こころの声に耳をすませて

あの結婚生活は何だったのだろう?不可解な夫の言動はモラル・ハラスメントだった…と知ったウメの回想エッセー。

一歩一歩

2007-02-12 22:45:25 | 離婚に向けて
 先週は休みを取り、父親の手術に立ち会い予後を見守った。年寄りへの手術は酷だ。この前まで普通に生活していたのに、検査で癌が見つかり自覚症状もないまま元気な姿で手術室へ入った。そしてその後はぐったりだ。まさにスパゲッティ症候群。首や腕や背中点滴が3つも4つも刺さり、おまけに尿道にカテーテルで、手術した後病人になってしまった。筋力も急激に落ち、医者や看護師から「寝たままでなく上体を起こしたり歩いたりしないと回復が遅くなる」と言われ、上体を起こそうとするものの術後の傷が痛くて(痛み止めは点滴されているものの)気力も萎えてしまうらしい。父親はすっかり参ってしまった。肺の機能も落ち、水が溜まりつつあると言われ「深呼吸して」と言われるが、呼吸するたびに傷が痛い父親にはただの拷問的言葉だったらしい。父親が顔を歪め「そんなこと言われてもできないよ」「あんたたちにはわからないんだよ」と看護師に言うたび、こちらもはらはらしていた。しかし主治医に「このままでは肺気腫になり人工呼吸器が必要になってしまう。そうなると寝たきりになりますよ」と言われ、家族も焦って父親に「深呼吸して」「少しでも体を起こして」と言うが、父親は「もう今日はいい」と苛立つだけだった。

 こんな状態を見ながら、人間の尊厳とは?と思ってしまう。父親はもうかなりの年齢だ。そこで自覚症状もないまま検査で癌が見つかった。そして悪い物を取り除こうと手術する。しかし、良くなるために手術したのに、その後合併症や体力消耗で健康な部分が失われ、寝たきりになってしまったら…まるで病人になるために手術したことになってしまう。それだったら、たとえ検査で癌が見つかっても、そのままにして通常の生活を続けて生活の質を保ち、いよいよ悪くなってきたら痛み止めを打ちながら穏やかな最後を迎えた方がいいのでは、と思ってしまった。悪い物を取った方がいいからと手術したら、後のダメージが酷いまま寝たきりになって、何本ものチューブにつながれ、おむつをされ、尿道カテーテルを差し込まれ、何の楽しみも見いだせない苦痛の日々を送るよりもよっぽどいいのではないかと思ってしまう。
 しかし、いずれも術後のことはわからないのだ。もしかしたら良くなって寿命が延びるかもしれないし、逆にダメージが強く寝たきりになりチューブで生かされるという非人間的な生活になるかもしれない。手術しない方が健康でいられる期間が長いかもしれないし、そうでないかもしれない。医療はひたすら治療を勧めるだろう。しかし本人も家族も、いったい何がいいのか悩み、選択した後も苦しみ続けるのだ。

 モラ夫との結婚生活も少し似ているのかもしれない。もう少し自分ががんばったら、努力したら、夫は優しくなるのではないか。もう少し様子を見たら、夫も気づいてくれるのではないか。良い方向へ変わるのではないか…。
 もしかしたら夫は変わらないかもしれない。酷くなる一方だ。一緒に生活することが苦痛だ。自分がなくなってしまいそうだ。自分らしい人生ってなに?夫と仲良く生活したいと思っているのに、どうしてこんなに苦しいのか?もう離れた方がいいのかもしれない。でも離婚したら、私は生活できるだろうか?離婚して果たして自分らしく生きていけるのだろうか?

 いったい自分はどんな選択をしたらいいのか…その後が予想もつかないため、ほんとうに悩んでしまう。しかしあまりに苦しく、あまりに自分を殺すような状況は、自分が望む方向ではないように思う。
 自分がどうしたらいいのか。選択できる力を持つために、ありとあらゆる情報収集をし、同じような体験を持つ方々からの知恵を学ぶべきだと思う。そのことには貪欲にならなければならない。なぜなら他人に人生を支配されるのではなく、自分で自分の人生を生きる力をつけるために!

モラハラ同盟の大ママさんからお知らせです。*************************************

みなさまへ

2月13日、14日の2日に渡り、TBSの報道番組「イブニングファイブ」にて
モラハラの特集が放送されます。弁護士の荘司雅彦先生、カウンセラーの中尾英司さん、そして被害者の方たちの生証言により構成されています。
http://www.tbs.co.jp/eve5/

時間は17:30頃から10分~12分程度ですが、その日のニュース状況により、日にちも含めて大きく変わることがあります。残念ながら一部の地域では放送していません。

TBS報道部スタッフの方々は、本当に真剣に取り組んでくださいました。
まだモラハラを知らず苦しんでいる方たちが、言葉を知ることで救われますように。

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 私はといえば…父親の見舞いにきた弟夫婦に頼んで、こっそり離婚届にサインしてもらった。母親にも言おうと思い、ちらっと「離婚しようかな~」と言った。すると母親は「まだいいじゃない」と言う。「だっていい人が出来たらどうするの?」「いい人?いるの?」「いないけど」「じゃあ、できたときすればいいじゃない」と言われた。あくまで離婚に抵抗のある母親。しかし離婚は私の問題だ。私は母親はほっとくことにした。そうだよ。母親に相談しても、今までろくな事がなかったはずだ。いつも批判されいちゃもんつけられていたのだ。そう、今まで通り報告すればいいのだ。これは私の人生だ。

 近々役所に提出に行く予定だ。複雑だけど、他人の意のままでなく、自分の人生を生きたい私の選択だ。もう十分苦しみ努力し、熟慮した。もういいよ。もういいんだよ…ね!