなみに、ディーラーへ入庫以前に、思案する中でアクセルペダルモジュールの単体点検も試みていたので、ここにその手法の概要などを記しておきたい。
 アクセルペダルの踏み込み量の検出は、信頼性確保のため無接点式で磁気検出の手法を取っている様だが、ホール素子ICを使用した専用ICを使用している様だ。この辺りは、国産車の修理書などでもほとんど解説なされていないのだが、ペダルセンサーの出力は電圧1と2の2つの出力を持ち、誤動作などの信頼性確保を行う様になっている程度の説明がある。こういう情報と、ペダルモジュールへの配線が総計6本ということから、添付図の論理回路となっていることを想定した。
 そこで、電源となる入力電位を1および2とも5Vとして、アースとなる端子も試行錯誤で特定し、出力電圧の1と2の端子も特定した。ここで、アクセルOFF(アイドル)とON(全開)での出力電圧を計測して描いたのが添付図下のグラフと説明だ。そこにも記したが、出力電圧1と2の関係性は印加電圧として5V共通だと、出力電位は常に2倍になっていることが判った。DTCアルゴリズムとしては、主力電位が1および2それぞれがゼロか一定以上を検出することと、1と2の関係が一定の倍数であることを論理チェックしてDTC検出しているのだろう。


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