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サイケデリック・ペンタトニック!?

カリメロレコード(架空)の店主の何でもござれの日々の音楽コラム

柳ジョージ/敗者復活戦

2005年05月22日 17時10分23秒 | 邦楽
柳ジョージ。
レイニーウッドでの活躍を知らない世代の私にとって、
初めて意識したのはゴールデン・カップスの「スーパー・ライブ・セッション」か、
パワーハウスのアルバムか、はたまたストロベリーパスだったか。
そう確実に私の中の柳ジョージのイメージは、ジャック・ブルース並みの
ベースプレイが出来る素晴らしいニューロック・プレイヤー、というものである。
(日比谷野音でロケットベースを持っている写真があるのだがすごく格好良い!)

さて今回は柳ジョージの著書『敗者復活戦』について。
この本は1979年11月15日小学館から780円で発売されたものである。
表の帯文句には、
「一度や二度失敗したってどうってことはないぜ!
 柳ジョージが熱く語る”生きる”醍醐味!!」とある。
裏の帯文句には、
「ポール・アンカでロックに目醒める。ビートルズ衝撃をうける。
 GS旋風に巻きこまれる。3日でサラリーマン廃業。ロンドン放浪3か月。
 レイニー・ウッド結成。2度目の敗北。竜馬に触発される。
 ショーケンと出会う。 そしていま・・・・。
 30歳。不器用な男、柳ジョージ、魂のメッセージ!!」とある。 

「柳ジョージとレイニー・ウッド」での成功を受けて書かれたと思われる本書は、
裏の帯文句を読んでいただければ分かっていただけると思うが、
敗者のように紆余曲折を得てきた酒に弱い不器用な男がレイニー・ウッドで
成功を得る(=敗者復活戦)までの軌跡を描いた自叙伝である。

これが面白かった。時代が面白いというのもあるし、
やはりYOKOHAMA(本書では「横浜」ではなく何故かアルファベット・笑)出身
ということもあるのかも知れない。ニューロックファンにとっては、
ムー~べべズ~パワーハウス~カップスまでの流れとカップスが解散してから
成毛茂と訪れたイギリスでの様子(ハンブル・パイを見て再びやる気が出たという、うらやましい!その他フリートウッド・マックやロッド・スチュワートなどを見たと書いてある)が生々しくて興味をそそられるだろう。

日本のブルースブレーカーズといまや言われるようになった
横浜の最重要バンド「べべズ」の解散秘話やパワーハウスの様子、
またはカップスでの日々なんて全くもって面白い!
カップスのラストライブ(あの沖縄のステージで火事になったという)は、
昨年めでたく劇場公開され7月に3枚組というボリュームでDVD化されることも
決まったゴールデン・カップスの映画『ワン・モア・タイム』で
各メンバーによって真相が語られているが、
1979年当時にも柳ジョージによって語られていたのだ!
しかも映画よりも詳しく書かれている。

ただそれだけでなく人間としての弱みを素直に表現しているところに共感ももて、
非常に面白く読んだ。サラリーマンをやるも机に向かい続ける人生に疑問を感じ、
3日で止めたこと(ちょっと早く止めすぎだと思うが・・・)、結婚しようと思ってた
彼女の父親を前に大事な一言を言いそびれてしまったこと、酒に弱いこと
(お酒自体は凄く呑めると思われるが呑まずにはいられないということ)などなど。
どれも大人になっていく中で誰もが経験する甘酸っぱい思い出である。
彼も一人の人間なんだなと思った。

これを読んでレイニー・ウッドも聞いてみたくなった。
イメージでは売れたメジャーなバンドというのがあって良いイメージがないけど、
ひょっとしたら凄く格好良いのかもしれない。

でもやっぱり私にとっての柳譲治(最初はこの字でした)は、
最初にあげたようなバリバリのニューロック・プレーヤーである。
一番好きなのはゴールデン・カップスでのプレイ。
特にカップスの「ライブ!ザ・ゴールデン・カップス」での、
これでもかとファズがかかったぶっとい超絶ベースプレイは鳥肌ものである。
その前作「フィフス・ゼネレーション」も良い。
今までは私の記憶だと陳信輝のソロ作やストロベリーパスでのプレイなどの
71年からレイニー・ウッドまで、その活動は途切れ
(活動はしていたと思うが音盤化はされていない)、
その間何をやっていたのか分からなかったが最近CDでリリースされた1974年の
『ワンステップ・フェスティバル』で「デイブ平尾&ゴールデン・カップス」に
ギターとして参加した柳ジョージのプレイが聞くことが出来る。
文章ではママリンゴやニューゴールデンカップスなど語られてはいたものの、
初めてそれが音源化された。この意義は大きい。

ちなみにこの時のメンバーは、デイブ平尾(Vo)・柳ジョージ(G,Cho)・
蜂谷吉泰(G,Cho)・加部正義(B)・金沢純(Ds)である。

この後くらいに広島で活躍していたバンド、メイフラワー(後のレイニーウッド)
出会うわけだが、このバンドの元々のリーダーは「上久保ジュン」という。
この間ディスクユニオンの「富士」レーベルからCD化されたニューロックの
最後の砦とも言うべき「ジュン上久保」とは違う人物なのだろうか。
ライナーには「経歴が謎」とあったのだけれど、一体どうなのだろうか。
気になります。もし分かる方がいらしたらご一報下さい。

最後に本書には写真が数枚だが載っていてこれがすごく貴重。
一つは成毛茂と思われる人物と羽田空港のロビーで一緒写っている写真。
もう一つはカップス時代のもので、何かの雑誌で使われたのであろう、
モップス、ハプニングス・フォー、そしてもう一バンド(名前分かりません)、
計四バンドの集合写真。皆さんこれでもかというくらい髪が長い。
実は古本屋で、こんなすごい写真見たことない!と思って
レジへ駆け込んでしまったのである。

この本はそんなに珍しくないと思うので、興味がある方は是非読んでみて下さい。

ゆらゆら帝国/Sweet Spot

2005年05月20日 12時51分03秒 | 邦楽
遂に発売されました!
ゆらゆら帝国のニューアルバム『Sweet Spot』
これが一聴すると、暗いアルバムなんですが、
何度か聞くうちに病みつきになってきそうな素晴らしい作品です。
まさにスルメのようなアルバム!
いや、今回の作品の場合、タコのようなアルバムですかね(笑)

しかし「考え中」で好きになったようなファンを
ふるいにかけるような内容である。
深いトリップ感というべきか。これぞゆらゆらワールド!
イマイチという人も出てくるかと思いますが、
私はこのアルバムすっごく好きです!
後世に伝えられるべき日本のロックアルバムではないでしょうか。

運がいいことに5/25の渋谷AXと、7/22のチッタのチケットをゲット出来た。
今からすっごい楽しみです!聞き込まなきゃ。

さてゆらゆら帝国の新譜には毎回各社の特典が気になるところですが、
今回はディスクユニオンの特典のバッジが一人勝ちではないでしょうか?
上の写真がそのデザインですが、なんでも坂本氏デザインらしいです。
可愛すぎです。
ちなみにタワーレコードは、ストラップ。
(革の素材でゆらゆら帝国と型押ししてある、正直分かりづらい)
HMVは、バッジ(デザイン未確認ですがイマイチらしい)。
皆さんはどこで購入しましたか?

まだ購入していない方でも、初回限定見開き紙ジャケット仕様なので
お買い求めはお早めに。
というかこのアルバムは内容がいいので本当に買った方がいいですよ。

ダブルオーテレサ/太陽と色彩

2005年05月15日 15時25分02秒 | 邦楽
OOTELESA
アルファベットの「O」を二つでダブルオーテレサ。
現在は曽我部恵一のバックバンドとしての活動の方が有名かも知れない。
バックバンドなんてイヤないい方だけど、これが実に素晴らしい。
それは曽我部氏のニューアルバムにして最高傑作な『STRAWBERRY』を聞いて
いただければ自ずと分かっていただけると思うし、
曽我部氏がダブルオーテレサとともに全国40ヶ所を回ったツアーを
収めたDVD『無政府主義的恋愛ツアー』を見ていただければ、
彼らが愉快でそれでいてロックなバンドだと分かっていただけるだろう。

そんな彼らに私が出会ったのは、2000年。
彼らが一枚目のデビューCD(5曲入り)を出したときだ。
たまたま手にしたチラシに確かゴールデンカップスが好きな
若者四人組みという文字が躍っていたと思う。
買ったのは池袋のHMV。まだ私が大学生の頃だ。
タイトルは『終わりのテーマ』。
正直一枚目で「終わりのテーマ」?大丈夫かいなと思った。
デビューということでまだまだ荒いところもあるし、
録音レベルも低い。それでも心躍るものがあった。
確かな演奏力とひきつけられる楽曲。
そしてそこからちらっとのぞくカップス好きな感じ。

それを受けて翌年2001年に発売された1stフルアルバム『太陽と色彩』。
格段にレベルアップした彼等の渾身の12曲。全曲名曲。
最初の3曲で素晴らしいアルバムだと分かる。
若者らしい疾走感あふれる演奏に分かりやすいメロディー。
そしてさりげなく「古いものも好き」という感じがのぞく。
かげりのある感じもいい。
さりげないからカップスを知らない人だって楽しめるし、
知っている人も思わずニヤニヤしてしまう。そのブレンド具合が絶妙だ。
60年代70年代のロック黄金期を志向して音楽活動を行う人は多いけど、
それを如何に現代に合わせて楽曲を構成するかというのがこれが実に難しい。
そこをかれらはさらりとやってのけた。素晴らしい。
さまざまなタイプの曲が並ぶ中、先のシングルでは聞けなかった
ジャズロック風味(トランペットが入ったワンコードジャム!)や
サイケデリックなものもある。
今それをまんまやってしまうと悲しいかなまず受け入れられない。
それをうま~くやっているのだ。
ベタぼめしてるけど、ボーカルがやや弱くコーラスも単純。
しかしそれを蹴散らすような演奏が素晴らしい!

おそらく曽我部氏もそういうところが気に入って
2ndアルバム『TWINKLE』をプロデュースしたんだろう。
しかしこの2ndは、1stのようなかげりのあるブルースロックではなくなり、
すごくキラキラしたPOPアルバムになっていてガッカリした。
(でも一般的な知名度は曽我部氏のおかげもありこのアルバムから上がる)
人によって好き好きだと思うけどあまりなじめなかった。
ライブも見たけどちょっと違和感があった。

そんなこともありしばらく彼らとはずっと距離が開いていましたが、
『STRAWBERRY』と『無政府主義的恋愛ツアー』で思い出し、
久々に棚から『太陽と色彩』を何年かぶりに取り出して聞いてみましたが、
やっぱりこのアルバムは名盤だった!

発売されたときもおそらくほとんど取り上げられなかったと思うこのアルバム
ですが、カリメロレコード(架空)では大大推薦盤です!
今だからこそ推します!

ダブルオーテレサ/太陽と色彩(UKDZ-0001)
1.Waiting How Low 2.ハイウェイ(加速版)3.フライング・ディスコ
4.五月病 5.S.G.S. 6.Blues Breakker 7.夜明け
8.I'll follow the sun 9.錯覚蝶々 10.シンフォニー
11.終わりのテーマ 12.四次元

ダブルオーテレサ公式HP

森園勝敏氏写真集

2005年05月14日 00時45分37秒 | 邦楽
先日書いた森園勝敏氏の写真集買ってきたのでお伝えいたします。
写真集「タメゴロー」第2号(写真)で特集が森園勝敏氏で、
値段は¥1,050。第1号は鮎川誠氏だそうな。

これが1000円じゃ安いだろう?というような
いかしたアイテムなんですよ。

最近の写真が主ですが、それに加え一万字以上の最新インタビューを掲載。
音楽体験のはじめからのインタビューでかなり内容濃いです。
モップスが大好きだったなどなど・・・
日本のロックファンなら見ておいて損はないですよ。

と書いていたらディスクユニオンのHPで記事を発見。
(私もユニオンで写真集買いました。)
私があーだこーだ書くよりも何倍も分かりやすいと思われます。
あまり書店で見かけないので、お早めにゲットすることをおすすめします。

紹介されているユニオンのプログレのHP(下の方にあります)

ニューロックな二人

2005年05月12日 23時50分41秒 | 邦楽
今日渋谷をぶらついていたら、
ニューロックな二人を偶然目撃してしまいました!

一人は東急ハンズの入り口で、
何とハプニングス・フォー~トランザムのドラマー、
奇才クニ河内氏の弟でもある、チト河内氏!

もう一人は恐らく奥さんと思われる方と映画を観に来ていたのか、
シネマライズの窓口の所にいる四人囃子の森園勝敏氏!

どちらも近年の活動をライブで見ているので、
ご本人に間違いないです。

ん~渋谷で日本のロックの生き証人を二人も目撃してしまうとは!!

なにか良いことあるかな(笑)?

ちなみに最近森園勝敏氏の写真集?が発売されています。
大きなサイズのモノクロの写真のもので、
昔のではなくどうやら最近の活動を収めたもののようです。
残念ながら詳しくタイトルなど覚えていないのでしっかりお伝えすることが
出来ませんが、表紙が森園氏の顔ドアップのかなりの迫力あるものなので、
分かる人には分かるはず!
ファンは必見です!

私も早い内に買おうっと。

写真は、1973年六本木の俳優座で行われたライブを音源化したアルバム、
『’73 四人囃子』。この時全員がまだ19歳というのに、
驚異の演奏が聞くことが出来ます。未聴の方は本当に必聴です!!!

映画『限りなく透明に近いブルー』

2005年05月10日 01時46分07秒 | 邦楽
言わずとしれた村上龍の1976年のデビュー作にして
群像新人文学賞&第75回芥川賞を受賞した作品「限りなく透明に近いブルー」。
その同名作品の1979年の映画版をようやく見ました。
長い間みたいと思っていた作品です。
本は持っているけど、何故か読んでいない(笑)
(確かフリマでただで貰ったんだっけかな、
 ただってのは良くないね。積極的にそのことと向き合わなくなる)

この映画は若き日の三田村邦彦がシラケ世代の青春像を恰好良く演じているのだが、
ストーリーはというと取り立てて何があるわけではないんですが(いや色々人が死んだりしてるんですけどね)、若者とその仲間たちの夏のとりとめもない日常を切り取ったドラッギーな青春映画と言えるのではないでしょうか。こう書くとあまり面白そうでないと思われるかも知れないが、彼らの日常というのがまるで常軌を逸していてすごく面白い。

1971年夏、米軍基地に近い福生に暮らしている19歳のリュウは麻薬の密売人。黒人から薬を受け取る代わりに日本人の女をあてがい、自分は麻薬漬け(でも体力維持は欠かせない元陸上部)、そして女をとっかえひっかえ取替え、仲間たちと日がな暮らしている。そんなリュウも30歳で子持ちなヤク漬けな女性が好きなんだが、この人も他に沢山の情夫がいる。ドラッグ&セックスな毎日を送っているリュウだがある日嫌気がさし・・・
というストーリーです。

1971年と言えば、1969年にそれまで大盛り上がりだった学生運動も70年安保の目前で力尽き、直にオイルショックへつながっていく時代でこの時代の若者は「シラケ世代」と呼ばれていた。それまでの「みんなで一緒に何かをやろう!」というのではなく、遠藤賢司の”カレーライス”や井上陽水の”傘がない”といった曲に代表されるように歌も個人のことを歌う内省的なものへ変わっていった時代である。その時代の若者たちの微妙な心情を時代の空気とともに捉えた恰好の映画だと思う。

それからもう一つ。これが私が見たかった最大の理由でもあるのですが、
この映画のサントラがすごいんです(LPが発売されてます)。
洋楽の日本人によるカバーが中心なんですが、これが最高。
それでどう音楽が映画に使われていたのかなぁと思って見たのですが、
冒頭から山下達郎のラスカルズのカヴァーが炸裂し、卒倒!
他にも要所要所で「歌」の使い方が上手く1971年という年を上手く表している(と思う)。

曲目は、
A面
1、青白い夕焼け
2、Grovin'-山下達郎
3、(What A)Wonderful-小椋佳
4、青白い夕焼け-カルメン・マキ
5、Homeward Bound-井上陽水
6、Queen Of Eastern Blues-アレックス・イーズリー
B面
1、Cloudy-井上陽水
2、Daydream-有山淳司
3、When A Man Loves A Woman-上田正樹
4、You Don't Have To Be So Nice-瀬川洋
5、Love Me A Tender-小椋佳
(キティ/MKF-1044/1979)

この顔ぶれ、すごくないですか?この面子を今揃えようと思っても無理ですよ。
1、4、6がこの映画のオリジナルで、4はカルメン・マキがこの映画を良くあらわした歌詞をハードロックな曲に合わせて歌う歌。これがまるでOZのような格好よさ!ギターは春日博文?しかしヤマタツのラスカルズのカヴァーもすごいけど、陽水が二曲も参加している。結構皆さんまんまな人選なんでけど、そこが良い。上田正樹の「男が女を愛するとき」。この人じゃないと歌えないですよ?更には瀬川洋。今でこそ彼が在籍していたダイナマイツ(勿論村八分の山口冨士夫居たことでも有名ですね)が高く評価されているおかげで知られているが、おそらく1979年当時、何人の人がエンドロールで彼の名前に気付いただろうか。おそらく極端に少なかったと思うのだが、この曲も素晴らしいです。この場に収録されているだけでも奇跡!もっと評価されて良いシンガーです。

更にもう一つ注目なのが、ジャガーズの唯一の映画にして日本映画史上でも傑作とされる『進め!ジャガーズ 敵前上陸』にも出演、ヒット曲「虹色の湖」でも知られる60年代のアイドル中村晃子が出演していること!60年代は厚ぼったい唇がなんとも可愛い女の子でしたが、1979年の彼女は大人の女性に変貌していて要チェックです!

部屋のどこかにある本を探しだして読んでみようかな。そしたら更に面白いかも。
あ、普通は逆なのかな。でも本は読んでいるけど、
映画見たりサントラを聞いたことがない人は是非見てみて下さい!おすすめですよ!

エース7~七人の侍ジャズメン

2005年05月04日 02時29分24秒 | 邦楽
「エース」という言葉は今の時代となってはなかなか使われない言葉である。
せいぜいバレーボールなどの競技で使われるくらいか。
しかしいつかの時代にとっては「エース」という言葉は重みを持って
使われていたのではないかと思う。
(余談ですが、The Whoの四重人格を元にした映画「さらば青春の光」で、
 あのスティングの役名は「エース」でした。言葉通りモッズの花形。
 更に余談ですが、この映画は私の生き方を決定したといっても良い位、
 影響を受けた映画です。何百回と観ました)

そこでこの「エース7」である。面子は、
・石川晶(ドラム)
・中村八大(ピアノ)
・沢田駿後(ギター)
・鈴木勲(ベース)
・松本英彦(テナー・フルート)
・平岡精二(ヴァイブ)
・仲野彰(トランペット)
と一人でも立派にソロをはれる当時のジャズのスタープレーヤー達である。
彼らは1968年に一枚目のLPをRCAから発表。以後1971年までで11枚のLPを発表している。いずれもRCA。そう彼らはRCA専属で、この同じ顔ぶれでは他社では吹き込まないという制約のもと活動していたという。

今は編集盤やオムニバスでちょこちょこと聞ける程度なのが非常に残念。
(昨年発売されたラブ・サウンズ・スタイルに収録されており、
 同時発売の本にも紹介されています)
一番まとまった形で聞けるのは、99年にBMGから発売された、
『中村八大◆エース7マストコレクション』(BVCK38038・写真)である。
おそらく中村八大の名前が冠してあるのは、今となっては中村氏が抜きん出て
知名度が飛び出ていることに起因していると思われるが内容は「エース7」という
名前に恥じないような素晴らしいプレーを各人とも聞かせてくれる。
彼らの発表した11枚のオリジナルLPはラテンだとか映画音楽などテーマごとに分かれているのだが、このCDでは『死刑台のエレベーター』と『モダン・ジャズ・ベスト12』の二枚のアルバムからの選曲と他のアルバムからピックアップして編まれた編集盤である。

その名の通りシネマジャズやジャズのスタンダードのカヴァーを演奏している
のだが、これがやはり一筋縄ではいかず、とてもグルーヴィーでイカしてる。
今のクラブで回してもなんら遜色ない出来のアルバムなのだがその中でもやはり中村八大によるオリジナルの曲が異彩を放っており素晴らしい。
今はやりのジャズメンなんかは足元にも及ばない程である。
現在の若者でジャズを嗜好している人やクラブジャズが好きな人にこそ、
聞いて欲しい、そんな一枚である。


ある青春の思い出~OMOIDE IN MY HEAD

2005年05月03日 01時44分21秒 | 邦楽
何年だか前のゴールデンウィーク。
まだ私が大学生だった頃。
大学生にゴールデンウィークなんてあってないようなものだったけど、
確かに私たちの気分は高まっていた。

男友達四人でなんのあてもなく秩父へ向かったあの日。
秩父駅で降りて本当に適当に道を歩き、そして川でビールを一杯。
途中車に轢かれそうになったり、嫌いな奴の悪口を言ったり、
音楽談義に花を咲かしたり。何気ない一日だったけど、
GWにどこかへ出かけるということを無邪気に楽しんでいたあの日。
私はその時はまだナンバーガールを知らなかったのだけど、
友達が長い帰り道の電車の中で一生懸命勧めてくれてCDを聞いた。
確かそれは『シブヤROCK TRANSFORMED状態』だったかな。
その時はあまり良くは感じなかったっけ。

でもその日大学のある街でそのまま四人で楽しく呑んで
結局帰れなくなってしまい(帰りたくなかったな、楽しかったし)、
夜中こっそり大学の構内にあるスタジオと兼ねてある部室へ行くことに。
そこでまた酒をあおりくだらない話で盛り上がっていたのだけど、
そのうちうちら四人は陽気にセッションを始めた。
その曲がナンバーガールの「EIGHT BEATER」だった。
ちょうど四人はうまいことパートが分かれていた。
向井役が居て、ひさ子ちゃん役が居て(男だけど)、アヒトイナザワ役が居て。
私はあまり知らない曲だったからベースを弾いた。
中尾憲太郎だと教えてくれた。

曲はすごい簡単ですぐ覚えることが出来た。
展開もあまりないけど、演奏してみると凄くロックな曲だった。
四人はすごく楽しく演奏してた。同じ曲をずっと、ずっと、繰り返し。
自然にみんな気持ち良くなってきて、
これぞ「エコダROCK TRANSFORMED状態」と言ったか言わずか。
でもみんな本当に子供みたいに楽しくしてたっけ。

今は各々それぞれの道を進んでいる。みんなは元気でやっているかな。
NUMBER GIRLのベスト盤(写真)が発売されてふと思い出したよ。

ある青春の思い出~OMOIDE IN MY HEAD

串田アキラ/爆発するソウル

2005年04月28日 03時13分00秒 | 邦楽
つい先日ぼ~と深夜番組を見ていました。
その内容は来たる国民陪審員制度の為に、ある事例についてどっちがいいか
判決を下すというもので、ある事例というのがどうでもいい事例なんですが、
そんな感じのバラエティ番組をなんとな~く見ていました。

しかしその歌が聞こえてきた瞬間、
「コ!コレは!」という具合に我にかえってしまいました!
その対決は富士サファリパークのテーマ曲とヨドバシカメラのテーマ曲の
どちらが一番有名かというような、全くどっちでもいい対決だったんですが(笑)
なんと本人が出演されているではないですか!
しかも本人の歌唱付き!
初めてお姿を拝見しましたが、
今なおパワフルでソウルフルな歌声は全くもって素晴らしい!

となんで富士サファリパークでそんなに興奮しているのかというと、
いやいや決して近すぎちゃってどうしようってなことに
びっくりしている訳ではございません。
なんてったって「串田アキラ」ですよ。

この方1969年にデビューした知る人ぞ知る大物(?)ソウルシンガーなんです。
ソフトロックとしての再評価も高いNHKの番組「ステージ101」に
レギュラー出演していたこともあって知っている人もいらっしゃるかも知れません
(勿論私は見たことないですが・・・)。
しかしそれよりも現在はソウル歌謡としてのカルトな評価の高い方なんです。
1994年に「幻の名盤解放歌集」シリーズの一枚として発売されていたのですが、
すぐに廃盤になっていたようで私も耳にすることが出来ませんでした。
(オリジナルのアナログは高くて手が出ません、というか見たことないです)
それが今年に入り不死鳥の様によみがえるがごとく(笑)、
再び「幻の名盤解放歌集BOX」が発売!思い切って買ってしまいました!
そして聞きました!串田アキラ!恰好良いです!
思いっきりアクが強いですが、それが病みつきになるような、
噛めば噛むほど美味しいスルメの様な歌声(笑)
(上の写真は70年発売の1stアルバム)

R&Bバンドで地道な活動をしていて1969年デビューに至ったとらしいですが、
まずこの1969年にR&Bシンガーとしてデビューしたというのが凄い。
当時はGSかフォークかジャックスやパワーハウスのような
GSとも違うグループか或いは演歌歌手といったように
男性歌手の場合ある程度ジャンルが区切られていた時代にである。
R&Bを志向する歌手はいたものの、あの尾崎紀世彦だって
元々はGSのワンダースだったし、桑名正博だってファニカンだった。
それをはなからソロでR&Bシンガーとしてというのは、
なかなか異例だったのでは?と思うし、それだけの実力者だったことが
うかがえるというもの。う~ん、凄い!
しかし!当時は本人のアクが強すぎたのか、はたまた曲が悪かったのか、

(ちなみに一枚目のシングルは「からっぽの世界/サムじいさん」、
 二枚目は「あやまち/しあわせの限界」
 三枚目は「めざめ/はてしなき旅」
 四枚目は「生きる限界/純愛の唄」・・・という具合。
 タイトルからして空虚感や暗い感じが・・・時代もあるとは思いますが、重い。)

あまりヒットせずに80年以降はアニメ歌手としての活路を見出し今に至るというわけですが、その歌はあくまでソウルフルだし、ジャケットもイカしている。「からっぽの世界」だってムスタングサリーみたいな感じでいいし、他の曲もブラスなどが入っていて今の若い人に受けるのも分かる。グルーヴィーなんである。しかし何で今になってカルトな人気があるのかなぁと考えてみると、やっぱりどこか暗い感じがするからなんじゃないのかなぁと思う。ヒット街道を歩いていないその影みたいなものに、ちょっと共感してしまうのかも知れない。いや単にマニアックなだけかな(笑)

ちなみに本人の公式HPのディスコグラフィーに、
「これはチガ~ウ!」というコーナーがあり、そこにはこんなことが(笑)
>●「伯方の塩」は歌っていません!
>● 「ダイナミック、ダイクマ~」も歌っていません!
>● ついでに、「ボルテイジ」にはいないぞ!!

是非一度公式HP覗いて見てください!
そして機会があれば、ソウル歌謡時代のものも聞いてみて下さい!

これだけ書いてきたけど、CMで流れてくる歌声は、
松●し●るか、はたまた串田氏のものか区別がつかないときがあります(笑)

串田アキラ氏の公式HP

Juan De La Cruz/Himig Natin

2005年04月19日 22時01分20秒 | 邦楽
フィリピンのニューロックバンドの1973年のセカンドにして、
70年代最高のヘヴィー・ニューロックアルバム。
私のブログのカテコリーでは、「邦楽」。
何故かというとドラマーが、ジョーイ・スミスだから。

ジョーイ・スミスの名前だけで、
ピンときた貴方はなかなかのニューロック通。
そう日本のバンドの中でもとりわけ強烈に”ドラッグ”の
イメージがつきまとう、「スピード・グルー&シンキ」。
そのドラマーがジョーイ・スミスなのである。

その彼が母国、フィリピンに帰国した際に参加したバンドが「Juan De La Cruz」。
ジョーイが参加していないファーストでは、オルガンやサックスが加わった、
同時代のサイケデリックなR&Bバンドという趣きだったのが、
このセカンドではギター、ベース、ドラムと最小限のトリオ編成に。
それにともないサウンドも無駄な装飾を排したブルースを基本にした
ハードロックサウンドに。

そもそもジョーイがどのような経緯で加部”ルイズルイス”正義と
陳信輝とともにS,G&Sを組むようになったのか分からないのだが、
このバンドでは、S.G&Sの正しく延長線の、それでいてその線をさらに
ぶっとくしたような強烈なサウンドを聞くことが出来る。
S,G&Sがわずか2枚しかアルバムを残していないので、
その影を追いたい人には彼らのこのアルバムはとっておきだろう。

歌詞が基本的に英語なので、フィリピンのバンドと言われても違和感はない。
むしろアジアの辺境の国でこのようなサウンドが生まれていたことすら、
あなたは微塵も感じないであろう。
S,G&Sの2ndで演奏されていた「Wanna Take You Home」のよりヘヴィーな再演、
ブルースソング「Blues Train」やロックン・ロールなどの
隙のないそれでいてルーズでアシッドでハードな曲の数々は、
同時代のアートロック、ニューロック、ヘヴィーロックバンドとも全くひけをとらない。
その様は「世界に我ら、Juan De La Cruzあり!」と
高らかに宣言しているようでもある。

マニアの間ではオリジナルのLPが、それこそ数十万で取引されていたらしいが、
最近になってフィリピンでCD化され、それがようやく国内にも出回り始めた。
まだまだ手に入りにくい状態だが、
店頭で見かけた方は是非手にとっていただきたい。

アルバムの一曲目(「Take Your Home」)でこれほどテンションのあがる曲も
そうそうない。素晴らしいロック・アルバムである。

DMBQ/The Essential Sounds from the Far East

2005年04月18日 02時05分29秒 | 邦楽
新宿のディスクユニオンで、
DMBQのカナダでリリースされた(!)輸入盤を見つけ、
思わずそのままレジへ持っていってしまった。

そのくらいは私は彼らが好きだ。
今でも彼らのミニアルバム『I Know Your Sweet』は、
90年代最後のそして最高のロックアルバムだと思っているほどだ。

で、このカナダ盤の新作『The Essential Sounds from the Far East』である。
ファンということを置いておいて、客観的に見ても彼らのアルバムは
常に高水準でハズレはないと思っているのだが、
今回のアルバムも間違いない、いやそれ以上の期待を上回る傑作である。

ロックの基本でいて、それこそが全てといっても過言ではない「リフ」。
 (リフ=リフレイン、繰り返し、曲の印象を決定付けるテーマともいえる。
  ロックの名曲たちを思い浮かべてみよう!
  全ては強力なリフで出来上がっている!)
彼らは頑なまでに、リフミュージックである。
それも弦楽器隊全員でゴリ押しでリフを奏でる。
そこにブルースを基調としながらも妖しくも美しい旋律、
かつサイケなフレーズを奏でる松居徹氏のギターが絡みつく。
これが最高に恰好良い!!これぞカタルシス・ミュージック!
今回もこれでもかとヘヴィーなリフが全編をつらぬく!

長らくドラマーの座に座っていたよっちゃん(椎名林檎嬢の発育ステータスにも
参加したことで知られる日本の最高の女性ドラマーの一人)に変わり、
Chinaさんが加入。久しくライブに足を運んでいないので、
まだ見たことがないのだけど、CDを聞く分にはかなりの手練である。
そうとう癖のあるフロント男性陣三人を相手に、手数の多いドラムで応酬。
よっちゃんとはタイプが異なるものの、Chainaさんも相当な女性ドラマーである。

レッド・ツェッペリンやブラック・サバス、ブルーチアーやキング・クリムゾンといった
ハードロック/ヘヴィーロック、ニューロックサウンドが好きな人には絶対お勧め!
日本の最近のバンドだと、ゆら帝やボリス、マーブルシープやデキシードザエモンズ
などが好きな人にも是非聞いて頂きたい。

爬虫類的なパフォーマンスで有名なギターの松居徹氏は、
ゆらゆら帝国の坂本氏と美大時代の同級生で共演も多い。
リーダーの増子真二氏は、怒髪天の増子氏の弟でもある。
色々なつながりで聞いてみるのも面白い。

いわゆる典型的なハードロックから、歌もの、ブロークンブルース、
はたまた数十分のプログレ大作、更には音響系へのアプローチも試みる、
一見ちぐはぐなイメージだが、それをメンバーの強力な個性と演奏力でもって
説得力あるまさしく彼らしか生み出せない「DMBQサウンド」を作り出す、
私の音楽人生を決定的に変えた最高のロックバンドである。

とりあえず貴方がロックとは何か知りたければ、
彼らのライブへ行くことをお勧めする!
彼らのライブパフォーマンスは一回は経験するべし!


訃報:高田渡氏・・・

2005年04月17日 00時56分17秒 | 邦楽
つい先日、高田渡氏が倒れたことをブログでも書きましたが、
なんと残念ながら亡くなられてしまったようです・・・

なんと言ったら良いのか、本当に今、心がぽっかりしています。
お姿は直接拝見したことがあるのですが、
ライブを見たことがなく、永遠にみることが出来なくなってしまった今、
非常に残念です。一回でも生で歌を聞きたかった。

朴訥とした歌い方の中に鋭い風刺を織り込み、
その憎めない性格で多くの仲間、ファンに慕われた方だったと思います。

ご自身が亡くなられても、「音」はいつまでも残ります。
高田氏の記憶と共に。

ご冥福をお祈りいたします。合掌・・・

タカダワタル的・HP

MAD3(マッド3)/KING PYRAMID SPECIAL

2005年04月16日 02時25分18秒 | 邦楽
音源を発表するたびにそれを手に取った人達を、
ライブをやるたびにそこに足を運んだ人達を、
確実にマッドクルーへと変え、
今もロックンロールキングダムの建設へ勤しむ
偉大なロックンロールバンド、MAD3!!

その彼らが自主レーベル、その名も「ロックンロールキングダム」を
立ち上げ、そこから年末に一枚のシングルを発表した。
私は遅まきながら、そのCDをやっと最近手に入れたのだが、
これが本当の本当に格好いい!!

全身革ジャンやグレッチのギターなどの出で立ちから
連想されるサウンドそのままに、今まで
パンクやガレージやロックンロール、ロカビリー方面に人気のあった彼らだが
おそらくもともとの幅広い音楽性が徐々に滲み出し、
本作ではプログレッシブ・ハード・ロックンロールともいうべき
新たなサウンドを獲得している。

「IT"MATT"」と「KING PYRAMID SPECIAL」の二曲で13分。
特に二曲目は8分30秒近くもある、ある意味キラーチューン。
轟音ファズが暴れまくり、ベースもうねうねうねりまくり、
ドラムは甲高いスネアを矢継ぎ早に繰り出す・・・
これぞロック!!格好いい!!!

これまでのパンクやガレージ系のファンはどう思っているか分からないけど、
70年前後のへヴィーなロックが好きな人は絶対好きだと思う。
今まで聞かずじまいだった方にも聞いてほしい、新生MAD3。
このシングル、体裁自体がもうサイケ。写真の通り、三角の特殊ジャケ仕様。
三角といったらやっぱり、The 13th Floor Elevatorsを彷彿とさせます。

あなたもロックンロールキングダムの建設に参加してみては?

MAD3 公式HP

高田渡氏、倒れる!

2005年04月15日 01時37分13秒 | 邦楽
なんとフォークシンガー&ブルーズマンであり、
日本の生ける伝説であるあの高田渡氏が、
北海道の地で倒れてしまったという情報が!!

今は彼の地で療養中らしいのだが、大丈夫だろうか。
ファンは無事カムバックを祈るばかりである。

そんな高田渡氏を奇跡的にフィルムに収めた
映画『タカダワタル的』が吉祥寺バウスシアターでの
凱旋上映が決定したようです(4/30~)!!

中川イサトや息子高田漣やシバといった旧知の面子に囲まれ、
春一番や吉祥寺でのライブやいせや(焼き鳥美味しいですよね)での模様や
自宅で酒を飲みながら寝てしまう可愛らしい様子などを収めた必見のこの映画。
以前新宿で上映されていましたが見逃した方も多いはず。
渡氏を励ます為にも見逃しは厳禁です!

それに加え、この映画の二枚組みのサントラが
500枚限定のシリアルナンバー入り特別仕様で販売されるようです。
こちらも以前から発売されていましたが、
この特別仕様も500枚限定ということもあり、ファンは要チェックです!

とにかく、わたるさん頑張れ!!

ゆらゆら帝国・速報!

2005年04月14日 01時37分25秒 | 邦楽
5月18日にいよいよ発売のゆらゆら帝国のニューアルバム、
「SWEET SPOT」ですが、私を含め皆さんも気になる特典が決まったようです!

詳細はまだはっきり決まってないですけど、
どうやら「バッジ」が付くそうです!

各CDショップでデザインが違うようですが、
どうなるんでしょう?

それから待望のレコ発ライブも決まったようで!
5月以降が楽しみですね!