VIVIEN住生活総研

住生活ジャーナリストVivienこと藤井繁子が、公私を交えて住まいや暮らしの情報をお届けします!

小布施まちづくり

2007年12月17日 | 住宅業界
まちおこし・まちづくりの成功事例として広く知られるようになった、長野県・小布施町の市村良三町長の講演を聴いた。
                                  (住まいの産業ルネッサンス塾主催)
 59歳、慶応大卒SONY勤務後、S55年から(株)小布施に入社。H17年1月~町長就任という経歴で、H14年度には(株)ア・ラ・小布施の代表取締役として第一回観光カリスマ100選にも選出されている。

小布施町はたった人口約1.2万人(面積約19k㎡)の小さな町、そこに年間約130万人も観光客が訪れる。

私が知る小布施は20年以上前から、長野スキー旅行のお土産に【栗鹿ノ子】を買うのがお決まりだった懐かしい名前。
その名産『栗』に加えて『北斎』『花』が、小布施のまちおこしに寄与したようだ。
 豪商・高井鴻山が北斎を招いた事が縁。
[北斎館]は版画が有名な北斎の肉筆画が所蔵されていて、年間10万人も集客する地方美術館の先駆け。

町並修景事業と名付けた宮本忠長氏の監修による開発で、北斎館周辺を回遊界隈に仕立て上げ栗の地場産業などへも利益をもたらした。

[Obuse Open Gareden]は8年目になり76軒(2007年)の個人宅庭園が公開されている。
関心したのは1985年竹下内閣「ふるさと創生構想」の1億円で、小布施町は主婦団を欧州へ10年間、花文化の研究視察に送り込んだという。その成果がまちおこしの一つにつながっている訳だ。

現在は第2ステージと位置づけられ、東京理科大学の小布施町まちづくり研究所とのプロジェクトなどが進み
農家民泊や農家レストランなども増やしてゆく計画ということ。
小さな町立図書館の建築設計コンペには、隈研吾はじめ有名建築事務所が参加したというように注目度は益々高まっている。

現在ハウスメーカーの進出に対する住民との調整が続いているようだが、[小布施地域型住宅]モデルを提案しながら
観光から住まいまで、小布施らしいまちづくりに邁進されている市村市長。
我々住宅業界参加者に向けて「ハウスメーカーの住宅には‘地域・歴史・風土’が感じられず得心はできない部分も」と苦言を呈された。

全国同品質の家づくりを目指してきた大手ハウスメーカーにとってはジレンマであるが同感する。
逗子で小さなまちづくりに取り組む私にとっては、考えさせられる事の多いご講演であった。