Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

無策

2008-07-31 20:07:56 | つぶやき
 WTO交渉が決裂したという。決裂の原因は日本ではなく、中国・インドといった国が自国の貧しい農業の現実を踏まえてのものだという。その原因国が日本でないというところに、日本の国内事情というか、農業だけを保護できないところにあるのだろう。与党自民党内においても、(1)重要品目8%を確保し、代償措置も認めない(2)低関税輸入枠がない品目でも重要品目にできる――の2点の死守といきまく人たちが多い。もちろんのこと野党側では「自民党議員からは、納得できなければ、まとめなくてよいという発言が出ていたはずだ。その方針を貫くべきだ(共産党の紙智子農水部会長)」と合意案を拒否するべしというように中国やインドの対応に寄っている。にも関わらず直前まで合意に向かうと思われていたほど、日本側の強い意志はなかったようだ。先に示したような自民党内での絶対阻止という内容とはほど遠く、「重要品目数で、日本は全品目の「原則4%」を受け入れる一方、代償付きで追加できる品目を2%から4%に増やす方針で、ぎりぎりの交渉を続けた。低関税輸入枠のない品目を重要品目に指定できるかも焦点に」というぐあいの報道が見えた。ようは交渉は交渉にあらず、相手側(農産物輸出国)の要求を聞きにいったようなものなのだ。

 決裂したことでひとまず先延ばしされたことになったが、この交渉には終末はなく、永遠に続く。どれほどコメが重要だといっても昔から交渉のたびに話題になってきたものである。ということは日本の国内事情からすれば見えていた問題であり、その予測に沿って政策が対応を怠っているから、交渉のたびに農家を落胆させることになるのだ。重要品目に指定されていても、関税額は引き下げられていく。さらには低関税による輸入枠というものがあって、その枠が広げられていくから、しだいにコメの輸入量は増加する。コメ以外のものはもちろんであるが、需要な生産物であるコメですら、の将来は危ういということになる。そもそも人口減少、コメ以外への主食の変化、身体を使わない仕事が主流になって消費量も減少、とくればコメの依存イメージは低下し、その背景ですら気にもしなくなっている国民である。食料自給率が低いといっても、だからといって高い食料へ簡単に手を出すものでもない。これほど自給率が低いと認識されてきていても、さらなる低下を招きそうな動きを阻止する動きは強くない。ようは工業輸出国である日本にあって、どちらを優先させるか、というところで、常に工業輸出を優先してきたといことであろう。誰でもそうだが、対外的な部分は優先せざるを得ない。家庭内の問題は先延ばしができるという印象を誰もが抱いているから、この国の政治は農業を潰してきた。果たして民主党が政権をとったからといって、この問題は容易にはいかない。ただし一度農業政策を野党に任せてみたらどうだろう、などと思ったりする。

 いまや水田の転作は約4割というのがこの地域での常識である。その転作された水田に転作田を示すカードが立てられる。地権者がそれを明示することで、お役所が転作確認をする。「ふーん」程度に聞こえるが、こうしてカードを立てること、そして確認をすること、その手間は計り知れないほど大きいと思う。それを毎年毎年やっているのだから、やっている側は「仕事」だと思ってやっているだろうが、こんな無駄な仕事はない。そんなことをしなくても良いように自己申告を信用するか、転作に対する政策を辞めるなどさまざまあるのだはないかと思うが、はた目からの勝手な言い分なのかもしれない。
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