(写真は道路や畑の整備。賀州はこういった工事中の道も多い)
屋台で広東煮 (中国 賀州にて)
賀州の食堂風レストランで食事を終えた後、町をぶらぶらと散策。
今晩でこの土地ともお別れかと思うと、なんだか寂しく感じた。
賀州の料理は今にして考えればすこぶる美味かった。
『食は広東にあり』の言葉で期待していた観光客用のレストランは観光客用の味付け・・・
賀州の場合はいきも帰りも、途中で立ち寄ったレストランも、夜にさまよったレストランや屋台もはずれが無かった。
そういうとたまたま賀州の場合、基本中国人相手の食堂が多かった。
そのため日本人には知らされないような食材が使用されていることも しばしばあった・・・・・・
さて賀州の夜の街にも屋台は多い。
路上に小さな移動食堂。
明るい道には露天果物屋や露天おでん屋。
コップに入れて飲ませてくれる、健康にあわせたお茶の店もあった。
このお茶の店は、日本の駅やデパートなどで飲めるフルーツや野菜ジュース店のように、容器にまとめて入れてある。
茶の容器が冷やされていたかまではわからなかった。
自転車の腐り豆腐屋のお兄さんは腐り豆腐といっしょに、フルーツチョコを売っていた。
バナナチョコは人気らしく、若い人々が6人ほど並んで、買っていた。
色々な屋台が並んでいるのに、朝のように飲茶や饅頭、あげパンなどは見かけなかった。
夜の町では、とうもろこしをほおばって歩く人も見かけない。
屋台は薄暗い路上でも開かれていた。
おでん屋さんのようだ。
細い道路とメイン道路の過度にそって、店は開かれていた。
電信柱の裸電球の明かりが、おでん屋のおじさんとおばさんの人柄の良さを浮かび上がらせている。
リヤカーに積まれたおでん店の一式。
大きなアルミにのような箱二つから、湯気が立っている。
優しい香りがあたりをあたたかくしているようだ・・・
アルミにのような箱の右には、細長い二、三人がけのテーブルと小さな椅子。
テーブルの奥行きは短い。
店には二人の客。美味そうにおでんとラーメン?を食べていた。
私たちはにこにこ笑った夫婦と客に席をすすめられる。
みんなの好意に甘えて、椅子に座る。
「ドゥォ シャォ チェェン?(いくらですか)」
あやふやな発音で、一応値段を確かめてから、おでんを頼むことにした。
座ったしりから立ち上がってアルミの中を覗き込む。
箱の中は大根、たまご、昆布、厚揚げなどのなじみのの材料の他に、なんだかわからないものがいっぱい入っていた。
肉のなんだかわからない部位の串刺しはが複数。
見たこともないような練り製品、なんだかわからない海へびのような長いものも入っている。
残念なことに、酒は無かった。
適当に2串づつ頼む。
すると大根は大根、肉は肉といった風に三つの皿(昔の小学校給食、スープ用のアルミ皿)に同じ種類のおでんばかりを入れる。
おでんをよそったしりから二種類のたれをかける。
多分ラー油のような感じのものと辛いたれ。
辛いたれを店主は『もとかけようよ!』とゼスチャーで示す。
私たちは『ほどほどでよいんだ。』と仕草で示す。
私たちは種類の方なった各自の皿から、少しづつ分け合って食べた。
美味い!
ここのおでんは、日本の海の家のおでんのように醤油からくはない。
おでんは昆布味中心、中華味ベースで、とても美味しい。
ダシ味が深くて、濃厚。
塩や醤油は気にならないほど、出しのうま味が口いっぱいに広がる。
かけてくてた二種類の気の利いたたれが、きりりと味を引き締めている。
からしもいいが、このピリ辛も癖になる。
大根は柔らかく、甘い。
皮は厚く剥かれている。
二、三センチの熱さの大根は面取りはされていない。
味は素材が生かされた感じがする。
厚揚げは驚いた。
外は香ばしいが、中は日本の絹ごしよりもやわらかい。
煮込んであるのに、中はやわらかく、絶品。
私は京都の豆腐点でも、こんなにも外が香ばしく、こんなにも中がやわらかい厚揚げには、お目にかかったことが無い。
肉は美味いものもあれば、匂いの苦手なものもあった。
かなり強烈な肉の内臓部分だったが、あとの二人はおいしかったという。
私はこの店で、決して忘れることのできない食べ物に出会った。
こわごわ頼んだ、なんだかわからない海へびのような長い食べ物。
よりにもよって、私の皿に入れてくてた。
なんだかわからない海へびのような長い食べ物は二十五センチくらい。
笑い顔の店主の箸でつままれて、はさみでチョキンチョキンとリズミカルに四センチ位に切られる。
なんだか不安になる私・・・
四センチの食べ物は大根の上に、皿いっぱいに盛り上がっている。
四センチを一つつまんでみる。
ホニョッとした食感。
スポンジを箸でつまんだ感覚・・・
一口食べてみる。
美味、絶品・・・
四センチは湯葉だった。
表面は硬いが、中は柔らか。
かすかすした歯ざわりの悪い湯葉だが、美味い。
その歯ざわりの悪さが、ダシと絡み合って、肉のようにも感じる。
『大豆は畑の肉』といった表現はこのときばかりは栄養面だけではなく、食感にも当てはまるということを実感した。
この湯葉を食べた時、私は中国人は天才だと改めて感じた。
翌日、ガイド嬢に おでんの中に入っている湯葉のような長い食べ物はなんというのかと効いてみると『腐竹』だと教えてくれた。
おでんは日本では広東煮ともいうが、中国から伝わった味が日本風にアレンジされたのだと改めて感じた。
私は中国のおでんの味も忘れられずに、日本に帰ってから再現してみた。
結構似たような味のものはできたが、肉などは入れてないので、何となく味が違う。
腐竹が無いので、どうもしっくりこない。
通販で購入することも可能のようだが、次回中国の旅まで楽しみにとっておくことにした。