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2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。
 藤田幸右 管理人

鍬ヶ崎「防潮堤」(13)説明会=まとめ1、2

2013年12月12日 | どうなる鍬ヶ崎

震災から2年余にして初めての鍬ヶ崎「防潮堤」の地区説明会が開催された(2013.11.22 宮古市役所)。ずっと述べているように内容はあやふやなものであった。問題点をまとめてみた。

 

 

1 これでは海が死ぬ

 

宮古湾は宮古湾で生きているのではない。少なくとも一帯の北太平洋と後背地の北上山系の豊かな森林・埴生の大きな水循環の交流の中で生きている。防潮堤はその交流の輪(わ)を分断する。宮古湾への北上山系のミネラル豊かな水の供給は湾岸一帯の中小の河川、何よりも地下水の膨大な流れによって運ばれる。防潮堤工事は、この流れをかく乱し汚染する。防潮堤完成によって海はどんどんやせていく。水資源はコンクリートで密閉され、滞留し、流れを変える。悠久の宮古湾の自然が短期間で深刻な影響を受ける事は容易に予想される。漁業者ならずとも沿岸住民は危機感の真っ只(ただ)中にある。



県土整備部が考えている宮古地区「防潮堤」のイメージ。

これによって宮古湾の生態系、浄土ヶ浜を含める景観、沿岸の産
業が大きな影響を受ける。海、景観、産業、生態系を考えていない。
目先きの利益の公共工事だけを考えている。 

 

岩手県県土整備部は何の考えもなく、津波の高さと強さをどこもかしこも一様であると誤解して(上図のベクトル図)、宮古湾沿岸を高さ10.4mのコンクリートの防潮堤で囲む事を計画している。彼らはなにが何でもコンクリートを海洋に投入、コンクリートを沿岸の地上、地下に打ち込む事しか考えない。以後、自らが思考停止に陥ったばかりか宮古市当局、現地住民にまで思考停止を強いることによって、宮古湾の生態系(いのち)をなきものにしようとしている。許されない。

日本経済のバブル期も遠くなり、東日本大震災の傷跡はまだ生々しいというのに県土整備部のポリシーは依然としてコンクリートで岩手県沿岸を埋め尽くす事のようにみえる。コンクリート工事からの発想の大転換、またはコンクリートから遠ざかる発想の大転換、つまり県土整備部の解体がない限り宮古の海は死んでしまう。


[関連記事] さまざまな復興 宮古湾再生  2012.11.6


[関連記事] 宮古湾の津波防災はどうあるべきか? 2012.1.10

 

2 この設計は役に立たない


直立式防潮堤のこと(1)
地上も地下も津波襲撃には役に立たない


地上「防潮壁」に防御力はない! 

 

前回の説明でこの直立式防潮堤のデザインでは津波侵入に役に立たない事は分かってもらえたと思う。(あやふやな説明会=2)。




地下「鋼管杭」の強さ、緻密さを示すべきである

 直立の防潮壁の防御力もさることながら「全長1,600m計画の地下鋼管杭図はまだら模様で津波によってどこから崩れても不思議はない」あやふやな説明会=2といえる。それは全長1,600mの防潮堤予定地の地盤構造の複雑さとそれに合わせた鋼管杭配置と工法が十分に津波襲撃の実態に即応していないからである。──そこのところが説明されていない。設計者自身が分からないようだ…。そういうことでは防潮堤は何の役にも立たない。



一体性がなく実現性がない

 


直立堤防の崩落例 釜石市唐丹町小白浜
ブログ<防潮堤を勉強する会-気仙沼市>より 


ただの一カ所でもそれが崩れたとき鍬ヶ崎地区全体がどんな事になるか? その悲惨さはだれでも分かる事である。全長1,600mの地上、地下の一体性および強度の同質性を絶対的に保持する必要がある。しかし、そのためには鍬ヶ崎港沿岸は障害が多すぎてリスクが高すぎる。

施設物(防潮堤)の建設があまりにも市街地に接しすぎているということも問題だ。市街地の生活域を直立式防潮堤の立地場所にするというリスクを含めて、この計画には現実性がないといえる。




(14)につづく

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