Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

耐震対策と政策

2008-07-02 12:34:08 | ひとから学ぶ
 耐震に対しての対策が低いといって伊那市では、今後その対策費用に重点的に予算を充てるというニュースが流れる。その耐震対策度をもって、自治体の政策認知度というようなページも見受けられるが、あくまでも耐震補強は、長期的な学校のあり方の政策とあいまっている。「教育の心を表す通学路の安全度」では、「上伊那の公立学校を見ると、耐震化率が最も低い伊那市は31.4%。駒ヶ根市は低いほうから3番目の64.0%と三分の一が危険な状態で放置されています。飯島町、南箕輪村、中川村はいずれも100%であることに比べると、意識の低さが計れます」というが、意識されてそうした数値が表れているとは思えない。簡単に言ってみれば「たまたま」といった方が正しいはずだ。「耐震補強優先という方針」において知人は、「学校の耐震化が進まない理由は少子化に伴う「統合計画」を考えているから」と述べているように、財布の中身と今後の生徒数という予測の中で耐震化の判断がされている。金さえあれば、どこでも耐震化に向けた取り組みができるはずで、もし10年、いや20年前だったらどこのトップもいち早くこの問題に取り組んでいたはずだ。もちろん安全第一であることを優先すべきことだろうが、単純にトップの無責任と言ってしまうのは、あまりにも簡単だ。

 それにしても耐震化はこと学校だけのことではない。このごろ話題になっている公共施設においてもかなりの建物が現在の尺度では耐震度の低いものが多いと聞く。個人施設ともなればその数は膨大だろう。そこへ老朽化した高度成長時代に建設された土木構造物が加わる。橋梁の安全度の低いものも多く、補修や補強に向けた取り組みが地震国では緊急の課題となっている。実は大量に造られてきたコンクリート構造物、これらの耐用年数は、そしてその老朽度はどうなんだということがあまり話題にあがらない。この財政難時代において、これらの更新、あるいは延命化はなかなか簡単にはいかない。国土交通省も農林省も、コンクリート施設などの延命化に向けた事業が主流になりつつある。造り続けてきたつけは、いよいよこれから始まるという印象である。いかに自分の所有物を把握するか、またされているかが自治体にも問われることになる。もちろんすでにそうした流れに進んできているのたろうが、果たしてそこに住んでいる人々はどれほど認識しているだろう。モノを大事にしてこなかった国民は、自らそうした意識を忘れてきてしまった。そういえば、先日報道系ワイドショウにおいて、「生活のレベルを下げることも必要だと口にする政治家がいない」というようなことを述べている人がいた。政治はマイナス志向を口にすると票が集らなくなることを知っている。だからいつまででも発展しなくてはならないし、そういう政策をとらなくてはならないということらしい。無限の発展、などという人間のわがままは、もう終いにするときではないだろうか。
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