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2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。
 藤田幸右 管理人

気仙沼防潮堤の施工ミス(2)

2018年08月27日 | 気仙沼市、宮城県、福島

河北新報(2018.8.8)



都市型港湾防潮堤

魚町<合意案>は内外のスタンダードにするべきもの

1、<合意図> 

震災後 22cmの地盤隆起があった。防潮堤陸側の区画整理地区はそのままの海抜の高さにするために堤体側の高さを 22cm低めて県と住民側は合意しました。そのことで子供でも海が見え、住民にも広く海の眺望が開け、船主や漁船員など港湾や船や荷役の管理が安心して行なえることになりました。堤体 4.1m、ゲートフラップ 1m高

合意に至った経過も含めて、この合意防潮堤は県内県外のあるべき一つのスタンダードと言えるものです。私は北海道ですがそう思います。




2、<宮城県の提案> 

ところが工事終了後堤体の高さにミスが発覚。約束の高さが守られずに堤体の高さが 22cm高く造られていたのでした。県は十分な原因究明もなく区画整理側の道路を 22cmかさ上げする妥協案を提案しましたが住民側はこれを拒否しています。単にわずかの高さや金額、工期をめぐる攻防ではなく長い経過の議論や葛藤があったから住民側は当然このミスを認めるわけにはいかないのです。そのことは新聞記事などで当事者でなくても分かることだ。 気仙沼防潮堤の施工ミスとは?



3、<スタンダード図> 

もう一つ、住民側の認識には、県が率先する津波防災ハードについての根本批判があるように思える。それは防潮堤を画一的に <高さ>だけの基準でつくりあげようとする行政官僚に対する批判である。湾港の形状、岸壁の深さ(造り)は場所ごとに違う。また港の使い方もそれぞれ特徴がある。それによって防災施設のハードの造りや避難ソフトとは当然違ってくるという認識である。

気仙沼市魚町の岸壁は基本的に大型漁船を係留する水深の深い都市型岸壁である。津波有事のときは船は沖に避難、第1波の波は強い<岸壁>壁で受け止めるという認識。この第1の衝撃波は防潮堤では弱すぎて受け止めることは出来ない。フラップゲートや高さがどんなに高い防潮堤でも津波に耐え、押し戻すことは出来ないという認識。── もともとの港の造りや岸壁の造りが受け止める、と地元住民は考えているようである。 津波第1の衝撃には海底から立ちあがる<岸壁>壁が立ちはだかる。防潮堤は二義的な不確定的役割だ、高さが増す程に被害が大きくなると考えているようである。


防潮堤そのもののスタンダードのほか、魚町防潮堤は、港湾全体のソフト・ハードの構図を俯瞰してしっかりと防災を考えるスタンダードを提起している。気仙沼のアイデンティティは「海だ」と言っている。そこは基幹職域であり、市民の憩いの場であり、観光客が出回ってくる場所でもある。分断されない市民交流・市民交歓の広場ということを明らかに主張している。

※ 防潮堤そのものの「あるべきスタンダード」とは何をさすのか?

・いろいろあるが最低、このように子供でも楽々海が見渡せること ──

・これは防潮堤ではないナと言うところまで突き詰めること。遊歩道への転換でもよい …

・荷揚げ岸壁あるいは沖合防波堤の再整備、見直し。一般波浪の静穏化施設、大型船の接岸施設、等からの防災への見直し…活用…リンク…

・津波の溢流・越流の容認。 



<解説記事>

同上河北新報(2018.8.8)





気仙沼防潮堤の施工ミスとは?(3)に続く

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