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Pretenderの備忘録

エッグ

2012-10-23 23:37:38 | 芝居・ミュージカル・バレエ
東京芸術劇場 プレイハウス 1階B列17番 

色々な情報が詰まっていて、これは何のメタファーかというのを考えながらついて行くのが結構大変だった。
ここ数年、野田秀樹のメッセージは、かなりストレートになっているように思う。
昔は、もっと茶化すというか風刺を利かせるというか、そういうものだったが、最近は原爆や現代社会の病理を扱う中で、マジというかガチというかそういうのに近付いているような気がする。もちろん、笑える個所はあるんだが。

寺山修司へのオマージュというモチーフが持つ意味は今一つ、野田と結び付かない。
大きなテーマの一つは、731部隊を想像させられる満州における人体実験等。
中国との戦争、ヒトラーを彷彿とさせる秋山、歴史は忘却してしまえばよいという台詞等だ。
これと関連するが、もうひとつは、ロンドンオリンピックをヒントに、そして東京オリンピック招致への批判だとも思うが、スポーツにおける危険性のようなものだ。

こうした作品を、東京都の施設のこけら落しで二カ月やるというのは、野田の演劇人としての生き方をみたような気がする。
世代もあるだろうし、彼が頭が切れるということもあるが、今回、満州で妻夫木が発した台詞は非常に具体的で、メタファーも何もないストレートなものだ。
また、性差についても、皮肉がちりばめられている。

妻夫木は、いい役者になったなあと思った。
南へでは、蒼井優に食われた感があったが、今回は存在感がしっかりしていた。

深津は、ちょっとやせてしまってビックリ、長丁場の公演で声も痛めているように思う。ことさらにグロテスクな感じで演じていた。

仲村トオルは、あまりにマッチョでビックリした。どの芝居も同じような感じだが、それなりにいい味を出している。来年のオセロー、團十郎と比較されることになろうが、楽しみだ。

そのほか、橋爪、秋山、藤井、野田等、しっかり。

重いテーマだが、重くなりすぎず、茶化さず、わかりやすく見せようとの努力の跡がうかがわれる作品。上演時間が最初の頃から伸びているように思うが。


コメント
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