２０１３年度健康福祉常任委員会視察②～岐阜市、掛川市

　（つづき）

【岐阜県岐阜市】─岐阜市民病院─

　岐阜市民病院では、経営方針、地域医療連携、がん診療、精神科など多岐にわたる内容を視察させていただきました。冒頭、院長の冨田栄一先生からお話をうかがった（冨田先生の講演は、地域医療政策セミナーで聞いたことがあります）。

　そのキーワードは「心にひびく医療の実践」。「心にひびく医療」という言葉を、「心にひびく看護」「心にひびく清掃」「心にひびく医療事務」とすべての病院内の職種に当てはめ、言い換えて実践しています。

　「だれの心にひびく医療」なのか。それは「自分の心」にひびくということだと冨田先生。一生懸命、最善を尽くせたのかは一番自分がよくわかるのだから、自分が納得して仕事をしていくことが重要だと語られていました。

　「心にひびく医療の実践」を具体化するのが、岐阜市民病院ＢＳＣ。院内で管理会議をおこない、病院の強みや弱み、患者からの要望に対しての対応、外的要因などを議論したうえで各科ごとの戦略目標を立てていくといいます。それを一年間ごとに目標の達成度などで研修費用にインセンティブをつけ、かなりのモチベーション維持になっているということでした。

　また、紹介率と逆紹介率を引き上げるとりくみも非常に学ぶべきことが多いと感じました。とにかくリアクションは早く、紹介してくれた開業医さんとの連携を重視しています。地域連携部が一括して紹介と逆紹介を管理して、未返事の対応も迅速におこなっており、こうした努力などによって、平成１６年度に４１・４５％だった紹介率は２４年度には５８・１７％に、逆紹介率は５５・５７％が７１・８２％へと大きく数字が伸びています（逆紹介の最高は平成２１年度の７９・３５％）。がん診療連携拠点病院としてのとりくみは、５大がん地域連携パスを活用して連携を強めています。

　精神科は５０床の入院施設があり、県の中でも精神科医が少ない元で拠点としてとりくみをすすめています。とりわけ、合併症の方の手術に積極的対応していることが、近隣の精神科の病院との関係でもとても喜ばれているとお話がありました。一人ひとりに合わせた支援が必要であり、デイケアセンターを開設。こうしたデイケアは、福祉でやるのか、医療でやるのかという選択が迫られる課題ですが、両方とも受け皿があること機能分担が求められていると強調されていました。窓口を広くしていくことが何よりも重要です。

　病院の建て替えが終わり、うかがったときには駐車場の整備をしていたところでしたが、建て替えをメガトラス工法というめずらしい方法によっておこなったことは特筆しておきたいと思います。

　岐阜市民病院で言えば「心にひびく医療の実践」という理念がすべての病院業務に貫かれていることが何よりの強みだと感じました。

【静岡県掛川市】─掛川市地域健康医療支援センターふくしあ─

　掛川市地域健康医療支援センターふくしあでは、医療、保健、福祉、介護の総合的な在宅支援について視察させていただきました。

　ふくしあの地域包括ケアは、行政を軸に地域包括支援センター、社会福祉協議会、訪問看護の連携によって在宅の支援をしています。そこにはいくつかの特徴があります。一つは多職種連携、二つは執務室のワンフロア化、三つはアウトリーチの重視、四つは垣根のない支援、五つは予防的視点を重視した支援。これらすべてが重なり合いながら、各事業所ふくしあで事業をおこなっています。

　職種では、保健、社会福祉士、主任介護支援専門員、コミュニティソーシャルワーカー、看護師、そして行政の事務職。貧困世帯の増加、核家族化がすすむなかで一つひとつのケースが複雑化・複合化している実態があり、こうしたケースへの対応を早期に発見して解決への結びつけていくための仕組みづくりを重視しています。どの自治体でも、一つひとつの事業をどう連携させていくかは課題となっているなか、このふくしあのとりくみは学ぶべき点が多いと感じました。

　とりわけ重要だと思ったのは、行政が真ん中にすわっているということです。行政が最初に関係団体に行ったときには、率直に言って一緒にやりたくないという声も出されたといいます。ところが、はじめてみると「これはいい」という声が出されているとの話でした。一つのケースを多職種連携で解決に結びついているという具体的事例をあげての報告もありました。

　町田市でも、各部署で努力しているものを連携できるか、そのイニシアチブをいかにして発揮できるかが問われています。

（おわり）

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