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2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。
 藤田幸右 管理人

気仙沼防潮堤の施工ミス(1)

2018年07月09日 | 気仙沼市、宮城県、福島

宮城県では、気仙沼湾の防潮堤のうち気仙沼市魚町地区の防潮堤についてはその海抜の高さをめぐって3年以上の防潮堤試案、募集コンペを含む熱い議論の末にフラップゲート式防潮堤として県と住民側の合意に至りました。

 

【フラップゲート式防潮堤】 図は合意した防潮堤の高さの概略です。高さは海抜 4.1メートル(本体)、プラス、津波襲来時に起立するフラップゲート1メートルで、合計 5.1メートルの高さになります。なお陸側の区画整理の関係で後背地の盛り土の高さは最大で 3.02メートルとなり、地面から防潮堤本体のテッペンまでは 1.08メートルとなります。こどもでも海が見渡せる高さ(低さ)になります。ーという予定でした。

 

 

あろうことか!!  4.1mの躯体の高さを4.32mの高さで施工していたのです。
それは合意違反であると同時に子供には海は見えなくなる。大人でも眺望に難儀する。


 【施工ミス】 工事は2015年に発注されていましたが今年2018年の3月に入って防潮堤本体が 22cm 高く施行されていることが発覚しました。震災で沈下した地盤が隆起に転じていたため県は国土地理院による水準点改訂をうけて防潮堤の高さを 22㎝下げることを2017年3月に「内湾まちづくり協議会」と約束していたのですが。しかしそれが実行されていなかったというもので、約束されていた上図防潮堤本体より「22センチ高く」工事は進められておりました。


【経過】(気仙沼市議会 今川悟議員ブログより抜粋)

魚町では、防潮堤の高さにこだわって議論が続けられてきました。気仙沼漁港を管理する県は、2012年に海抜 6.2mの防潮堤を整備する計画を示しましたが、「海が見えなくなる」「コンクリートの壁で覆われるのは嫌だ」と地域が猛反発しました。

粘り強い議論により、津波シミュレーションの設定条件確認などによって(住民は)海抜 5.1mまで計画変更を認めさせたうえで、さらに余裕高分の1mを津波襲来時に起立するフラップゲートを採用することで、実際は 4.1mの堤防高に至ったのです。

背後地は土地区画整理によってかさ上げしますが、区画整理から外れる地域への影響もあって大幅なかさ上げができないため、堤防高(かさ上げ高)は「歩いている人から海が見える高さ」に落ち着きました。背後地の盛土高は最大で海抜 2.8m、堤防高は海抜 4.1mで、陸側からの見た目の堤防高は 1.3m。これが防潮堤そのものに対する反対意見が根強く残る中での妥協点でした。

以上今村ブログより


(その後、設計は、前述した地盤隆起の問題があり、防潮堤本体は22cm低くなったのですが、土地区画整理の盛り土には地盤隆起分が反映されないので、陸側からの見た目の高さは最大で 1.08mになりました。1.3m−0.22m=上図 or 4.1m−2.8m−0.22m=上図)


それから工事経過の中で施工ミス  になったのです。 


【ミスの原因】 コミュニケーション不足などいろいろ取り沙汰されているが、原因究明より、現在は、今後の修復のことに議論は向いている。以下は当ブログ管理人の考えです。── グループFacebook「防潮堤研究会」コメントより

気仙沼市防潮堤工事ミスについて(1)
ぎりぎり賛成・反対し、ぎりぎり譲歩した防潮堤の「高さ」だから関係者の怒りはやり場がない。村井知事こそ痛痒を感じていない態度に見える。本気で防潮堤を考え取り組んできたとは思えない態度、不可解な発言。単なる言い間違いではないだろう。国に寄った最初からの確信である。一から十まで当事者能力が疑わしい。自らの責任を口にするが頭の中は明らかに違った方向を向いている。多少でも防潮堤にかかわっている他県のものにも彼の支離滅裂さは分かる。

気仙沼市防潮堤工事ミスについて(2)
知事だけでなく、役人も、工事業者も、一貫して防潮堤工事には真剣ではなかった。防潮堤の存在意義を理解しないまま、防潮堤を持ち上げてきたからです。ずさん工事は、私が見るかぎり、宮城県以外にも、岩手県など被災沿岸の防潮堤工事に散見される。これらは全て関与者が事業自体に意味を見いだせない理由による。存在意義も使命感も効果もない事を、工事主体の側が、徐々に白日ににじみ出している。この事は防潮堤設計段階、また遠く構想段階から、防潮堤研究会など一部で、言われつづけてきた事だ。

気仙沼市防潮堤工事ミスについて(3)
看過できない工事ミスだ。約束履行「造り直し」は知事が出てくるまでもなく当然の事である。知事は知事の役割を勘違いしている。行政府の長としては工事ミスをとがめる立場なのである。弁解の立場を吹聴する事はやがて気仙沼市長にも、そして気仙沼市議会議員にもその立場は伝染してくる。仮に船舶の接岸岸壁の工事ミスであれば知事はこうは出なかったはずである。繰り返すが、もともと知事は防潮堤を軽く見ている。

気仙沼市防潮堤工事ミスについて(4)
起こるべきして起きた工事ミスについては、すべての関係者は、再び(今こそ)原点に戻って、東北沿岸の景観、東北沿岸の防災、東北沿岸の産業、東北沿岸の自然に、正面から向き合ってもらいたい。「県全体の利益考慮」とはその事以外にはない。

気仙沼市防潮堤工事ミスについて(5)
●あちこちに書いてきましたが、造り直すべきです!
●海抜 4.1mは(陸側から1.08mを含め)防潮堤の一つのスタンダードになるべきものです。時間と知恵の濃密な合意の結晶だったですから。
●県のお金がかかるのは県の事ですからあたりまえです。誇りをもってお金をかけましょう。(…県税や市税がかかるのであれば防潮堤は作らないのに…の本音が見えます)
●造り直さなかったら…という事はなにを言っても理由にはなりませんが私は一つだけ魚町/南町の連結した防潮堤の高さの違いはどの面からも許されないと思います。住民の身になって考えてください。
●図面によるミスの説明などの図面が分かりにくい、というより分かりません。業者の図面そのままではなく噛み砕いて分かりやすくお願いします。超利己的稚拙図面。フラップ機能などもそうですが、このような市民が分からないレベルの図面がミスの一つの原因だったと思います。市民への分かりやすい広報、ていねいな説明をどう考えているのか?! フラップゲートもデリケートとかでなくて有事に機能するかどうかが問題です、有事の機能は不明です。



 

気仙沼防潮堤の施工ミスとは?(2)につづく

気仙沼防潮堤の施工ミスとは?(3)につづく


 

☆ 

 <参考> 気仙沼魚町「合意案」と岩手県宮古市鍬ヶ崎地区防潮堤との比較

 

 






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10 コメント

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県民の税金をなんだと思っているのか! (告発者)
2018-07-10 14:15:51
防潮堤が当初より22cm高くなったことについて、作り直すべきという意見を述べられていますが、作り直すことで浪費される県民の血税をなんだと思っているのでしょうか?!貴方達住民は何様のつもりなのでしょうか!もう一度述べますが、これは県民の血税で作られています!低くなったならともかく、高くなることで防潮堤の機能が低下するどころか高くなっています。県民の血税を浪費してまで住民の我侭と贅沢に付き合い、壊して作り直す必要性はありません!命より景観が大事という発想は非常識だと住民は認識されているでしょか!作り直すなら貴方達住民の金でやりなさい!県はそれでも善意で背後の土地をかさ上げするとしています。これにより視界の問題が解決されるばかりか、津波発生時の逆流による影響が少なくなり、血税を投入するだけの正当性は県民も納得するでしょう。これ以上、住民が我侭と贅沢で押し通すのなら、あらゆる場で作り直すことは県民の血税を浪費している無駄な公共事業であることを県民に向けて告発します!作り直す方針で動くようなら会計検査院、財務省にも告発して作り直すことを停止するよう要求します!住民は自分達の過大要求を反省してください!
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こればかりは…… (宮城県民(県南))
2018-08-08 11:29:39
先コメント者の方ほど強い口調で苦言を呈すつもりはないのですが、こればっかりは地域住民のわがままにしか思えません。
『県のお金がかかるのは県の事ですからあたりまえです。誇りをもってお金をかけましょう。』←県のお金ではなく県民の税金であるという意識がすっぽりと抜け落ちているあたりが既に公正公平な視点ではない事を表しているのではないでしょうか。

22cm高くなることはそこまで気になるものなのでしょうか。
現地住民ではないので何故執拗に作り直しを求めているのかわからず検索をかけてここに辿り着きましたが、内容を確認してもそこまで作り直しに拘る要素が感じられませんでした。
なんとなく読み取れた部分としては、『皆で妥協点を探ってようやく出た結論が反故にされたと感じて怒っている』のかなと思うのですが、その憂さを晴らすために県民の血税を使えというのは流石に思慮が浅すぎやしませんか、と。
土地を追加でかさ上げすることで景観の問題も解決しより津波耐性のある土地になるという追加の妥協案すら飲めないというのは、単なる住民の感情論ではないでしょうか。
そのようなことに県民や国民の血税は消費されるべきではないと、大多数の人は考えるでしょう。
正しい判断で話がまとまることを期待しています。

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作り直すべき (県民)
2018-08-08 19:05:06
工事ミスなんでしょ? ダメな工事をやって工事代金(税金由来)をごっそり持っていく業者に責任はないの? 普通は業者の責任で手直しやら返金やらあるでしょ。工事ミスだったけど、まあいいやってOK出してる県職員に責任はないの? 民間業者なら間違えなく責任追及されるよね。責める対象がまちがってるよね。住民は「注文と違うモノ」を押し付けられてるんだよ。あと、こういう大規模防災工事に対しては「国」がかなり金出してるんでしょ、県税じゃなくて。
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どうしたらいいんだろ (県民)
2018-08-08 21:47:53
この件の記事を読めば読むほど、気仙沼の当事者たちは「寄り添う」という言葉の意味をはき違えて、「自らは弱者である」という主張と「お客様は神様です」の誤用のハイブリッド感を強烈に思う。
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ええと…… (宮城県民(県南))
2018-08-09 10:08:17
作り直すべき、の方へ。

国が金を出しているということは、それも結局国民の税金から出ているお金なんですよね……

住民がお金を出して工事を依頼して設計通りに納品されませんでした、っていうんならまだ文句を言うのは理解できます、あなたの言葉をそのまま使うなら『民間なら責任追及されます』ですね。でも今回のは
別に施主が住民なわけでもないですし、
住民が工事費用を全て出している訳でもないですし、
それで元の設計より強固な物になるっていうプラスな妥協案を飲めないってのは、やっぱりなんか違うんじゃないかと外野は思ってしまうのですよ。
なんせ民間じゃないですから。公共事業ですから。

自分の金じゃないから、自分の懐が痛まないから、好き放題わがままを言っているように見えてしまって、いい大人がみっともないなぁと。
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作り直すべき その2 (県民)
2018-08-09 11:51:11
ちょっと見方を変えて、、。
皆さんは「税金を使う」んだからキチンと使え!ムダ使いするな!とお怒りなんですよね。
遠まわしに言うと公共事業って、国や県がプールしている金(税金由来)を民間にバラ撒く(ちょっと言い方悪いですが)意味合いもあって本来住民としては歓迎すべきものなんです。その税金の大本は東京都で有り余っている金であり、ほぼすべての自治体では東京から地方交付金という形で金を貰っています。そしてこの度の震災では特別予算として、これも表現悪いですが、知事がブン取ってきた金なんです。だから皆さんの懐が痛むことも無いし周り回って地元に金が落ちて景気が良くなる事も予想されます。
だからなのか、知事としては「ミス」とか「失敗」という汚点を付けたくないのでしょうね。

回りくどい言い方でしたが、結局地元の当事者でもない方々が「オレ達の税金が」的な批判するのは筋違いかと。
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税金 (コーケやん)
2018-08-09 15:03:27
復興には「おレたちの税金」のほか特別に復興税として25年まで所得税が2%増しになっています。ほか東京の税の地方配分分ですか?ほか国民の有形無形の善意を忘れるわけにはいきません。
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税金2 (コーケやん)
2018-08-09 16:22:11
すみません。復興特別税は、法人個人とも2.1%、13年から37年までの25年間でした。訂正します。
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作り直すべき、の方へ (宮城県民(県南))
2018-09-26 08:10:02
久し振りにこの件がニュースになってたのでふと思い出し見にきました。

例えばら撒かれるべき税金だったとしても、それならばもっと使われるべき場所があるのではないでしょうか。
強度的に十分な物を作り直すことが他より優先され絶対に必要なことだとは、やはり私は思えません。

地場の土建屋が裏で暗躍してるか、地元の反対派と結託してるんじゃないか、なんて下衆の勘繰りが入ってしまいます。
感情論以外で防潮堤ができることで被害を被る人っていったら観光業に従事してる人くらいしか思い浮かばないですし、そういった人は寧ろ防潮堤自体に反対でしょうし……
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Unknown (作り直さなくていいけど、県の対応が気に食わない)
2018-09-26 19:07:34
そもそもこの地区の人たちは防潮堤いらないっていってるところに県が作るぞって無理やり話し合いの場を設け、3年以上かけてやっと妥協点を見つけたのにも関わらず、施工ミスで高く作られた経緯があるんだよね。
防災のために高いのはいいことという人がいるけれども、復旧・復興のためには町の活性化というものが必要でそのファクターとして海の見えるというのは重要だとここの人たちは考えているんだよ。
つまりいらないもの作られた上に海がみえにくくなったという地元の人にはメリットがない状態なのが今で、そりゃ作り直せと言いたくなるわけですよ。
さらに今回被害者であるはずの気仙沼が叩かれ、原因者である宮城県もとい村井知事を擁護する動きは正直気持ち悪いものがある。

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