思考の7割と収入の3割を旅に注ぐ旅人の日々

一般的には遊び(趣味)と見下されがちな「旅」も、人生のなかでやるべき「仕事」である、という気概で旅する旅人の主張と報告。

台風一過の奥多摩むかし道  

2007-09-08 23:00:45 | 徒歩
6~7日に東日本を縦断した台風9号が去って今日は好天になりそうだとわかったので、2日にできなかった単独沢登りを東京都・奥多摩でやりたいなあと昨夜急に思い立ち、今日午前、今年3度目のJR奥多摩駅を経由してとりあえず奥多摩湖に行ってみた。

当初はこのすぐそばの水根集落へ流れる、初級者向けの「水根沢谷」に行こうとしていた。が、さすがに昨日の今日だと多摩川の本流のみならずその支流の沢も当然ながら濁流になっていて、とても遡れる状況ではなかった。たぶん、沢に辛うじて浸ってもものの10秒で足元をすくわれて流されて6日から行なわれているらしい小河内ダムの放水によってかなり増水した多摩川の水流にもみくちゃにされて流されて下流の羽村堰で引っ掛かかって数日後にそこでやっと警察に拾い上げられてお世話になるのがオチかと思い、諦めた。本格的なラフティングのボートがあると結構楽しめるんだろうけど。

そこで、その代案としてこの水根が起点の、青梅街道(国道411号)の旧道を遊歩道として整備した、「奥多摩むかし道」を歩いて奥多摩駅まで戻ることにした。
ここを歩くのは4年ぶりだが、指導標や階段や、谷側には転落防止の柵が整備されていて道も明瞭で、全行程の約半分が舗装路を通るためにわざわざ地図を見なくても歩ける感じのやさしい道で、たしかに今日も小学生くらいの子どもを連れた人も数人見かけた。

登り下りを繰り返しながら歩を進めると、山道を大きな倒木がふさいでいたり、崖崩れが頻発してどう考えても人力では運べない大きさの岩が道の真ん中に転がっていたり、杉の枝葉が数百mにわたって無数に落ちていたり(路面にみっちり敷き詰められていた、という表現のほうが妥当かも)、という台風の仕業があちこちで目立ち、あれっ、ここってこんな道だったっけ、と以前歩いたときと印象がまったく異なり、かなり荒んでいた。まあこれが自然の力によって造られたしぜんな道の状態と言えなくもないけど。
崖からは所々で、大雨が土中に浸透せずにそのまま山肌を流れ落ちている沢が多く、そのぶん湧き水も多く、飲水には困らなかったが、ちょっとむかし道らしくなくて情緒がないよな、と違和感も少々あった。

以前に世界的クライマーの山野井泰史・妙子夫妻が住んでいた家も通りすぎながら(現在は近所のもう少し標高の高い場所に引っ越しているらしい)、途中で道の脇で昼寝したり、吊り橋から多摩川の濁流を覗いたり、沿道にある地蔵尊や民家の暮らしぶりをじっくり観察したりしながらゆっくり進み、結局は5時間近くかけて奥多摩駅に戻った。
案内板ではこの約10kmの行程は所要3~4時間と設定されているが、もっと時間をかけて歩いてもよいかもしれない。まあ今回は台風後の道が大荒れの様子をつぶさに観察したから時間がかかったということもあるが、ほかにも楽しみ方はいろいろあるはずだ。今日は晴れて暑かったので、もう少し早めか遅めの、新緑か紅葉の涼しい時期に歩きたいなあ。登山はちょっと厳しいなあ、でも軽く運動はしたい、という人にはおすすめの道である。

それにしても2日と今日と、単独での沢登りが2回も未遂に終わり、ちょっと残念。というか状況を見誤った自分に残念。なんとかできれば今月中に再起したいものだ。



東京都民の水瓶である奥多摩湖の小河内ダムの大放水。奥多摩湖には10回以上訪れているが、こんな大規模な放水は初めて見たなあ。



水根沢谷の入渓点である水根キャンプ場付近の沢の様子。さすがにこの状態では沢登りの熟達者でも太刀打ちできないだろう。できたら凄いな。



奥多摩むかし道序盤からこのような倒木があった。所々で渡る沢にも上部から流れ落ちてきた木が引っ掛かっていた。



このような小規模の崖崩れが数百mおきに頻発していた。ほかにも大小いろいろな落石もあった。



元々は舗装路の場所も、谷側(写真左側)に林立している杉の枝葉が落ちてここでは路面の半分以上に敷かれていた。その上にクルマの轍ができていて、こんなにきれいに敷き詰められた感じになっていたのがちょっと不思議ではあった。



電柱や木が倒れて電線に引っ掛かっているところもあり、とてもむかし道の情緒を味わえる状態ではなかった。



JR奥多摩駅前のバス停にあった貼り紙。約2か月前に野宿仲間4名と雲取山(2017m)を登りに行ったときに通った日原街道は大雨によるたぶん崖崩れの影響で通行止めになっていた。


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