思考の7割と収入の3割を旅に注ぐ旅人の日々

一般的には遊び(趣味)と見下されがちな「旅」も、人生のなかでやるべき「仕事」である、という気概で旅する旅人の主張と報告。

武蔵五日市で歩き旅の講義         

2006-12-02 22:22:21 | 徒歩
2006年12月2日開催の「関東百駅巡礼歩行」のJR武蔵五日市駅の回に参加した。これは日の出町の太平洋マテリアル近くの道路。この付近の住宅や商店では11月から12月のクリスマスにかけて、家々で夜間のイルミネーションというかライトアップが盛んなようで、電球や子ども向けのかわいい人形を多数見かけた。写真右の家もかなり豪華な飾りが施されていた。


今日は、東京都西部のJR武蔵五日市駅付近であった、横文字の肩書きにすると「カントリーウォーカー」のオンフットワーク代表・山浦正昭氏が主宰する「関東百駅巡礼歩行」という催しに参加した。
これは、各種媒体のウォーキング関連の出演講演や、『夫婦で歩き描いたヨーロッパ縦断4000km』(新評論刊)、『地図を片手に「歩く旅」』(日本放送出版協会刊。生活人新書)などの著作でも有名な山浦氏が提唱する、日本百名山登山や旧街道歩きなどのある程度決まりきった旅や歩きのカタチにとらわれずに、まずは地図(国土地理院発行の1/25000地形図)を読んでから歩きたい現地に赴き、常に地図を読みながらその場の成り行きで進む道を頭と手足を常に働かせながら決めながら行き、様々な発見をする、という歩き方の実践の場として関東地方の任意の鉄道駅付近を選び、毎月1回のペースで催している。

これは、昨日の投稿でも触れた関西の知人の出がらし紋次郎氏が前々から参加していて、一度は参加してみないか、と3か月ほど前から誘われていたため、今回上京した彼の最大の目的であったこの催しに僕も便乗することにした。まあ今日は終日天気が良く、何をするにも絶好の行楽日和で、久々の歩き旅と例年よりもやや遅めの紅葉が存分に楽しめた。

山浦氏は常々、徒歩による旅は「教育」であることをよく言っていて、たしかに今日の集まりも「旅」と言うよりは旅をより楽しむための「講義」の色合いが濃く、熱弁を振るう山浦“先生”に対し、僕も含めた参加者11名は(大半は50代以上の年輩の方で僕が最年少であったが)まさに“生徒”という感じであった。

僕が志向する旅では基本的に、事前に大きな縮尺の地図でおおまかな計画を立てて予習して、旅する地域の概念を強く頭に叩き込んでから行き、実際の旅先では地図は現在地の確認やこれまで辿った経路を復習する、つまり、移動してきた距離を振り返って達成感に浸りながらほくそ笑んだりするための補助的な使い方が多く、山浦氏のように始めから地図ありきで歩き出し、地図には載っていない小道を見つけながら、地元住民とのちょっとした挨拶および会話からその地域に実際に出かけなければ知り得ることはないであろう地元特有の情報をその都度得ながら自分で進む道を決めていく、という手法にはこれまで触れてこなかったため、そんな山浦氏の言動・行動はとても新鮮であった。
そうそう、言動・行動というと、山浦氏は媒体への登場の様子をたまに拝見するとやや堅い印象があったのだが、実際にはよく歩き、よく喋る。今日も新しい小道や寺社を発見したかと思ってずかずかと進入していったら実は民家に入っていた、という粗相があったり(まあなんとか一見の旅人がそういうことをやっても許される落ち着いた土地柄であったから良かった)、また、例えば神社の敷地に入るときに、
「参道を歩く人は賛同してから行きましょう!」
というような軽妙なオヤジギャグを何回も飛ばしたりもしていて、60代の方にしてはかなりくだけた面白い方であった。もうちょい年下の団塊の世代の人であればこうはいかないかも、と彼の一挙手一投足を見るととても面白かった。
ただ、いつもはひとりで歩く僕からすると、団体で行くことや地図を凝視することによって発生するちょっとした問題点もいくつか見受けられたが、まあそれを差し引いてもおおむね楽しい集まりであった。

この催しは「百駅」と言うくらいだから合計100回のシリーズものなのだが(10年で完結させる。今年はその4年目。今日で30回目)、来る者は拒まず、という感じのくだけた集まりなので、距離の長さや踏破の速さ、目的地ばかりを単調に目指すような一般的な歩き旅に飽きた方は、一度参加されることをおすすめする。漏れなく、山浦氏のオヤジギャグが付いてくるけど。
来年以降もタイミングが合えば、僕もまた参加してみたい。登録番号73番をいただいてしまったこともあり、今後も気になる催しとして今日新たに僕の頭に認識された。


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2 コメント

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「スタディウォーク」の概念 (出がらし紋次郎)
2006-12-11 17:40:08
 お疲れ様でした。
 今回の小旅行は、わたるさんの他にも、
地元(立川)在住の、新潟で農業をやっている
あっしの知人、世界の自然歩道を野宿しながら
歩いている熟年ウォーカーなど、多士済々な
方々が来ていました。
 「関東百駅」は団体行動、というよりは
基本的に個人の集まりです。ばらばらの個人が、
地形図をベースに、独自のコースを組みたてながら
歩く、いわば「山浦メソッド」の実践学習、
という意味合いもあります。
 あくまで「駅から歩く」事にこだわるので、
一周ルートもありですね。あっしの大抵の旅は
A地点からB地点まで行くワンウェイ・ルートが
主ですが。その辺の意図を汲み取って頂ければ。
 地元在住の知人は、「地元民でも知らない
所を歩けてよかった」という感想を頂いています。

 いわゆる「山浦メソッド」については、
『地図を片手に歩く旅』(NHK生活人新書)が
分かりやすく説明されています。
 あっしは来年も何回か参加します。
 これに懲りず、またいらしてくださいや。
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大丈夫、懲りてはいませんよ (わたる)
2006-12-12 20:46:11
駅から歩く=クルマを使わない、という点は、人力移動の旅にこだわっている僕としては物凄く共感できます。

先の集まりは外見上は団体での行動ではありましたが、たしかに参加されたみなさんともに普段は自立したというか個性のある旅や生活をされているようで、始めから主催者(今回で言えば山浦さん)に完全におんぶにだっこ、という団体行動によくありがちな受動的な立場ではなく、自分たちで主体的に道を探し、周りの物事に目を向け、歩き方を突き詰めてゆく「個人の集合体」という感じが心地良かったです。近いうちにまた参加しますよ。

そういえば、山浦さんは僕の父と同年代なんですよね。このくらいの年代の方々から、学校の教室では学べない野遊びの楽しさや厳しさを積極的に楽しんでいって引っ張っていって、それが下の世代にもきちんと伝わっていけば、昨今の環境問題や(いじめを含めた)教育現場の問題なんかもいっぺんに解消できると思うんですけどね。
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