ハーバード流宴会術 人数よりキーパーソンと女性を意識せよ
※週刊ポスト2013年2月1日号
2013.01.25 16:00インタレストマッチ - ハーバード大学といえば最高峰の教育機関だ。その大学院にあたるビジネススクールと宴会術が即座に結びつかない読者も多いだろう。しかし、それは大きな誤解である。総合商社で宴会力の地力を身につけ、さらにハーバード大学ビジネススクールで、ノウハウをブラッシュアップさせた児玉教仁氏はこう語る。
「世界80か国から生徒が集まるハーバード・ビジネススクールの授業は、ディスカッション形式で進行します。ベースにお互いの信頼関係がないと議論も深まらない。そうした人間関係を構築する目的で開かれるのが宴会です。ハーバードは別名ティーパーティースクールと呼ばれるほど頻繁に宴会を催しています。そして、その企画立案にはハーバード流のビジネスマインドも詰めこまれています」
そのエッセンスをまとめた児玉氏の著書『ハーバード流宴会術』(大和書房)は、昨年末上梓され、現在5刷と好調だ。その重要ポイントを3つ紹介しよう。
【「場所選び」は職場のお局さんに相談すべし】
宴会で最も苦労させられるのが場所選びだ。児玉氏は「場所選びは職場のお局さんに相談せよ」と説く。一見、非常に日本的な手法に見えるが、キーパーソンを事前に巻き込むのはハーバード流マネジメントにも通底する理念だ。
「1990年代初頭、ハーバードOBのルイス・ガースナーはIBM初の社外CEOに起用されました。同社の再建を担った彼が、最初に行なったことの一つが現場を見ること、そして最も影響力を及ぼしている人材と直接会って、味方に引き入れることでした。日本の職場においてトップの男性以上に現場の空気を支配しているのがお局さんたちの存在です。彼女たちが推薦してくれた場所であれば、文句をいう社員はまずいません」
【女性社員の満足度を意識せよ】
“お局さん”だけではなく、派遣や事務方を含めた女性社員も意識するべし。彼女たちはお茶みや、ランチタイムでの井戸端会議を通して、様々な情報を交換しあう。彼女たちを味方につけることは、宴会後の社内での仕事を円滑に進めることにも繋がる。宴会の場所や料理は女性たちに事前リサーチしておくべきだ。
【多人数よりも宴会キーパーソンの参加を優先せよ】
店選びの次は日程選びだ。職場全員の参加が理想だが、現実的には不可能に近い。その際、誰の予定を優先するかが問われるという。
「日程選びで問われるのは『いつやるか』ではなく『誰が来る宴会にするか』。主賓の日程を複数おさえた後、全員に出席を呼び掛ける前に『この人がいれば会が盛り上がる』という宴会キーパーソンの参加を確認しておくべきです。
そうすれば、当日の進行はグッと楽になる。その際、彼らに直接会ってサポートをお願いし、主催者側の一員としての自覚も植え付けたいですね」