こころの声に耳をすませて

あの結婚生活は何だったのだろう?不可解な夫の言動はモラル・ハラスメントだった…と知ったウメの回想エッセー。

「モラといた日々」と「モラのいない日々」 ~『モラルハラスメント・ブログ』共同企画~

2006-09-09 16:27:04 | モラル・ハラスメント考
 私は夫と生活していた頃、非常な孤独感を抱いていた。家の中では、いつ爆発するかもしれない夫に、びくびくしながら過ごしている私。思いも寄らないことで夫は罵詈雑言の嵐を私に浴びせ、ただただ凍りつきうなだれて嵐が去ることを待っていた私。こんな夫の姿を、そして虐げられている私の姿を誰にも言えなかった。夫との関係を何度立て直そうとしたことだろう。夫の笑顔が見たくて、どんなに笑いかけ、ご機嫌を窺い、夫の望む生活を送ろうとしたことだろう。しかし、それは残念ながら功を奏さなかった。
 絶望し崩れ落ちそうだったあるとき、ネットで『モラル・ハラスメント被害者同盟』を知った。私は目を見張った。このエピソードも、あれも、それも、うちの夫と同じだ!と。その瞬間、私は孤独ではなくなった。それ以来、私は同じ体験をもつ仲間に会いに『モラハラBBS』をよく訪れた。投稿を読み、似たような苛酷な体験に涙した。私は自分の置かれている立場がはっきりわかった。そして私は自分自身を取り戻すために脱出した(詳細はこのブログを最初から読んでいただければと思います)。
 その後私は、『モラハラBBS』に投稿を始め、モラハラ被害を受けた方々と言葉を交わすようになった。パソコンからの文字でも、温かい共感が溢れていた。そこを通して、まっち~さん(モラルハラスメント・ブログ)や宇砂子さん(宇砂子の七転び八起き)と知り合った。お二人と交わした言葉がどんなに私を慰め、私を支え、力づけたことか。このお二人の勧めでその後私もブログを始め、多くの方々と言葉を交わしながら、自分自身を振り返り癒しと力をいただいている。
 この度の共同企画をきっかけとして、モラハラを受け苦しんでいる多くの方々に、気づきがもたらされ、厳しい孤独から抜け出すことができますよう願っています。

〈 夫と生活していたときの日常とは…ある1日 〉
 朝、起きて洗顔し、洗濯機のスイッチを入れる。着替えてから朝食を作る。そして夫を起こす。何度か声をかけるがなかなか起きないため、私は先に朝食をとる(私も働いていたので朝は1分1秒が惜しかった)。そして夫に再度声をかけるとやっと起きてくる。そのままテーブルにつくが、すでに冷めたトーストをひとくちかじり「これいらない」と冷たい視線を投げる。「もう一回焼き直そうか?」「いい。」私は夫の怒りオーラに緊張しつつ自分の食器を流しに運ぶ。そして出勤の支度をすると、夫はトーストだけ残し朝食を食べ終わり新聞を読んでいる。夫の食器も流しに運び、洗う(時間がないからと流しに食器を残すと大変なことになる)。時間を気にしつつ洗濯物を干し、ばたばたと支度して私は暗い気分で出勤。

 夕方…そろそろ退勤時間が気になってくる。早く今の仕事を終わらせなければ…手が震え、血の気が引く。17時15分。いてもたってもいられなくなり、「お先に失礼します」と退勤。他の同僚の視線に気が引ける。そしてスーパーに直行し、夕食の買い物をする(夫は冷凍食品やインスタントは大嫌いだったので、常にその日に購入)。ああ、どうしよう、今日のメニューが頭に浮かばない。手が震え、心臓の鼓動が速くなる。時間を気にしながらとにかく食材を選び、急いで家に帰る。すると夫が既に帰ってきている。「ただいま。すぐ作るからね」と座る間もなく、料理を始める。
 「今日の夕食は何?」「豚の生姜焼き」「時間かかるのか?」「30分くらいで作るから」「おい、俺は6時に夕食を食べたいんだよ。わかっているだろ?…今すぐ食べられるものを買ってこい!!いますぐにだ!!」鬼のような顔をして怒鳴る夫。私は涙をこらえてまたスーパーに走る。しかし買ってきた総菜はまず食べない。
 それか、夫はイライラして夕食を待っている。私は恐怖で震えながら夕食を作り、食卓に並べる。夫は「はあ~~~っ」と溜息をつく。そして乱暴に音を立てて箸を置いたり、お茶碗を置いたりする。そしてわざと大きなゲップをしたり、溜息を吐く。「お酢とって」「お茶!」と言い、そのたびに私はテーブルを立つ。そして私は小さくなって下を向き、惨めな気持ちで黙って食べる。夫は食べ終わった後も怒りオーラを放っている。
 私はとにかく夫を刺激しないように、顔色を窺いながら夕食の片づけを始める。夫はテレビを見て笑い出した。よかった…機嫌が直ってきた。私はほっとする。「梨があるけど食べる?」と話しかけると「おお」と上機嫌な返事。私はちょっと嬉しくなり梨をむき、だした。夫と私はテーブルにつき梨を食べる。「これ甘くておいしいね」「そうだね」返事ひとつにも細心の注意を払いながら私は答える。以前うっかりそのままおしゃべりしていたら、夫がいきなり怒りだしたのだ。「おい、その日本語は何だ。おまえと話してるとほんとにイライラするんだよ。どうしてそんな話ししかできないんだ?あぁ?だいたいおまえはだなあ…」と始まってしまった。それ以来極力おしゃべりしないようにしてきた。
 その後デザートのお皿を片付け、お風呂を入れる。夫がお風呂に入っている間、洗濯物を取り込み、たたんでしまう。ワイシャツにはアイロンをかけておく。その後私は自室に閉じこもり、本を読んだりパソコンを触ったりしているが、その間も夫が廊下を歩く音、ドアを閉める音に耳をそばだたせ、夫の機嫌を推し量っている。
 夜も更け、もう寝ようと思った頃夫が「おい、ちょっとここに来て」とリビングから私を呼ぶ。急に私の動悸が激しくなる。また…何だろう…。テーブルに座ると夫が「おまえ、まだ気がつかないのか?」「何を?」「俺はずっと我慢していたんだ。おまえが気がつくまで」「…。」「俺が何に怒っているのかわからないのかっ!?そうだろうな、おまえは鈍感だからなっ!!」夫の罵声は酷くなった。夫の罵詈雑言…私がいかに家事をおろそかにしているか、私がいかにダメ人間であるかを強調し、徹底して蹂躙する。私はただただうなだれて凍りつき、小さな声で「すみません」「ごめんなさい」「気を付けます」を繰り返す。2時間も経った後、ようやく夫は「まあ、俺も言い過ぎた。でもおまえもしっかりしてくれよ」と言い、やっと解放された。午前2時…。明日も仕事…私は真っ暗な気持ちで布団に入った。なかなか眠れなかった…。

 こんな日々に、私は疲れ果て、絶望と抑うつ的な気分に覆われていた。円形脱毛症にも悩まされた。私が受けた一番のダメージは、夫の前で卑屈になり惨めに打ちひしがれた自分自身の姿だった。私はもっと楽天的で前向きな性格だった。しかし夫の前ではオドオドし、びくびくし、顔色を見、足音に怯え、卑屈になり、機嫌を窺い、ぼろくそな罵詈雑言を浴びせられても黙っている。この私は何?私はこんな自分のまま夫との生活を送り、こんな惨めな私のまま生きていくのか?これでは私が可哀想すぎるよ!!
 そして私は夫と別の生活を送る決意を固めたのだ。

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 現在は別居という形のままひとり暮らしを送っている。
ささやかな幸せ』を読んでいただければと思う。
 私は夫と離れて、やっと自分を取り戻した。本当は夫と一緒に私を生きていきたかった。しかしそれは、私自身を生きることができない生活だということがやっと理解できたのだ。私が死んでしなうような生活からは離れればいい。そして、本当の自分を生きればいいのだ。それがどんなにしあわせなことか、私はやっとわかった気がする。

 私がまっち~さんのブログに初めてコメントを入れたのは、平原綾香の「ジュピター」のことについてだった。その英語版と和訳したこの歌詞を読み、私は自分自身をもっと信頼しよう、と思ったのだ。私が感じる嫌なこと、恐いこと、悲しいことを我慢して見ない聞かないふりをしないで、もっと自分のこころの声を聴き、それに応えていこう、としみじみ思ったのがこの歌詞だ。
 このブログを読んでくださった方に贈ります。
どうか、ご自身のこころの声を聴き、その正直な声を大切にしてください。その声は必ずやあなた自身を生きる道へ導くことと思います。

『The voice ~“Jupiter”English Version~(対訳)』

いつも私は自分の心に耳を傾ける
どうすれば良いかわからない時
何にも確信を持てない時
私は自分の心の声を信じる

だから、あなたが道に迷って
天使や救いの手が欲しいとき
すべてがあなたの肩に掛かっているように感じるとき
ただあなたの心の声を信じなさい

いつも私は自分に耳を傾ける
何も感じることができないとき
自分の強さを何処にも見つけることができないとき
私は自分の心の声を信じる

私の中の…

時々、人生は思いもしない方へ行ってしまう
そして、それが何処に行き着くかは分からない
それは戦い 誰もあなたの代わりはできないし
何一つ自分が思ったようにはならない

でもあなたがなすべきことの答えを
探し求めているときも
もうこれ以上何も見る必要はない
ただあなたの心の声を信じなさい

いつも私は自分の心に耳を傾ける
何も見えないとき
何も確信を得られないとき
私は自分の心の声を信じる

すべてがあなたの肩に掛かっているように感じ
自分の進むべき道を探しているとき

いつも私は自分の心に耳を傾ける
何も感じることができないとき
自分の強さを何処にも見つけることができないとき
私は自分の心の声を信じる

私達は皆、心に葛藤がある
疑いで頭が一杯になっているとき
良い助言もあなたを迷わせてしまう

いつも私は自分の心に耳を傾ける
どうしたら良いのかわからないとき
何にも確信を持てないとき
私は自分の心の声を信じる
いつも私は自分の心に耳を傾ける
何も感じることができないとき
自分の強さを何処にも見つけることができないとき
私は自分の心の声を信じる

私の中の…



14 コメント

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楽しみにしてましたよ~♪ (宇砂子)
2006-09-10 12:26:09
この歌詞、すごく心に響きますね



本当に、自分の心からの正直な声を、

大切にしてくれる人が増えるといいですね。



誰だって、自分自身を幸せに大切にする権利があるんですもん!



ってことで、トラバさせてもらいました~
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涙が・・ (ちっこ)
2006-09-10 16:17:28
届きました

この詩のメッセージが・・・



何度も何度も読んで涙が出ました



今は心が濁ってしまって自分の心の声も聞こえない気がするし、自分の声すら信じられない心境なんだけど

でも耳をすませてみます



私の心の中をじっと目を凝らして見てみます



本当に素敵な詩をありがとう

ずっと大切にします

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私もです~(^^) (宇砂子さんへ)
2006-09-10 20:26:08
宇砂子さん、こんばんは~!



宇砂子さんの「10分間の幸せ」、よ~~くわかりますよ~!

モラといる時にはこの10分が許されなかったですもんね~。

モラといる時は、仕事が終わって家に帰ってから

座ったことなんてなかったですもん~!



そうなんですよ~。

平原綾香の英語版「ジュピター」の歌詞、すご~くいいですよね。

私も感動しました。

この歌詞を何度も読み、そうだ、私は既に心の中で

答をだしていたんだ、と痛感しました。



宇砂子さ~ん、私も初トラバさせてもらいました~(^^)

これでトラバの仕方がやっとわかったわ☆

ありがとう~
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きっと大丈夫ですよ~ (ちっこさんへ)
2006-09-10 20:34:31
ちっこさ~ん、



ちっこさんの悲しみも、ちっこさんの怒りも、

ちっこさんの喜びも、ちっこさんのくやしさも

全部ちっこさんのものなんです。

そのままちっこさんのこころの声なんですよ。

ちっこさんの苦しみも、ちっこさんの迷いも

そのままちっこさんのこころの声なんです。

濁ってなんかいませんよ~。



私もこの歌詞を知って、

何度も何度も読んでいます。

どうしていいかわからないとき、

混乱しているとき、何度も読みます。

ちっこさん、一緒に読みましょう~

     ウメより
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ありがとう (カリメロ)
2006-09-11 18:23:06
初めて書き込みます。ジュピター泣けてきました。結婚19年になります。子供が二人います。モラルハラスメントの言葉に出会い、自分を責めつずけた毎日を振り帰っています。苦しかった。苦しかった。そして、今もまだまだ闇の中。別居、離婚を真剣に考えています。ジュピターが、沁みました。
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大切に… (カリメロさんへ)
2006-09-11 22:44:01
カリメロさん、はじめまして



カリメロさんの血を吐くような苦しみが伝わってきます。

カリメロさんはずっとがんばってこられました。

もう十分だと思います。

カリメロさん、どうかご自身の力を信じてください。

カリメロさんはひとりじゃないですよ!

     ウメより



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一緒です (にじこ)
2006-09-11 23:28:54
元夫と同じです

全く一緒でドキドキしました



なにも考えずにゆっくりできる時間はありがたいですよね

自分の心を取り戻せてよかったと思います

本当に自分のために生きていきたいです

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ほんとうに! (にじこさんへ)
2006-09-12 00:09:44
にじこさん、こんばんは



そうだったんですか。

元夫さんと全く一緒…!?

にじこさんもかつては非常に苦しまれたことと思います。



ほんとうに、ただゆっくりできる時間があるだけで

とてもしあわせに感じます。

にじこさん、元夫さんと離れることができて

本当によかったですね。

離れられたのは、にじこさんのこころのパワーが

発揮されたのだと思います。

お互いに、自分を大事に生活したいですね!

     ウメより

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久々に・・・ (とんぴー)
2006-09-13 16:38:22
はじめまして、私もただいま実家に脱出して、一人身です。



色々なブログを読ませていただいていますが、久々にフラバッてしまいました。

でも、改めて今の生活の幸せを感じる事が出来ました。



素敵な歌詞ですね。

随分長い間、自分の心と会話をしていませんでした。自分を守るために本当の心の叫び声に耳を塞いでいたのだと思いました。



まだ、うまく自分の心に耳を傾ける事が出来ません。

いつか、必ず、心の底から笑える日が来る事を信じて、自分を大切にして生きて行きたいと思います。



素敵な歌をありがとうございます!
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きっと大丈夫です! (とんぴーさんへ)
2006-09-13 22:14:39
とんぴーさん、はじめまして



とんぴーさんも、苛酷な生活から脱出されたのですね。

脱出できて本当によかった!

ご自身のこころの声をしっかりキャッチされたからと思います。

安全な場所で、ゆっくり休むことが出来れば

いずれ必ずご自身のパワーが蘇ってきます。



この歌詞、本当にいいですよね。

私も初めて読んだとき、すごい歌詞だと感動しました。

それ以来、何かあると必ずこれを読み

こころを静かにして、じっくり考えるようにしています。

いつでもどうしたいかは、自分自身のこころの中に

答があるように思います。

とんぴーさん、もう大丈夫ですよ!

     ウメより

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