time capsule:th 価格:¥ 2,300(税込) 発売日:2000-12-06 |
西独製の真空管コンプレッサーと言えばU73bが有名ですが、その前身のU73とほぼ同じ回路のU83です。違いは2段目のE88CCの所の回路が少々違っていて、実際のオペレーションではU73は+6dBで作動するリミッターと緩い『Knee』のコンプレッサーの切り替えに対して、U83は+6dBと+12dBで作動するリミッターの切替となっています。カタログに『Begrenzorversärker für UKW - sonder 』と記してあり、それを例によって機械翻訳にかけると『モノFMラジオ用リミッター』らしい事が判明します。回路的には簡単な変更(1MΩ、5MΩ、10nfの追加)でU83→U73にモディファイ出来ますので有名で酷使されたU73より程度の良いモジュールが入手出来る事が期待出来ます。
このモジュールは以前V76/80用のランチボックスを納入させて頂いた方からお揃いのラック製作をご依頼頂いた際にお預かりしたもので画像の通り『新品(NOS)』のような素晴らしいモジュールでした。NOSと言うと見た目は良いですが、40~50年経過した個体は長期間通電していないのでコンデンサーの容量抜け等のリスクは多少なりとも避けられない事が多く通電前は心配しましたが、今回は幸運な事に全く問題がなく、そのサウンドを聴いた瞬間は目が覚める思いでした。
U73シリーズのコンプレッサーは何台か目の前を通り過ぎて行きましたが、VARICOMの入手が困難な事とステレオリンクの問題がネックとなり少々避けて通る事になっていました。もしお預かりしたモジュールのような個体が2台入手出来れば迷わず『買い』です。U373aに使用するようなコンフィギで試聴しましたがアタックやリリース等の調整出来るファンクションは何もありません。と言うより何も調整しなくても『何をどれだけ調整する』のかU83が理解していると錯覚する程に音楽的な利き方です。製造時に完璧に調整されてそのままの状態で40年程タイムカプセルに詰め込まれていたようなサウンドで、いつも気になる『新品当時の音』を体験させて頂きました。
ピンアウトはこちらです。