こころの声に耳をすませて

あの結婚生活は何だったのだろう?不可解な夫の言動はモラル・ハラスメントだった…と知ったウメの回想エッセー。

決着

2007-02-24 16:52:48 | 離婚に向けて
 朝、ゆっくりと目覚めた。カーテンを開けると陽の光と暖かさが部屋を満たす。天気予報によると今日はまた寒くなるようだった。のんびりと新聞を見た後、しばらく放置していた離婚届を取り出し、テーブルの上に広げた。記入に間違いがないか、各欄をチェックする。
 証人欄は、先日父親の見舞いに行った際、弟夫婦に記入してもらった。それも母親が病室にいる間、弟夫婦の車の中でこっそり記入してもらったのだが、何か秘密めいた親には言えない行為をしているようで、思わず苦笑いだった。弟も母親の性格をよく理解しているので、その辺は意見することなく、サラサラと済ませてくれた。
 その後、他の自治体にあった戸籍謄本も取り寄せ、書類はそろっていた。

 離婚届けを提出する際、間違いが無いようにと、平日市役所に提出し確認したかったのだが、仕事も忙しく休みを取ることもできない状況だったため、休日受付の窓口に提出することにした。
 いよいよこれを提出する日が来たんだな、と思う。心は静かだった。

 バスに乗り市役所に向かった。建物の正面玄関に回ると休日のため閉まっていたが、休日窓口の案内が矢印で示されていた。窓口に行くとおじいさんともいえるお年の守衛さんがいた。この人に渡して大丈夫なのか?と不安になるが「書類を提出したいのですが」と言った。「何のですか?」「離婚届です」「ああ~、そうですか、わかりました」と言ってくれたのだがそれでも私は大丈夫だろうな~、と思いつつ書類を渡す。「これで間違いはないでしょうか」と確認するが、守衛さんは書類を眺め「大丈夫でしょう。もし何かあったら役所から連絡が行きますから。これは今日預かって月曜日に手続きされますからね。今は12時35分、この時刻に確かに受け取りましたから。」と言われた。といっても守衛さん、あなたその時刻どこにも記録する気配がないんですけど…(^^;)
 そしてあっけなく役所を後にした。大丈夫かな~と一抹の不安が残るが、とにかく提出した。

 相変わらず心は静かだった。
 今まで存分に悩み苦しみ悲しみ右往左往し、何かある度に、こころがざわつき波立つ度に、ブログを通してあれこれと皆さんに聴いていただいた。一歩踏みだし、また一歩下がりしながらも、いつのまにか心は前に進んでいたようだ。この過程を十分噛みしめ様々な方と言葉を交わし、心から納得し自分で決断したからこそ、心静かにこの日を迎えられたのだと思う。
 公園で子どもが笑い、追いかけっこをしている。夫婦がおしゃべりしながら歩いている。行き交う人々の中を、私はゆっくり歩いた。商店街を抜け、私は神社に向かった。
 
 夫との生活があまりにも辛く、精神的にもかなり追いつめられていたときに通った厄除け神社。神社でいくらお願いしても、それが現実を変えるなんてことは思いもしなかったが、ただ、行って震えながら手を合わせずにはいられなかったあの時(『戦慄』)…。鳥居をくぐり、ゆっくりと拝殿への階段を上った。
 あの時の自分を想った時、思わず涙がこみ上げてきた。私はこうやって、神社に来たんだ…。そして別居し、この神社のそばで自分なりの暮らしを送ることができている。私は手を合わせ、目を閉じた。

 神さま、ありがとう。これからもどうか私をお見守りください。

 いつどんな時も、どんなことがあっても、私は私。必要以上に私を苦しめないように、私がごくあたりまえに、笑ったり、楽しんだり、泣いたり、怒ったり、不安になったり、喜んだり、していけますように。もう誰からも必要以上に支配され抑圧されることがありませんように。

 皆さんの温かい共感と励ましを力に、今日を迎えることが出来ました。
 ありがとうございました。