さて、今回は、沢木まひろさんの作品です。第一回ダヴィンチ文学賞優秀作品賞受賞作です。どんなあらすじかというと、、、
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『祐司が恋をしたのは、姉の婚約者』
卒業を前に進路の決まらぬ大学生・湯時は、姉が連れてきた婚約者・佐伯透に一目で恋に落ちた。
だが姉を幸せにするため、自分の気持ちを封じようとする。
そんな祐司を誘いだしたのは、透のほうだった・・・。
誰も幸せになれないとわかっていても、その恋を止めることはできなかった―。
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って、同性愛系の話かよって、びっくりもしますが(苦笑)。
カバーの紹介文には上のようにざっくり書いていますが、読み進めていくとこれがなかなか話が思わぬ方向にもすすんでいくのでどんどんとページを繰っていってしまいます。そして軸になる、二人の感情も実にうまく描写されていて真に迫ってくるものがあります。全体としては、ゲイORバイの人の永遠のテーマというかそういうものが描かれていますが、物語の終わりの方(P174あたり)で、祐司が透に対して心の中で想いを語る部分があります。自分的には、ここが真髄なのかって。自分を変えてくれるぐらい、そんな人を好きになれるってとても幸せなんだと、そしてそういう人は性別関係なく大切な存在だとあらためて感じます。この本は、一部とその数年後の二部構成ですが、二部のほうは前半はゆったりしたペースですが、後半にやはりたたみかけてきます。そしてエンディング。そこには、やはりすこし大人になった祐司の姿があったように思いました。