「衰へたる末の世とはいへど」、何時の時代も、伝統として引き継がれてきたものが危機に瀕することはあります。伝統の持つある種の決まりが自由を阻害するため、その時代にはそぐわないこともあるでしよう。しかし、伝統の堅苦しさこそが人の心の核心部分を形成していることもあります。それだけに、意識的に守っていかなければ、知らず知らずに大切なものを失ってしまうかもしれません。
最近、皇室問題が世間の話題になっています。世間というよりワイドショーの話題かもしれません。自由な恋愛か、皇室の権威かと色々と議論はあるでしょう。ややこしくしているのは、明治以降、天皇制が国の根幹になっていることです。戦後の日本国憲法も、天皇制を前提としています。皇室の人々は日本の象徴と一体の尊大です。皇室の人が海外で行動するのは一国民というわけにはいきません。すべてが日本国民の総意によると見做されます。そのため、皇室の人が疑惑のある人物とかかわりを持つことは、日本国民として見逃すわけにはいきません。まずは疑惑を晴らす努力が必須です。
人権の観点から、皇室といった制度に縛り付けるのではなく、一人の人として幸せになって欲しいという意見もあるでしよう。しかし、何を選択すれば幸せになれるか確かなものはありません。人は自分の定めの中でどう自由に生きるか考えるべきです。それは皇室の人に限らず、誰しも同じことです。自分の置かれている境遇は否定できないし、それを認めた上でどう生きるかです。
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