乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

義経千本桜~渡海屋・大物浦~ 渡海屋   大物浦 渡海屋銀平実は新中納言知盛  仁左衛門

2007年07月31日 | 歌舞伎

 

 大阪松竹座 新築開場十周年記念七月大歌舞伎

 

  三、義経千本桜~渡海屋・大物浦~  

 

 渡海屋 大物浦  渡海屋銀平実は新中納言知盛  仁左衛門             

 源義経  薪車          

 相模五郎  愛之助            

 入江丹蔵  男女蔵           

 武蔵坊弁慶  歌 六      

 女房お柳実は典侍の局  秀太郎

 

 

 仁左衛門丈の渡海屋 大物浦  渡海屋銀平実は新中納言知盛・・・迫力とかっこよさ、丁寧な演じ方に堪能させていただきました。

 お昼も もう一度観たい・・・と思える演目。

 美しさに、堪能させていただいたという感じの、お芝居でした。

 

 この芝居で私の好きな場面は、なんといっても渡海屋後半。

 血糊の着いた衣装、メーク、鬘・・・・・・

 喉が乾き、自分の血をなめる知盛の真っ赤な舌のインパクト・・・

 

 岩場の最後の場面は涙して観ていた・・・

 切ない・・・

 この迫力ある場面は、観ている私の方も、力が入る。

 それに付けても、岩場場面のある芝居は、どうしてこんなに切迫感を感じるのだろう。

 まだ若い(つもりな)のに?、観終わった後必ず肩や首が痛い・・・

 

 女房お柳実は典侍の局(秀太郎)はとても可愛らしく、うっとり・・・

 秀太郎竹は何度見ても、見飽きない。

 顔も言い回しも素敵だと、常々思ってしまう。

「・・・・・・波の下にも 都ありける・・・」

で琴線が切れる。

 

 武蔵坊弁慶(歌六)も見ごたえがあったが、今回は短く出番が少ない・・・

私、歌六丈も歌昇丈同様にすきなんですね・・・ 

 歌六丈の今回の武蔵坊弁慶は、隈取険しく、素敵な姿。

 花道での歌六さんのほら貝の音色は心に響きます。

 

 この芝居にも愛之助竹が出演。頭が下がる・・・

 この方も疲れておられるだろうに、そんな表情は微塵にも出さず、丁寧に演じられておられる。

 素敵な役者さんだ・・・

 

 愛之助丈と女蔵丈(相模五郎男)の魚尽くしは見事。

 この場面、『渡海屋』が肌で感じられ、結構好き。

 まわりの観客も、皆さん けらけらと笑われていたようだ。

 

 今回の『義経千本桜~渡海屋・大物浦~』も、迫力があって、楽しむことができた。

 

 最後に・・・

 七月中旬に見たこの芝居記録が七月末日になったことを、お詫びいたします。

 記録に誤りやお気づきの点がございましたら、お教えいただけましたら、うれしいです。

 申し訳ございませんが、ここではあらすじは省かせていただきます。

 

 

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橋弁慶  武蔵坊弁慶 愛之助 七月大歌舞伎 大阪松竹座

2007年07月31日 | 歌舞伎

 (写真は大阪の松竹座前。絵は橋弁慶です。)

 

大阪松竹座 新築開場十周年記念七月大歌舞伎

 

 二、橋弁慶(はしべんけい)           

 

 武蔵坊弁慶  愛之助             

 従者  宗之助             

 牛若丸  壱太郎

 

 

 七月中旬。

 松竹座で歌舞伎の昼の部を楽しむ。

 あっという間に日がたつ。

 まず初めに、記録が大幅に遅れたことをお詫びいたします。

 

 今回昼の部は一度だけ楽しんだ。

 会場は満席で、熱気あふれる。

 

 今回ひょんなこと(海老蔵丈のお怪我)で、愛之助丈は 六演目全てに出演。楽しませていただいた。

 

 橋弁慶 武蔵坊弁慶(愛之助)は、京の五條橋で腕の達者な少年が出没すると聞き、それを退治しようと待ち構える。

 その姿の格好の良いこと。

 愛之助丈の品の良さと男前ぶりが見事な武蔵坊弁慶。

 メークも衣装も素敵だ。

 

 しばらくして、薄衣をかかげた牛若丸(壱太郎 )が現れる。

 とても美しく、可愛らしい。

 牛若丸は軽快に動き、弁慶の持つ薙刀を足蹴にする。

 

 武蔵坊弁慶、牛若丸の剛と柔の対比を楽しみ味わう舞は見事で、わくわくする。

 

『橋弁慶』はご存知のとおり、能を素材にした、松羽目物。

 曲も素晴らしく、自然にリズムを取ってしまう。

 舞良し、曲良し・・・品の良い『橋弁慶』を楽しむことができた。

 能楽でも見聴きしてみたいと、痛感した・・・

 

 

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ペルシャ文明展  好きな展示物を記録する  大阪歴史博物館にて

2007年07月30日 | 美術・文様・展示物

(写真は『ペルシャ文明展』で購入のパンプレット中の『山羊像頭部』)

 

   ペルシャ文明展 大阪歴史博物館

 

 

 7月28日。大阪歴史博物館で行われている『ペルシャ文明展』&『サントゥール演奏会』に行く。

 

 ペルシャらしい文様や展示物が多く、好きなもの、欲しくなるものも多くあった。

 私の好きな唐草文様や獅子狩文様の銀皿などもある。

 

 今回の収穫は、イランではポピュラーなひよこまめの形にもなっている一般的な花柄文様。

 花柄文様だと思っていたが、説明を読みすすめるうちに、『ロゼット葉文』という一説があることがわかった。なるほど、ロゼット葉も花も、じゃんけんぽんの パーのように広がっている。

 

 またイランではおなじみの連珠文も、『ゾロアスター教』の五穀豊穣を願った文様とのこと・・・知らなかった・・・・・・

 

 先ほども書いたように好きな展示品が多かった。

 8の彩文土器の台付き杯。

 イラン高原の新石器時代に特徴的な彩文土器とのこと。

 鳥文様が描かれ、台は放射状に見える文様。

 

 彩文土器はほかにも好きなものが多くあった。

 4のように横一列に連なる動物意匠はかなり様式化されている。

  角を強調したその表現から、当時もっとも身近にいた家畜動物の羊あるいは山羊と思われる。

 

  動物形土器 のこぶ牛形土器も、とことん単調な形が面白い。

 それでも角は立派。

 共通して、耳にイヤリングをつけていつのが特徴的。

 これは多分、五穀豊穣と子孫繁栄を願って、牛を女性に見立ててのことだと思うのだが・・・・・・

 

 魚形土器はイランでは珍しいらしい・・・

 口から中を覗くと、中に美しく光が漏れていた。

 こういった時に酒でも入れて、

「あらあら、あなた、お酒がつぎにくいわねぇ・・・。」

「おっとっとッと・・・いいじゃないか、こぼれたって・・・。」

「あら、あなた・・・。」

 ぽわーーん。

 ・・・なんてことにならないとも かぎらないのである。

 

 29の鉢はいろといい、文様といい、好きだな。

 こぶ牛、豹、蛇が描かれている。

 形は蕎麦猪口を少し平べったくした感じ。

 

 31の山羊頭装飾小鉢。

 これは上から見ても素敵。

 かがみこんで 下から見ると男前な器。

 色よし姿良し、性格良しの男らしい器だった・・・

 

 33の境界石。

 石灰岩に文字が刻まれており、ずっしりと安定感がある。

 これはおそらく、日本のお地蔵さんのような役目を持つのであろう・・・

 

 リュトン(角杯・41)を見た子どもは、

「木に掛けると面白い。木に掛けると面白い・・・」

といい続け、父親に怒られていた。

 なるほど木の上で酒を飲み、酒に酔ったヘベレケの男が、リュトンを木に掛け、

「俺はリュトンのような宝を持った男・・・」

と、ペルシャ的な詩でも唱えようものなら、面白いかもと、ひとりほくそ笑む私・・・。

 

 42の銀製円盤はイランの特徴的文様と色合いが好きだった。

 家族にこういったものに近い工芸品はあるかと問うと、

「ないよ。」

と、一笑された。

 

 46のような嘴形注口容器は陶器や銅せいにかかわらず、ペルシャには多い。

 この嘴のとんがった注口容器、ガラクタでいいから、一つ欲しいな・・・

 

 76の一角獣小像は、基本的なところが、家にあるものに形と色が似ていて好きだ。

 家にあるものは背中のうえに101(印章)そっくりの鳥が乗っかっているんだ。

 余談だが、北海道のビッキーというアイヌの方が彫られた、『幸福の鳥』も、ペルシャの鳥に、似た形状で好きだ。

 

 104のダレイオス1世の銀製定礎碑文は銀版の上に文字が刻まれている。

 古代ペルシャ語とエラム語、バビロリニア語といったたいそう難しそうな言語が、楔形文字で表記されているらしい。

 美術的に見ただけでおはずかしい事だが、えらく美しい。

 この碑文を入れたという、定礎碑文埋納容器(105)は、外側も中側にも、ナイフで全体に刻み付けた文様が見られ、現代美術のような感じ、斬新な容器。少しカンデンスキーを思い浮かべないでもない。

 ・・・というよりも、カンデンスキーの絵画は、アフリカはもちろんのこと、古代ペルシャのにおいもする。30の筒形杯のマット目文様といい、こぶ牛といい・・・他にも例をあげれば、きりがない。

 

 110のホルス神の飾り板(タイル)の文様と形も好きだ。111のロゼット文の装飾タイルも素敵だ。

 

 ペルセポリスなどの浮き彫りは、重量のせいか、今回 大きいものは展示されてなかった。

 こういったものは、現地で遺跡を見るに越したことは無いのかも知れない。

 113の浮き彫りはデッサン力が素晴らしい。

 かなり美形の男前二人が刻み込まれ、うっとりとする・・・

 後ろの男は壺を胸高にかかげている。

 これは朝の神か王に対する捧げ物であろうかと思われる・・・

 中が酒なのか水なのか・・・

 もし酒だとすれば、古代のペルシャ人は朝から酒を・・・現在のイランでは考えられないことである。

 

 122の四耳鉢の大好きだ。

 色も形も美しく、ロマンさえも感じる。

 四隅にライオンのとってが付けられている。

 中国の博物館で、高杯の脚部分三箇所に、蛙のついたものを見たことがある。中国では、蛙は輪廻、再生を表す吉祥文様である。

 それを考えるとライオン文様も、ペルシャでは力を見せ付けるための吉祥文様だと考えられないことも無い。

 

 123の皿は、一言、

 色が・・・美しすぎる。

 

 153の水差し。

 ガラスの色が変色し、美しすぎる・・・

 ほしい・・・・・・

 

 他にも正倉院のそれと類似する切子椀。切子瓶などもある。

 正倉院のものに比べて色が篭り、変色。

 私の場合は この変色した今回のペルシャ文明展の切子椀や切子瓶の色彩の方が 好きだった。

 これらも、ほしい・・・・・・

 

 好きや好み、欲しいかななどだけで今回も数時間見て回った『ペルシャ文明展』だったが、時間が全然足りない。

『ペルシャ文明展』はもう一度朝から訪れ、ゆっくりと見て回りたい。

 次回は 歴史的観点から展示物を楽しみたいものだと、感じた。

 

 感情には偶像否定の展示物は無かった。

 この偶像否定は時代がもっと新しいのだろうか・・・

 いつもながら、歴史に疎い乱鳥である。

 

 

 

 

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干支セトラ、etc.   奥本大三著  岩波新書 新赤版 2007年度 

2007年07月29日 | 読書全般(古典など以外の一般書)

(写真は大阪。天神祭りの日に見かけた、粋なご両人。祭りの準備中の、和やいだ時間といったところか。)

 

記録だけ 2007年度 69冊目                 

 

 

  干支セトラ、etc

                                            

 著者  奥本大三

 岩波新書 新赤版 254

 1992年11月20日    

 233ページ 580円+税  

 

 七月二十九日。岩波新書の新赤版の『干支セトラ、etc』を読む。

 干支の話と思いきや、猫や河豚、最後は人間まで書かれていた。

 十二支のいわれや伝説などを、民俗学的に紐解いているものと、勝手に勘違いしていた私・・・

 目次も見ずに選んだのは自分自身ってことで・・・流し読み、暇つぶしには良いかもしれない・・・と、気をとりなおす。

 立ち直りが早い・・・を 『もっとう』、いやちがった、『目標』に、前を向いて歩いていきたいと思う 今日この頃です。

 それにしても、どうせ読むなら・・・どうして今年六十冊目に、この本を選ばなかったのか・・・と、残念に思うのでした・・・。etc.

 

 

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サントゥール演奏会  ペルシャ文明展 大阪歴史博物館

2007年07月28日 | 舞台・芝居

(写真は大阪歴史博物館で行われたサントゥール演奏会公演後の、奏者と観客との、リラックスタイム。当然のことですが、演奏中の写真ではありません。)

 

サントゥール演奏会  ペルシャ文明展 大阪歴史博物館

 

 7月28日。

 大阪歴史博物館『ペルシャ文明展』に行く。

『ペルシャ文明展』を朝から みる。

 途中抜け出し、大阪歴史博物館主催の『サントゥール演奏会』へ。

『サントゥール演奏会』の後は再び『ペルシャ文明展』に再入場。

 時間が足らず、後日、『ペルシャ文明展』に、再び訪れる予定。

 

 サントゥールとは、現在のピアノの祖先。

 台形の箱に72本の弦を張り、細い猿太鼓のバチのような軽い棒で、直接たたく打弦楽器。

 バチは長さ25センチ。

 非常に細く重さは1.5グラム。

 

 サントゥールは紀元前3000年。

 アッシリアでみられたが、現在あるような形に落ち着いたのは、13世紀のペルシャ。

 現在、イランなどで サントゥールという名称で愛用されている。

 この楽器は後にヨーロッパに渡り、鍵盤や足や蓋がついてピアノに発展。

 

 まずは美しいイランの女性が サントゥールを独奏。

 72本弦の音色は非常に美妙で美しい。

 服装は日本にあわせ、へジャブはつけておられない。

 色彩はいたって鮮やか。

 

 私の好きなリュートに比べ、非常に繊細でペルシャの香りが漂う感じ。

 たまらなく魅力的な調べ。

 

 続いて奏者のこれまた美しい娘さんが、サントゥールやペルシャ、また、現代のイランに至るまでを小半時間掛けてスライド(パソコン)説明。

 テヘラン生まれの美しい女性が、冗談を交えて関西弁で開設するく方は、イランの知性そのものをあらわしているようにさえ感じる。

 

 開設の後は再び演奏会。

 初めに演奏した美しい女性が再び舞台上に・・・

 また、かなりうまい男性のセタール演奏で歌手。日本人女性のサントゥール奏者をも加え、三人での演奏。

 日本人に好まれそう物を選曲されたそうだが、古代ペルシャの個展音楽を堪能した。

 楽しい時間をありがとうございました。

 

 

第1部 サントゥールのソロ演奏「キャラバン」  

     プーリー・アナビアンさん

第2部 スライドショー「ペルシャの至宝が語る生活と文化」  

     ダリア・アナビアンさん

 第3部 古典的アンサンブル「ペルシャの牧歌」  

     プーリー・アナビアンさん(サントゥール)  

     河村真衣さん(サントゥール)  

     バーラム・サーランギさん(セタールとボーカル)

 

 

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白雪姫   俳優祭 作・演出:尾上菊五郎 TVにて観る

2007年07月28日 | TVで 歌舞伎・能楽

(写真は中国雲南省の玉龍雪山近く。)

 

2007年5月27日公演分

 

 7月27日。

 テレビで、念願の俳優祭『白雪姫』を観ることができた。

 

 白雪姫は一般的には義母的考えが広まっているが、本来の『白雪姫』は実母論が有力視されている。

 この舞台ではグリム兄弟(作)の義母説で、脚本が書かれていた。

 

 尾上菊五郎作・演出による『白雪姫』は、私のような歌舞伎にわかファンでもわかりやすい遊び心が多い。

 『銘木先代萩』の「うれしい~うれしい~。」や、『鎌倉三代記』の絹川村閑居の場の時姫。 

 『五斗三番叟』の目抜き?の連中が出てくる部分。

 『道成寺』の蝶の場面(初めは二人。但し、この芝居では本当は蝶ではなく、小鳥という設定。)。

 琴場面の『阿古屋』。

 『勧進帳』の読む場面。

 團十郎のハタキor箒(ほうき)六法。

 どはでな『児雷也豪傑譚』のメークなどなど。

 ・・・他にも多くのパロディが盛りだくさんに織り込まれている。

 どこかしこに、ここもあった、あそこもあった・・・といったシーンが多くて、芝居心をくすぐる。

 

 市川團十郎と海老蔵の鏡であわす場面は、笑った。

 「くどい!」と「ここは暗転」の台詞には噴出してしまう。

 市川團十郎のメークと表情、おばはん的な動きが魅力的だ。

 團十郎の花道での『ハタキ六法』或いは『箒六法』とでも申しましょうか・・・とにかくおかしく、また魅力的でした。

 

 小鳥役の中村時蔵と中村芝雀は美しくて品がよく好きだ。

 他にも好きな中村福助や片岡孝太郎、中村七之助等が、小鳥役を演じられている。

 

 小人役(童 )の中村吉右衛門、片岡仁左衛門 、中村梅玉、市川左團次、市川段四郎、片岡秀太郎、波乃久里子等の、意識的な一本調子は見事に心をとらえる。

 中でも 片岡秀太郎の愛くるしさは、たまらなく魅力的だった。

 片岡仁左衛門の大きなみの動きは見ていて飽きない。でも、台詞が・・・少ないよ~~もっともっともっと多ければよかったのに・・・

 中村吉右衛門の幸四郎に対する、

「もし、そこのわしによく似たお方・・・」

という台詞には、笑ってしまった。

 

 動物たちの市川染五郎と尾上菊之助の可愛らしいこと、可愛らしいこと・・・・・・

 また、 中村橋之助のわざと外した見得の切りようも楽しい・・・。ちなみに私は橋之助の見得も、好き・・・。

 片岡愛之助も声よく、男前だ。

 他の動物たちを演じられた役者さんも、それぞれに個性的。

 

 先ほども少し触れたが、尾上菊五郎のわざと施した『児雷也豪傑譚』を思わせるグロテスクなメークは、逆に心地が良い。

 後ろに黒衣をひかえ、千手観音。

 その見事なまでに美しくしなやかな、洗練された千手観音の手の動きは、尾上菊五郎の実力には、魅了される。

 おそらく菊五郎劇団の人たちなのだろうか・・・

 千手観音はやがて黒衣を利用して、電車に・・・

 完璧な練習の上に成り立つ技を、みせてくださった。

 

 白雪姫役の坂東玉三郎は美しい。

 白雪姫だが、若さと愛らしさを表すため、赤姫の衣裳。

 琴を奏でる場面と花道での舞は、歌舞伎も観ているという満足感が味わえる。

 

 加えて松本幸四郎の王子様は、洋風の幸四郎では無く、歌舞伎の型を大切にした台詞で、見ごたえがある。

 素敵・・・

 この場面を守り立てているのが、何を隠そう、小人役(童 )。

 中村吉右衛門、片岡仁左衛門 、中村梅玉、市川左團次、市川段四郎、片岡秀太郎、波乃久里子等の、意識的な一本調子が、幸四郎の伝統の言い回しを生か氏、パロディーかしているといえる。

 

 幸四郎はこの舞台では昔の面影を感じ、大変美しかった。現染五郎が昔の染五郎(現幸四郎)とだぶり、また昔の染五郎と現幸四郎がだぶり、なんだか嬉しい舞台。

 まじめなイメージの幸四郎が『はにかみ王子』などと照れる仕草は、心がときめく。

 

 好きなグリム童話に好きな歌舞伎、好きな役者の方々が多く出ておられる舞台。テレビとはいえ、見ることができて、私はとても満足な時間を過ごすことができたと、大いに喜んでいる・・・

 

【乱鳥のグリム童話関連記録】

グリム童話の世界 ↓

http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/fe9934bcac54dce90615343c301719ac

ブラザーズグリム(映画) ↓

http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/cd84c9f6c2f43e66d298f6a677edb94b

グリム童話4 (ほかにグリム童話1~3が別ページにあります) ↓

http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/19e565a3d6c3aa5b62504e077c4e2544

グリム童話のふるさと ↓

http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/2ad937e6f50e8aab40c3c8f3347acc12

グリムの中の呪われた話 ↓

http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/ee1e7969190c848ce76949d7252f2956

グリムの中の怖い話 ↓

http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/a5efb1a5173da07772a041e9604ea34c

グリムの中のぞっとする話 ↓

http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/61e53f2ad6f575d37bc53116e4685fa3

                              ほか

 

 

 作・演出 尾上菊五郎

 振付 初代尾上辰之助(三代目松緑)

 美術 市川團十郎

 

 配役

 白雪姫 坂東玉三郎

 お妃実ハ魔女 市川團十郎

 鏡の精 市川海老蔵

 王子様 松本幸四郎

 童 中村吉右衛門

 童 片岡仁左衛門

 童 中村梅玉

 童 市川左團次

 童 市川段四郎

 童 片岡秀太郎

 童 波乃久里子

 動物たち 中村橋之助

 動物たち 市川染五郎

 動物たち 尾上松緑

 動物たち 尾上菊之助

 動物たち 中村勘太郎

 動物たち 片岡愛之助

 小鳥 中村時蔵

 小鳥 中村芝雀

 小鳥 中村扇雀

 小鳥 中村福助

 小鳥 片岡孝太郎

 小鳥 中村七之助

 小鳥 市川高麗蔵

 小鳥 市川門之助

  狩人 坂東彦三郎

 北千住観音 尾上菊五郎  ほか

 

 最後に・・・

 今回、全ての役者さんに丈やさん付けを記入しなかった失礼を、お許しください。

 お気づきの点があれば、お教えくださいましたら、うれしいです。

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歌舞伎十八番の内 鳴神    鳴神上人 愛之助  雲の絶間姫 孝太郎

2007年07月27日 | 歌舞伎

(写真は松竹座前。右が『鳴神』、左の絵は『橋弁慶』です。)

 

大阪松竹座 新築開場十周年記念

七月大歌舞伎 関西・歌舞伎を愛する会 第十六回  昼の部

 

一、歌舞伎十八番の内 鳴神(なるかみ)            

 

 鳴神上人    愛之助  

 雲の絶間姫  孝太郎        

 所化白雲坊  市 蔵           

 所化黒雲坊  男女蔵           

 

 先週中頃、 七月大歌舞伎の昼の部を観た。

 一つめは、歌舞伎十八番の内 鳴神。

『鳴神』は何度か取り上げているので、ここではあらすじは控えさせていただきますが、雰囲気だけ記録しておきたいと思います。

 十三日、海老蔵丈がお怪我をなされ、代役に愛之助丈。

『鳴神』は成田屋さんの十八番。

 海老蔵丈の鳴神上人は期待していたが、お怪我とあっては致し方ない。

 急遽、人気役者で男前。力のある愛之助丈が演じられた。

 愛之助さんは鳴神上人は初めてとのこと。

 少し控えめだが、上品で、気の利いた鳴神上人。

 品のありようが、この鳴神上人には、ある意味、ぴったりな役者さんだった。

 

 雲の絶間姫扮する孝太郎丈は好きでした。

 眉毛は雲の絶間姫特有の逆八文字。

 孝太郎丈の品の良さに、また違った雲の絶間姫を見出すことができ、満足いたしました。

 

 鳴神上人と雲の絶間姫のやり取り、

「ここが乳。・・・乳の下ぁ~っ。」

のイントネーションはさらりとしたもので、少しはぐらかされたような気もいたしましたが、その後の愛之助さんの、我に返り『はっ!』とした表情はなかなかのものでした。

 とにかくさわやかな鳴神上人といったところでしょうか・・・

 

 今回の『鳴神』の部屋に入る場面も、現代の方を使用。

 完全に襖を閉め、ことの成り行きを表されていました。

 

 最後に今回の『鳴神』には市蔵さんが出演。

 この役者さんも好きなんですね、私・・・

 ちなみに私、好きな役者さんは、手の指、脚の指を足してもたりません。

 上手いと好き、男前だと好き・・・で、好きな役者さんがいっぱい。

 黒雲坊と白雲坊の酒魚(蛸)の場面もさることながら、花道に引っ込む時の、

「ずぼんぼえ ずぼんぼえ。」

は、『鳴神』を観ているといった感じがいたします。

 やはり私としては、品位を保ちながらも 漫画のようないやらしさや、ねちこさをも含む 『鳴神』を期待してしまうんですね・・・恥ずかしながら・・・

 

 『鳴神』も好きな演目の一つ。

 今後も愛之助さんや海老蔵さんでも、また他のベテラン役者さん方でも、鳴神上人を観てみたいと思う、乱鳥でした・・・

 

 

 乱鳥の『鳴神』記録(鳴神上人=我當)です ↓http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/bf9bc57cfa2b321e61cb8387971b1692

 

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道頓堀川に『文楽船』や『落語船』が浮かぶ

2007年07月26日 | 舞台・音楽 雑感メモ

 

 七月二十五日。

 大阪では天神祭りが有名。

 用があって、この日は道頓堀に出た。

 

 午後三時半。

 道頓堀川まで行くと、『文楽船』や『落語船』が浮かんでいる。

 なにやら浴衣の衆が船に乗り込み、準備に追われている。

 男衆は腕をまくり、太鼓のバチを持った人もいた。

 祭りには、男衆がよく似合う。

 

 揃いの浴衣の女性たちは華やかだ。

 船に乗り込んだかと思うと、すぐに降りて、ビルの陰に身を潜める。

 団扇でパタパタと小ぜわしく扇ぐ姿は、浴衣から腕が見える。

 男性から観れば、こういった夏の風情は 色気があって、また良し! といったところだろうが、生憎 女の私には興味はない。

 

 祭りは四時過ぎからとのこと。

 生憎のようで、残念無念と、あきらめる。

 

 川沿いに、『山本能楽堂』の提灯を見つける。

 まだ知らぬこの能楽堂。

 何気に親しみを覚え、シャッターを押す。

 是非行って、能を楽しみたいと思う、ある夏の日であった・・・・・・

 

 

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大阪・天王寺~四天王寺わき道の路地で、プチ旅行気分

2007年07月26日 | お出かけ

 

 天王寺から四天王寺に行く途中、三井住友銀行がある。

 その左横に、細い路地がU字型に通っている。

 

 三井住友銀行の裏口がある、すぐ左横の路地にはレトロな菓子屋が軒を連ねている。

 駄菓子風のものが多く、よくみるとおまけのようなおもちゃや酒のあてのようなするめ類も多い。

 昔の一文菓子屋風の店は、小ぜわしいほど細かな菓子が 並べられている。

 

 菓子屋にはシャムネコまがいのお洒落な子が、ガラスケースの上に乗っかって、前足で頭をかいていた。

 レトロな菓子屋には、シャムネコが、ことのほか よく似合う。

 

 菓子屋のちょうど中央には、トイレがあり。

 入ってはいないがここには、『公衆便所』と書かれた シンプルな看板が合うこと、しきり無し。

 タイムスリップにあったようで、大通りとの時間の流れ具合うが全く違う。

 

 U字通路を曲がると、左の通りには、大衆の飲み屋が多い。

 なんだか離島か海のある、その土地の飲み屋の、軒を連ねたような場所。

 日本的というか、アジアン的というか、とにかく変わった場所だが、興味が引かれる。

 夫も私も、こんなところが天王寺にあったとは・・・・・・初めて知った。

 

 後で子どもに尋ねると、結構、煩雑なところの結構近くらしい。

 天王寺に詳しい子どもも、ここの路地は知ってはいたが、通ったことはないという。

 子どもに、少し説教を受ける。

 当の本人のバカ夫婦は、なんだかプチ旅行にいった感じで、小十分程度だが、楽しいひと時が送れた。

 

 大阪はあまり知らないが、他にも色々楽しいところがあるのだろうな。

 これは行かないわけには行かないぞ・・・

 大阪でわき道を探索する楽しみが一つ増えたかも・・・と、いつもになく 喜んでいる。

 

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信号機故障により、阪和線全線ストップのため、JR天王寺駅大混雑

2007年07月25日 | お出かけ

 

 7月25日。

 突然 お菓子が食べたくなって、百貨店に行こうと思い、天王寺に出る。

 

 JR天王寺駅西口を出ると、なにやら、大混雑。

 いつもの雰囲気とは、まるで違う。

 あまりの人だかりで、あたりは蒸し風呂状態。

 見渡すと数多くの報道陣。

 TVのカメラマン、写真のカメラマンが多い中、携帯電話やデジカメであたりの様子を写す人も多い。

 

 可能な駅員は総出動といった感じで、乗客の対応に追われている。

 心配そうな人、根ほりはほり聞く人、中には駅員に くってかかる人もいる。

 駅員は、いつ阪和線が回復するかわからないと説明。

 対応に追われているといった感じがする。

 

 ちょうどその時間は付近の私立の中高生も駅につく時間で、ぐったりとした表情。

 進学校の学生は気の毒だ・・・

 

 この日は天神祭りともあって、浴衣姿の若者も多い。

 おそらく和歌山方面の友人を待っているのだろうか・・・

 地面に座ったり、壁にもたれかかったり、団扇をパタパタさせる若者がいたるところにいた。

 

 報道陣のインタビューに快く対応する老人やおば様方には頭が下がる。

 一社が終わると、また次のテレビ局が同じ老人にインタビューしていた。

 老人やおば様方は 終始一貫してにこやかで、カメラを向けられることに抵抗は無く、まんざらでもない様子だ。

 

 四時四十分頃、突然阪和線は回復したむねの放送が流れる。

 駅員はメガホンで「阪和線に乗られる方は八番線にお乗り下さい。八番線に・・・・・・」

と連発。

 いっぱいの人だかりは、改札口になだれ込み、左方向(八番線)に先を争うように向かう。

 人だかりは四分の一に減り、多くのカメラマンが仰々しく目に付く。

 何台かのTVカメラマンは八番ホームに向かう人だかりをしっかりと収めていた。

 

 後で写真を見せた子どもに聞いた話。

 こんなにカメラマンが集まったのは、阪和線などがとまっても、みたことがないという。

 ちなみに子どもは、某理由で、天王寺となじみが深い。

 

 夕刻、夫と子どもに電話をしてと待ち合わせる。

 夕食のおかずを作っていたのに、急遽三人でお食事。

 HOOPのバーバラマーケットプレイスで旨い酒を飲む。

 料理や つまみ、パエリアなどで 合計十二、三品ほど頼むが、丸テーブルが手狭なため、片付けては置き、片付けては置き・・・のくり返し。

 まるで黒衣が いらない道具をすぐに片付ける、歌舞伎のようだ。

 

 下宿している子が一緒でなかったのが、少し寂しい。

 今、大学のテスト期間で、子どもは血眼になって対策していることだろう。

 夏休みが楽しみだ。

  

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THE PROMISE 無極   チャン・ドンゴン  真田広之

2007年07月23日 | 映画

(写真は中国・雲南省の昆明にある、石林。ここは石林が広大でダイナミック。かなり有名な奈観光地で、中国人観光客も多い。桂林近くの玉石林とはまた違った表情を見せてくれる。私はここ、石林も好きだが、しっとりと落ち着いた感じの、夕日の玉石林も好きだ・・・中国ではいたるところでこのような石林を見ることができる。)

 

  THE PROMISE  無極

 

 満足度 ★★★☆☆

 感動度 ★★★☆☆

 面白さ ★★★☆☆

 色彩美 ★★☆☆☆

 民話的な話の構造 ★★★★☆

 歌舞伎的な画面の構図 ★★★★☆

 京劇的な見得 ★★★★☆

 チャン・ドンゴンの目力と見得の切り方★★★★★+★

 

 

 

 中国

 監督 チェン・カイコー

 

 キャスト

  チャン・ドンゴン

  真田広之    

  セシリア・チャン    

  ニコラス・ツェー    

  リィウ・イエ    

 

 まるで漫画のように面白かった。

 しかし面白いだけではない。

 しっかりとした話の構図が、この映画には描かれている。

 

 ここではあらすじは省かせていただきますが、見とれる画面といただけないCG部分が混在した感じのする映画でした。

 

『白波五人男』『野田版ねずみ小僧』の屋根上部分を意識した中国的な趣を感じさせない 屋根。

 屋根の上には赤頭の連獅子を思わせる衣装、鬘。

 

 女は鳥の羽織を着せられ、大きな鳥かごに・・・

 女を助け、まるで凧(鳥)のように飛ばすが、その衣装は どう見ても歌舞伎の『源九郎狐』の宙吊り・・・

 

 とらえられた広間では ちょんまげ風の歌舞伎のギャラリーのような構図で、付き人が無表情で座り、一本調子で順番に台詞を唱えていく

 

 

 これって・・・・・・

      歌舞伎!だな。

 

 主役のチャン・ドンゴンは、某歌舞伎役者の目力のそっくり。メークやヘアスタイルで、信長役の某役者にそっくり。

 ただ、チャン・ドンゴンは、某歌舞伎役者よりも数段演技力が上。表情も豊かだったことを付け加えておきたい。

 チャン・ドンゴンが歌舞伎役者や京劇風に見得をきると、決まる!正直 格好が良い。

 

 真田広之の起用といい、おそらく、興行採算上、日本をかなり意識して作られたに違いない。

 

 真田広之は今回の少しいやらしい姑息な役を演じきっていたような気がする。

 ただ、顔ばかりが映って、実際に戦う場面はスタントマンや代役。

 きめのポーズと表情は、豊かであった。

 

 回想的美しいシーンがあるかと思えば、下品な如来像のような場面が多様されている。

 狼少年のような昔の漫画を思わせるコマ送りがあるかと思えば、赤蟻と黒蟻の戦いのような場面あり。

 これぞ 良い意味合いで、井波律子さんの書いておられたグロテスクリアリズムに通じるものがあるように感じたのは、私だけだろうか・・・

 

 鳥に意味をおいているところも興味深い。

 火傷を負い、黒い羽のマントを着せられた男。

 時には死の世界に通じる

 時には中国で吉兆文様の一つの孔雀にも見える。

 孔雀は雲南省では、守り神の一つで、孔雀舞なども有名である。

 

 男は死に直面するが、あの世の世界に行く前に、煙となって消え去った同郷の男の黒いマントを身にまとい、生の世界に戻る。すなわち死の再生である。

 民話的 話の構造はしっかりとしたもので、感心してしまう。

 

 余談だが、このマントは、シンデレラの二パターンのうちの一つである『皮かぶり姫』のイメージとも重なる。

 この映画の 原文or脚本or演出は、民話と歌舞伎から構想を練り上げられたのではないかと、私は考える。

 

 小難しいことは抜きに、男前が多く出てくる映画は観ていて心地が良いものである。

 くふふふふ・・・

 

 

 

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女殺油地獄  近松門左衛門作   与兵衛 仁左衛門   お吉 孝太郎 

2007年07月22日 | 歌舞伎

(写真は先週の中ごろ。お昼の部を観た際に、松竹座前にて写す。『女殺油地獄』の絵。)


 


 


七月大歌舞伎・松竹座 夜の部 


 


 三、女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく) 


 


 近松門左衛門作         


 


 河内屋与兵衛   仁左衛門           


 女房お吉      孝太郎         


 豊嶋屋七左衛門  愛之助         


 与兵衛妹おかち  壱太郎            


 芸者小菊      宗之助         


 小姓頭小栗八弥  薪車          


 山本森右衛門   市蔵         


 与兵衛母おさわ  竹三郎         


 与兵衛兄太兵衛  家橘          


 河内屋徳兵衛   歌六


 


 14・15日の両日、松竹座の夜の部を観た。 


 14日は一階最後列中央。


 15日は満席。したがって、初めて 幕見席で観ることにした。


 22日は一階中央席。(これは元々とっていた席)


 


 両日、違う角度から観たのだが、油の流れる様子などは、かえって幕見席の方が、迫力が感じられたのが不思議。


 上から見るため、独特の光沢と流れる速度が、リアルに思える。


 それでもまわりの観客は、急遽、海老蔵丈事故で、仁左衛門丈に代役となった『女殺油地獄』を一目見たさにダッシュされたような見巧者側の方たちが多く、私のような にわか芝居ファンにも 居心地はよく感じられた。


 


 ここで今回観た『女殺油地獄』を、簡単に記録しておこうと思います。


 


 油屋を営む河内屋の次男。放蕩三昧で喧嘩沙汰が耐えない 与兵衛(仁左衛門)。


 借金の返済に困り、親からも金を巻き上げようとした魂胆も失敗。


 親に殴り、けり、実母にも暴力。


 親に説教されながらも、腹ばいになり、金勘定の計算といった道楽ぶり。


 見かねた義父。


 ついに二親は、与兵衛を感動してしまいます。


 


 捨て台詞、去る与兵衛を内心心配気に見送る義父、河内屋徳兵衛(歌六)。


 遠くに見える与兵衛の姿と、先代の主人(与兵衛の実父)の姿を重ね合わせ、勘当する心の切なさに涙します。


 歌六丈の名演技にも注目です。


 


 とうとう家を追い出され、与兵衛は、同じ油やの豊嶋屋の奥方、お吉に頼ります。


 そこで親の慈愛を知る与兵衛。


 もう親に迷惑はかけられないと思い、金を貸して欲しいと迫りますが、お吉は以前と同じ方便だと思い、笑い飛ばして、断ります。


 日にちが変われば、借りた以上の莫大な借り賃。


 鐘の音・・・・・・


 鐘の音によって、話は折り返し地点を向かえ、短絡的行動を誘い、当の与兵衛の表情が変化します。


 お吉に切りかかろうとする与兵衛。


 必死に逃げるお吉。


 お吉は


「子もいる身・・・同度命だけは助けてください・・・」


と切願。


 その台詞を受けて、


「おれにもおれを可愛がる、おやじが愛しい・・・」


の言葉は、心に響く。


 


 こぼれる油。


 倒れ、ひきづられるお吉。


 何度も何度も油で滑る与兵衛、そしてお吉。 


 そして殺し。


 お吉の反り返り、美しい黒髪。そして、死。


 


 与兵衛の表情。手のこわばり。焦り、うばう金子。あかごの泣き声・・・・・・


 与兵衛は油にすべり、お吉の帯の上を歩き、また油に脚をとられ・・・豊嶋屋を後にした。


 おぼつかない足取り。


 与兵衛は花道でふと我に返り、犬の遠吠えにおびえ、終われるように花道を去る。


 近松門左衛門が描く、一部の現代若者にも通じる心理や親の情を細やかなタッチで、歌舞伎の型を取り入れ描く秀作。


 殺しの場面など見どころの多い世話物の名作に、堪能した。


 


 14日、15日の両日共に手を抜かない仁左衛門丈。 


 14日に比べ15日の方が、のられていたような、大胆だったような・・・・・・


 本当に滑ってしまわれたのではないかといった心配なこけ方が一度あり、15日はハラハラドキドキさせられた。


 


 芝居が終わって、子どもは腰を抜かし、思うように歩くことができない。


 目は真っ赤で、心なしか子どもの言葉は迫力があり、声もどすがきいて、低い。


 怒っているのかと思えば、


「今日の芝居は、観てよかったわ。幕見席の為に、7時半から並ぶ甲斐があったわ!」


といって、喜んでいる。


 子どもの脚のカクカクは、松竹座からJR難波駅の席に着くまで続いていた。


 見事な感情移入。


 私は、こんな子どもと一緒に芝居を観ることができ、母としての幸せを感じる。


 


 


 最後に・・・・・・


 先日も書きましたが、アクシデントとはいえ、かねてからの念願であり、夢でもあった 芝居 『仁左衛門丈の 女殺油地獄』を観ることができて、とても光栄に存じます。


 大人気ないのですが、一度も観ることができないと思っていただけに、私にとっては天にも登る心地です。


 夜の部は本来チケットを取っていた楽日あたりに、もう一度家族と観る予定です。


 にわか歌舞伎ファンとはいえ、女殺油地獄を三度も観ることができる幸せを、実感しています。


 


 この場を借りて、海老蔵丈のお怪我の早々のご快復を心より念じております。


 多分、海老蔵丈の『女殺油地獄』や『成神』は、今後も幾度と無く観られるだろうという祈願の意味も含めて、ここで二度目三度目観劇の『女殺油地獄』の記録は止めたいと思います。


 


 間違いやお気づきの点がありますれば、お教えいただけましたら嬉しいです。


 


 

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森之宮で森下仁丹の看板を見つける

2007年07月22日 | お出かけ

 

  どうでもいい話ですが・・・森下仁丹株式会社編

 

 

 先月、歌舞伎鑑賞教室の際、大阪の森之宮で、森下仁丹の看板を見つけた。

 正式には、森下仁丹株式会社。

 森下仁丹は日本の医薬品メーカーの一つ。銀粒仁丹が有名である。 最近はここ何年もご無沙汰だが、かの有名な『梅仁丹』は美味しかったような気がする。

 

 森下仁丹のある通りには、いくつかの写真のような看板を見かける。

 通りの歩道には、森下仁丹の艶やかなは他が、風にたなびく。

 

 写真のように、人物が描かれている。『仁丹』の商標で知られている。

 あまりにも有名なこのマークは、デザイン的に素敵で、なおかつ エッチな感じがする。というのも・・・

 

 今もあるだろうか・・・

 私が大学生の頃、京都の嵯峨野だったろうか・・・秘宝館という意味深な観光の館があった。

 興味本位 女二人で、そんなに広くも無い会場を見て回る。

 すると、錆付いてほとんど絵の見えない森下仁丹の看板が 展示されていた。

 絵が見えず輪郭だけ見える森下仁丹の看板は・・・

 皆さんが想像するとおり、茶色い錆。少しエッチな形だったのです。

 早々、今に比べて 少し仁丹と書かれた部分が、細かったような・・・

 後は申しますまい。

 乱鳥、シモネタは嫌いでございまする・・・???

 

 ちなみに、少し調べてみると、描かれている人物は軍人ではなく、大礼服姿の外交官とのこと。(森下仁丹歴史博物館サイト内の「仁丹商標」の項を参照。)

 しかし帽子は海軍士官儀礼用帽子とのこと。通称『仁丹帽』としても有名だそうです。

 

 

 最後に・・・

 乱鳥、誓って 森下仁丹の関係者及び回し者ではございません。

 

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新古演劇十種の内  身替座禅(みがわりざぜん) 七月大歌舞伎

2007年07月17日 | 歌舞伎

(写真は七月大歌舞伎のポスター。今回は携帯電話にて、子供が写す)

 

 二、新古演劇十種の内 身替座禅(みがわりざぜん)  

 

          

 山蔭右京  仁左衛門  

 奥方玉の井  歌 六          

 太郎冠者  愛之助           

 侍女千枝  壱太郎            

 同 小枝   宗之助  

 

 

 七月十四日と十五日。

 連日、松竹座にて七月大歌舞伎の夜の部『身替座禅』 を観た。      

 

 仁左衛門が大名を愛嬌あり、かわいらしさありで堪能いたしました。

 なんともいえない表情は、仁左衛門のある意味、とても素敵な一面が引き出され、舞台に釘付けの私。

 海老蔵三のアクシデントのピンチヒッターの三演目の『女殺油地獄』のシリアスな演技と『身替座禅』の愛くるしい演技の対比はすばらしく、さすが仁左衛門さんと魅了されました。

 

 花道での

『かえりみすれば~』

で、チラッと振り返るところなんかは、仁左衛門ならではの愛くるしさ。

 

 歌六さんの奥方(玉の井)は、はじめ打つくし過ぎるのではないかと心配したのですが、演技で恐妻家やしこめ加減を表し、また面白さも思い切り表現されていました。

 踊りが見とれるぐらいに美しく、すばらしい舞としぐさに堪能。

 

 愛之助さんの太郎冠者は仁左衛門さんに対して控えめのメークで、好感が持てました。

 手の平も右京の白塗りに対し、そのままで、殿と付き人の序列をしっかりとあらわされていました。

 仁左さんとのやり取りは、美しく男前同士で、満足できる舞台。

 

 松羽目物のこの演目の音楽は美しく、私はとても好きです。

 長唄囃子二あわせて無意識にリズムをとっておりました。

 基本的に能や狂言の好きな私は、義太夫の語りよりもこういった音楽が好きです。

 おそらく京都生まれの私は、祇園囃子などで育ったせいかもしれません。

 

 そういうと・・・

 今日は七月十七日。祇園祭の順行だったのですね。

 この季節、私の場合は、毎日でも 鱧のおとしを食べたくなります・・・・・・

 鱧のおとし。私は梅肉よりも、断じて 辛子味噌派です。

 

 

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鳥辺山心中(とりべやましんじゅう)  愛之助  孝太郎  七月大歌舞伎 

2007年07月17日 | 歌舞伎

(写真は7月15日。道頓堀の松竹座近くの書店前で見た、『らいよんちゃんねるの らいよんちゃん』 =携帯デンワで写す)  

 

 七月大歌舞伎 関西・歌舞伎を愛する会 第十六回

  一、鳥辺山心中(とりべやましんじゅう)  

 

 菊地半九郎     愛之助           

 若松屋遊女お染  孝太郎           

 若松屋遊女お花  竹三郎             

 坂田源三郎     薪 車           

 お染父与兵衛    家 橘            

 坂田市之助     秀太郎

 

 

 7月14日。『女殺油地獄』を一目みんとて、急遽観劇する。

 夜の部の一つ目演目は、『鳥辺山心中』

 

 愛之助さんは仁左衛門化粧。黒い死装束がよく似合う。

 孝太郎 さんも紫の着物で 品がよく、見とれてしまう。

 京都の大橋をバックに展開される 七五調の情緒豊かな半九郎と遊女お染の心中前の言葉のやり取りが美しい。

 

 愛之助さんは若い武士役だが、はっきりとした発音としっかりとした声でした。

 置屋の部屋に案内される前の為、刀が手元にあったのが災いする。というのも、普通は置屋では、女の座敷に上がる場合、刀は預けるのが決まりごととなっている為です。

 

 秀太郎さんが立役は何度か観ていますが、今回は特に素敵な感じがしました。

 可愛らしくて、男前で・・・

 竹三郎さんのきりりとした感じの遊女も素敵で、お二人の寄り添う姿も気に入っちゃいました。

 

 今回の『鳥辺山心中』の刀の交し合う効果音は『カーン、カーン』と高い音。少し新劇風で、なじみの演目が 新しい歌舞伎のような感じがしました。


 

 話は有名なので、あらすじは省かせていただきます。

 

 14日の夜の部は私たちの前方の席に孝太郎 さんの奥方とお坊ちゃん、仁左衛門さんの奥方が座っておられた。

 お子さんは五歳くらいだろうか・・・お芝居三つとも賢く観ておられた。

 時々お芝居の話をされている様子が、やはり役者さんのお子たちなのだなあと感じました・・・

 





 

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