防災訓練があった。自治会の役員をしていることもあって、避難指示(訓練)がある前から自治会館に詰めていた。こうした訓練には疑問も多い。誰もが思っているのかもしれないが、終われば「お終い」だから形だけでも何ら異論を口にする人はいない。そもそも自治会の役員なのに、隣組ごとに定められた集合場所は知らない。自治会長にも「そうした一覧はあるの」と聞くと「無い、知らない」という。なるほど役員をするまで隣のことは知らないし、そもそも役員も長く務めるわけではないので、その場限りで良いと思ってしまう。気持ちはわかると、それが当然かもしれない。ただ、本当に避難しなければならないようなことが起きたら「どうするの」ということになる。町主催の防災訓練なのに、説明を受けた際に疑問だらけだし、よくわからないところがあったと自治会長は口にする。資料を見せてもらうと、確かによくわからないことが多い。しかし、それをいちいち質問していたら大変なこと。繰り返すがこの町では自治会長はほぼ1年だけのことだろうから、今年が終われば良い、と誰もが思うだろう。したがって今まで通りにやって、形式的に終わればそれで良いという印象が誰にもある。町では地区ごとに防災計画を作るように、と説明するようだが、本気で作成するようにというような説明ではないという。そして町との間に「区」というものがあって、初めて知ったことだが、安全確認は「区」にするのだという。町、区、自治会、いったいどういう立ち位置なんだ、というところはわからない。そもそも自治組織はあくまでも自治組織で、行政の下部組織でもなければ、自治組織であればやらなくてはならない、という基本形もない。あくまでも任意である。
先ごろある地域で聞いた話である。そこでは役員をしたくないといって隣組から抜けるという。隣組は組長が回ってくるだけなのだが、隣組の組長をしていると祭典の役が回ってくるという。したがって隣組は辞めるものの、区には入っている、そういう人が何人もいるという。区の役員は区そのものがそこそこ大きいから、区の役員は誰でも回ってくるというわけではない。したがって区に入っていても隣組に入っていない、ということになるというのだ。ふつうなら隣組を辞めれば区も辞めるという意志表示に見えるがそうではないのである。自治組織は地域によっていろいろである。以前にも触れたが、役員をするのが嫌で自治組織を辞めたい、あるいは入らないと思う人は多い。一時自治組織に入らないことがどこでも話題になったが、そもそも自治組織そのものを考え直した方が良いとは思うのだが、前述したように今の自治組織は災害対応もしなくてはならず、役員の負担は多い。もちろんその負担感も、地域によってさまざまであることは言うまでもない。