「母への思いが社会を変えた」 マルコによる福音書 14章3~9節
今から百年も前のこと、アンナ・ジャービスさんという人が亡くなったお母さんの記念会を開催し、そこから「母の日」の運動が始まったと伝えられています。亡くなったお母さんは、アン・ジャービスさんという方で、彼女は南北戦争で傷ついた負傷兵の医療活動を行う「母の友好日」という平和運動に取り組んでいました。当時、まだまだ女性の権利が乏しく、地位が低かった時代、女性が声を上げて平和運動に取り組むことは、様々な困難が伴っていたのではないかと思います。同時代には、ジュリア・ウォード・ハウさんという女性が、夫や子どもを戦争に行かせないと宣言する「母の日宣言」という平和運動に取り組んでいました。アンナ・ジャービスさんによる「母の日」の運動もまた、亡くなったお母さんの意思を受け継いだ平和運動ではなかったかと思います。
聖書には、高価なナルドの香油をイエスさまの頭に注いだ女性の物語が伝えられています。この女性は、イエスさまがもうすぐ人々の罪を贖うために十字架にお架かりになることを理解し、イエスさまにナルドの香油を注ぎかけました。その行為を見て、周りにいた男性は、香油をお金に換えて貧しい人に施すべきだと言って、女性を厳しくとがめました。しかし男性たちは、偉そうなことを言いはしましたが、決して自分たちがそのような方法で施しをすることなどなかったと思います。男性は、社会の雰囲気に囚われてしまうところがあります。それに対して、当時、人間の数にも数えられなかった女性が、社会の雰囲気に囚われたりせず自分が信じた通りに行動しました。イエスさまは、そのことを「語り伝えなさい」と教えておられるのではないでしょうか。