VIVIEN住生活総研

住生活ジャーナリストVivienこと藤井繁子が、公私を交えて住まいや暮らしの情報をお届けします!

東大大学院情報学環

2007年12月01日 | 住宅業界
東京大学大学院情報学環に設けられた(株)ベネッセの寄付講座、『ベネッセ先端教育技術講座(BEAT)』。
その公開研究会「子どもの放課後学習環境」に、パネラーとして登壇することになった。

東大の本郷キャンパスも素晴らしい紅葉、工学部にて研究会は行われた。
   

冒頭、主催者である山内祐平東京大学准教授から、「理科の応用力、日本は6位」というOECDの発表にも触れ
学力低下が昨今、顕著に現れた日本の子供達の現状と
 
学校教育での「Formal Learning」以外の「Informal Learning」、家庭等の学習に注目し
子どもが放課後や休日にどのように学んでいるのか、また、学びをささえる空間や人工物はどうあるべきなのか考えていきたいと趣旨説明が行われた。

最初のパネラーはベネッセコーポレーションのベネッセ教育研究開発センター主任研究員、木村治生氏から「子どもの放課後の学びはどうなっているか —国際比較調査から」。各国の給食調査に注目!
 
辛そうな韓国・・・欧米は味気なさそうに見え、比べて日本は栄養的にも過保護なくらい充実している。
一方、子供の家庭学習時間は宿題が中心の欧米、アジア3都市は塾の占める時間が長時間化。
濃い帯が宿題、薄い帯が塾系。  
義務教育における「ゆとりの実現」が2002年学習指導要領が変わり「たしかな学力」へと改めて学力向上が目指された。
それにより小学生には改善も見られるが、高校生の学習時間は中堅層の落ち込みが激しく回復してはいないようだ。

次に私から「“子育て住空間” チャレンジが続く住宅業界の動向」、家庭学習の場となる家について親の志向や業界の取り組みを紹介した。
  
(‘リビング階段’などのプラン変遷、キッズデザイン賞の住宅2件、ミキハウス等のブランド認定など)

最後にコクヨ(株)RDIセンター安永哲郎氏が「感性を育む『おうちワークショップ』 —[ヒラメキット]シリーズ」を開発背景と共に紹介。
6歳程度の子供とお父さんの工作キット、という設定。何をして遊んでやれば良いのか悩む親には好都合?
 [価格] 本体1,600円/全国書店販売
親子参加のワークショップでは親のほうが熱中してしまう姿も・・・それほど精巧にデザインされていて
アーティストやデザイン事務所とタイアップしたというのも、このプロダクトの特徴の一つ。


3人のプレゼンテーションの後、この研究会の特徴でもある参加者全員でグループに分かれたディスカッションを実施。
  (登壇者も混ざって、各グループで感想と質問をまとめた。教育現場の先生方や学生もいて生声が伺える良い形式)
 そこから出た質問に答える形。

そんな3者3様の話から、木村氏「自律を目指している」藤井「子どもを巣立たせる」安永氏「親は我慢、子どもが自分で」という共通要素を見出しまとめられた山内先生に敬服!
また教育学の「scaffolding」(建築現場の足場)という言葉でそれを表し、「coaching」とは違う、必要なことだけ介入する教育方法の重要性を説かれた。

木村氏も指摘された点で、大人の関与が非常に増えているため、子どもたちの自律的な学習や、試行錯誤する中から学ぶような機会が減っているのではないか。 
モンスターペアレントや6ポケッツの祖父母が関与すればするほど、子供の創造力・理解力が失われていく不安を覚えた。