雪と氷の世界 標高2600メートルの夜明けは 荘厳なまでの美しさ
中央アルプス 宝剣岳 千畳敷カール
甲斐駒ケ岳の背後から 忽然として赤い塊が顔を出す
巨大な氷の岩肌の宝剣岳も 次第に朱に染まる
カメラを忘れ しばし 痴呆みたいになって 眺めていた
しかし、それも一瞬だ まばゆい氷雪に覆われた 宝剣岳が その姿を取り戻す
紺碧の空の中にくっきりと 雄大にそして 限られた人間以外は寄せ付けぬ峻厳さで
ロープウエーは わずか7分半で 桜咲く下界から 気温ー10度 積雪600センチの
世界に送り届けてくれた
ナンと足元には 雪に埋もれた神社の鳥居と社殿の屋根が
明けた 空には ぽっかり浮かんだ雲のかなたに南アルプス南部の
3000メートル級の高峰が 春霞のなかに浮かんで見える
まるで早暁のドラマの幕を下ろすかのように薄い雲が垂れ込めてきた
稜線を目指す若い岳人が幾組か いかん いつまでも居ると彼らについていきたくなる
すっかり景色を堪能した、さぁ われらは帰らねばならぬ
4月3,4日 前日の雨がうそのように晴れ渡った日に