VIVIEN住生活総研

住生活ジャーナリストVivienこと藤井繁子が、公私を交えて住まいや暮らしの情報をお届けします!

La Rochelle-10 新レンタル自転車と市のモビリティ政策

2008年09月24日 | France2008
“車の無い日”カーフリーデーの市街地は、車道を歩いてドンドン進み(時々、バスや電気自動車も走るのだが)
市役所へアポイント予定時間に間に合った。  昨日まで無かったフラワーアレンジメントが市庁舎中庭に出現。
  
La Rochelleのモビリティ政策を伺う取材に応じて下さったのは、
市の責任者であるDenis LEROY氏(左)と、Transport & Mobility(交通政策)担当のSebastien DAVY氏。
英会話をベースに時折、仏語で熱く語られるとSebastienが通訳
LEROY氏のお役職は、Conseiller Municipal Delegue : Conseiller General。知事の片腕らしい。
に加えて Vice-President de La Communaute D'Agglomeration というLa Rochelleを含む広域圏の副代表でもある。

1997年『Une journée sans voiture』(車の無い日)を始めたキッカケが、猛暑で死人が出た夏に温暖化対策として
車に乗らない試みがメディアで取り沙汰され、当時のMichel CREPEAU市長が市民に「賛成・反対」の投票を投げかけ実施に至ったと言う。
(後にフランス初の環境大臣になったCREPEAU市長のリーダーシップが、La Rochelleを環境交通先進年に導いたのだ)

マイカーの市街地での終日規制には当然、市民から不安の声も大きかったが、
興味深かったのは、1ヶ月前からの広報、コールセンターを3週間前から設置し市民の不安や質問に対応した事。
その結果[80%が不安]と答えていたにも関わらず、実施後は[不安が‘誇り’に]変わっていたと言う。

車を閉め出す事によって得た市民の実感による結果・・・騒音の無い街がどれほどストレスが無いものか、
そこから聞こえてくる今までと違うサウンドを感じ、Quality of Lifeを実感するのだと。
数値的にも空気の違いは、市中心部で大きな効果として上がったようだ。

マイカーの代替手段として、バス・タクシー(市内無料)・レンタル電気自動車&自転車・電気ボートなどを年々充実させて行った。

ただ印象に残った言葉は[convince]納得させる、必要なのはtechnologyではなく[pedagogy]教育・模範的なもの。
「モビリティ政策は、人のbehaviorを変える事なんだ」と言うお話だった。

その点は、むやみに道路を一方通行にして自転車道を拡充したりするのではなく
道路を共有する“シェア・スペース”の手法を強調され、「何かを犠牲にするのでは続かない」という姿勢が発展の鍵であるという話に通じていた。

政策を実行する為の企業税や住宅税、グループハウジングなどの住宅政策についてもお話を伺い
ECO・ディストリクトとして邁進しているLa Rochelle地域圏のビジョンを
最後に「未来は人間中心のプロジェクトであるように」というCREPEAU本元市長の言葉で表現して下さった。

お話の後、新世代のYellow Bikeが中庭に展示されているのを見学した。
ParisのVelibとの違いは、電源が太陽光発電になっている所。「Flex Bike」という仏メーカー。

操作パネルも小さくて簡単そう(ICカード対応)。55ステーション、350台が整備される計画。5台/100mの間隔。

そしてここでもギアはSHIMANO! 「yelo」は全ての公共交通共通のカードとして発行される。
 

市役所の前の広場では、電動アシスト自転車の展示販売をやっていた。
 
こちらは道端で見かけた、素敵な皮の荷物用Bag。こういうのがフランスっぽい!


自転車と電気自動車を中心とした交通政策では、世界でも先進都市のLa Rochelle。
同じ話を何度も取材されているであろう市の方々。その上、かなり偉いお役職なのに皆さん非常に親切でフランクに語って下さった。
私は習得したことを、少しでも形にして皆さんに恩返ししなければ・・・という気持ちにさせられた。


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