Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

いまだに繰り広げられる悪い夢

2008-07-22 12:20:53 | 農村環境
 先日久しぶりに駒ヶ根市まで自家用車を走らせた。福岡の旧ケーヨーの跡地あたりから国道を北へ向かうが、車の影は少ない。「あれっ」と思いすぐ気がついたのは、すでにバイパスが開通してしばらくたつ。その間わたしはあまり車を利用しなかったこともあり、この道を走ることもなかった。あらためてバイパス開通後のこの道の現実が見えてきて、すぐに頭に浮かんだのは、道沿いの店のことである。これほど車が通らなくなれば、こぞって道から姿を消しても不思議ではない。丈長屋のGSはもうしばらく前から閉鎖したという。福岡から中心街までの間で唯一だったセブンイレブンはまだ営業を続けているが、大きな駐車場に停まっている車は少ない。すでにバイパス沿いに同じ経営者が同店を開店しているようで、国道店の閉店も近いのかもしれない。バイパス開通前にすでに察知して消えた店もある。明らかに国道沿いにかつての姿は見る影もない。

 これだけ通行量が減少すれば、人通りもなくなり、店がなくなるのは必然のことなのだろうが、バイパスは分離帯のある道で、右へ左へと簡単に行き来はできない。そういう意味では、左右どちらにも入りやすい国道沿いにはそれなりのメリットがあるはずなのだが、それを補うだけのアイデアは浮かばないようだ。その気持ちを萎えさせるのが、バイパス沿いの大型店なのだろう。加えてそうした大型店の出店は、飲食店なども呼び寄せる。人々の足がバイパスに向いてしまうことは、予想されもするし、予想通りになっていく。バイパス沿いの土地を駒ヶ根市の大手が所有しているというところからも、利権の絡んだ道路と言われても仕方ないわけだ。

 国道の閑散とした風景をみるにつけ、以前からも触れていたように、バイパスの必要性はほとんどなかったといえるだろう。この閑散とした道とそこに広がる空き店舗をどう捉えるのだろう、バイパス推進をした人々は。バイパスが必要だというのなら、この閑散とした空間の将来を描くべきだ。必要ない道路なら、通学用の歩道を優先して、道路を縮小すればよい。人々の行き来のある空間作りというものもあるだろう。しかし、いかんせんこの町は小さい。勢いづいたバイパス沿いは賑やかだが、そうではないところには市街地以外にも空き店舗が見受けられる。ようは需要が限られている中で、撤退すればよいという広域展開の商店が見え始めてから、ますます環境悪化が色濃くなった。どう考えても駒ヶ根市に人口が流れたとしてもしれたもので、バイパスを受け止めるだけの環境はなかったと思われる。

 前述したようなアイデアを考えたとしても、人々はそれを受け止めてくれるとは限らない。この町は最悪な展開をしていると思うが、実はそんな町が全国のあちこちにあるのだろう。それを経験値として認識できなかった行政は銭の入る方を選択したのだろうが、こんな選択をいつまでも続ける町を相手にする(最近駒ヶ根市を住み易い町などというものが目につく)報道もうさんくさくて仕方がない。
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