German Vintage Modules

ドイツ等のビンテージ業務用録音機材紹介、ラッキング、モディファイなど。

TAB / Telefunken U73b - Fine tune / Calibration 1

2013-04-12 13:50:35 | vintage gear
サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンドサージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド
価格:¥ 2,600(税込)
発売日:2009-09-09



U73b_u373aモディファイの概要としては、Stereo Bus Compとして2MIXにインサートしても問題なく使用出来るStereo Matchingと、Vari-muコンプにしては少々素っ気ない音質を「ある時期の」Beatlesが感じられるように改善する事に加え、Thresholdは現地テックによってFパネルに引き出し済みなので、+16dB固定の出力ゲインをBypass状態とコンペア出来るようにMakeup Gainを新たに増設するのがメインの作業となります。

まず、現状を把握するため測定器にかけてデータを取ったのですが、聴感上好ましいと思われる方のモジュールでも-3dB@60Hzと低域特性が腰高なV76の内部フィルター的なF特を示している事が気になります。

念のためリファレンスで使用している曲に数パターンの入力レベルやリリースタイムを設定した音声ファイルを作成して手を入れる度に良くなっているのか、悪くなっているのかが常に比較出来るような態勢を整えました。

オーナーはラッキング前にブレイクアウトケーブルで使用していた際に、本体がかなり熱くなるのを気にしていたのですが、私の印象では長時間の連続使用でもU73bは素手で持てない程の熱が出るような記憶はありません。


U73b_connecViricomなしでStereo Linkさせるためには、モジュール同士(限るU73b、U73/83はこれではダメです)の"4a"をON/OFFする事でMONO / STEREOの切替が可能になるのですが、そのブレイクアウトケーブルと後にラッキングされた内部配線を確認した所、何故か両方とも"5b"のシャーシと間違えて"5a"と0VがジャンパーされておりVari-mu回路に逆側の音声が不正に入力されてMONOモードにしても常にカップリングされた状態で妙な負荷が掛かり発熱していたのだと予想されます。

U73bの回路図ですが、ハンダ面からの見た目では"a-b"が逆になりますのでご注意下さい。

それを正常に結線し直してMONO/STEREOは正常に切り替わるようになったものの、肝心なマッチングはどうも芳しくありません。

懇意にしているテックに確認した所、どうしてもステレオペアにならない個体をステレオ使用する時に例外的に使用する荒技的な結線らしく、コネクターを確認すればスグにわかりますが、内部にアクセス出来ない際には、本体のモード切替スイッチで片方をCompモード、もう一方をBypassモードにした際に位相のずれたMONOが出力されるようならこの結線になっているとの事でした。


ここがスタート地点となった訳ですが、電解コンはほぼ全て新品に交換済みなので左右の個体差はトランス、Tube、チョーク、フィルムコンや抵抗などの何れかになる訳ですが、幸いな事にトランス単体の特性は揃っているので、加熱されていたVari-mu系のT188は多少気になるものの、入力トランスに同じものが使用されていたので入れ替えて試してみても状態に変化はないので問題なしと判断してファインチューンの作業へ取り掛かります。


U73b_recap_ver1近年では、電解コンはアキシャルが多く、チューブラそれも耐圧350V以上のモノを探すのはひと苦労なのですが、おまけに、2uf→2.2ufや4uf→4.7uf等と現在では生産されていない容量のコンデンサがU73bやV76には多数使用されています。低域特性が気になっていたので、フィルター回路になりそうな箇所はオリジナル記載の容量に差し替えてみたり色々試しましたが、聴感上も測定的にも大きな変化はないので、現地のテックに問い合わせたり、フォーラムを覗いたりして「IRT製造のモジュールはこのような特性が顕著である」事が判明したため、低域は早めにロールオフすると仮定して作業を進める事にしました。


そうなると、Tubeか余り交換したくないフィルムコンとなりますので、パーツロッカーにある手持ちのNOSパーツ以外にも新たに探さなければならないパーツが相当数ある事が判明してパーツ探しに奔走する事になります。