すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

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決算審査特別委員会病院事業特別会計分科会の現地調査①厚生病院

2013年11月10日 | 日記

 決算審査特別委員会病院事業特別会計分科会の現地調査で厚生病院、中央病院を視察しました。鳥取県議会は決算審査の結果を新年度予算に反映するため、9月議会で決算案の審査を始め、11月議会で採決することにしています。2議会にまたがって詳細に審査するのも「目を皿にようにして決算審査をして、無駄を指摘して下さい」という片山前知事の意向を受けたものです。このように決算審査を大事にするのが鳥取県議会の特色です。

 病院事業特別会計分科会は6日、倉吉市の県立厚生病院、鳥取市の県立中央病院を訪れ、現地調査を実施しました。県議会の審議では病院局が説明しますが、現地調査では院長先生や看護師さんら医療スタッフから直接お話しをお聞きすることができますので、医療政策を考える上で貴重な機会だと思っています。現地調査は厚生病院から始めました。

 

病棟の6床室です。厚生病院は300床の中規模病院ですが、病室の構成は6床室36室、4床室4室、2床室1室、個室54室で、6床室が中心です。6床室は6.2㎡/床しかなく、基準以下の狭隘さです。しかも、病室の照明は天井に蛍光灯2本の一箇所とベッドサイドのみ。夜間に注射するときは暗いと感じるんだそうです。しかも、酸素と吸引の医療ガスアウトレットは2箇所しかなく、Y字管を使っても足りず、ポータブル酸素吸入器を使ったりするんだそうです。そうなると狭すぎるんだそうです。治療の邪魔になるのでポータブルトイレも夜間だけ持ってくるそうで、その分も看護師さんたちの負担です。重症患者ほどナースセンターに近い所に入院してもらっているので、せめて、ナースセンターに近い部屋だけでも4床にして広く使い、アウトレットを増設してもらえれば嬉しいと話してくれました。

 院内保育所です。25人の定員に現在は19人の利用です。保育時間は最長7:30~21:00です。

調理室です。病棟地下にあり、床面積406㎡。昭和61年の設置で、老朽化と狭隘化が進んでいます。管理栄養士4人、調理師等18人が働いておられます。

平成13年にクックチル方式を8700万円をかけて導入したそうです。調理すると90分かけて、3度まで急速冷却し、チルド保存します。メインの料理は配食前30分になると配食ケースの中でヒーターで加熱し、熱々で患者さんの前に出されます。調理後、ヒーターで再加熱するのため、焦げたり、パサパサになったりすることがたまにあるそうですが、温かく食べられるという味覚の面、集中調理による効率化、さらには、衛生管理で優れているということです。

食器洗浄は外部委託されています。

更新されたリニアック(放射線治療器)の操作室です。4ミリオンから10ミリオンへと、強い放射線を照射できるようになったため、患部が体の深いところにあるときは、治療ができませんでしたが、これからは治療ができるようになったと喜んでおられました。

4月に鳥大から着任した井藤院長先生ら病院スタッフの皆さんから話をお聞きしました。

 井藤院長は「6人部屋をなんとかしたい」と繰り返されてました。「県中部の治療圏で放射線治療ができるのは、厚生病院だけなので、今回、リニアックが更新していただいたが、さらに整備を充実していきたい。建物本体は竣工から27年が建っている。建て替え、増築は課題だ。小児の入院ができるはここだけなので、小児医療にも力を入れたい。現在42人の医師がいるが、小児がんや移植医療はは対応できていない。眼科、皮膚科は常勤医がおらず、大学からの派遣でしのいでいる。医師1人あたり5床が中核病院の標準だが、現状は6.2床だ。これも改善したい。このように課題もあるが、改善すれば、もっといい医療を提供できるようになる。しっかり頑張りたい」などと話されました。

 意見交換の中では給食設備と病床の狭隘化が指摘されました。

 平成13年にクックチル方式を導入したが、床面積は406㎡しかなく、機械設備が大きいクックチルだと狭い。耐用年数はまだ10年あるので、すぐすぐとはならないが、給食施設は改修を検討するための予算を検討しているとのことです。

 療養環境は、6床室が狭い。6.2㎡/床。基準は6.3㎡/床。酸素と吸引からなる医療ガスアウトレットは6床で2箇所しかない。分岐管を使っても、2床はポータブルで対応。ナースセンターに近いところだけでも改修が必要との指摘もありました。11月補正予算でナースステーションに近い所に2つないし、3つ増設を考えているということですので、議論したいと思います。1病棟に50床あり、一番使っている病棟は25床で使っていますが、急に必要になることもあり、半分あればいいという問題ではないそうです。 

 全面改築は時間がかかるので、厨房棟を作って、そのうえに病棟を少しでも作ってはどうというアイデアも出てきました。そうなれば、現在の病棟は6床室を5室としての運用ができるので、狭隘化の問題も解決に前進します。厨房と病棟の新館を駐車場の一角に建てるのも一案だと思いました。

 医療スタッフにちては小児科医を1人増やしたということです。産婦人科医師は常勤3人と非常勤1人の体制でしたが、医師1人が産休となって心配していたが、補充ができたそうです。一昨年の分娩数は583でしたが、昨年は683に増加したが、これは市内の医療施設の改修があったためで、今年はそこまではないと見ているそうです。内科医はもっと増やしていきたいとも言われました。眼科、皮膚科では常勤医がいない状況が問題との発言もありました。医学部の入学定員は全国で1000人増えたので、いずれ大都市では医師が余ってくるだろうし、鳥大に設けた地域枠からの卒業生も出てくるので、未来が暗いとは思っていないそうです。鳥大は県内の研修病院を第一に考えており、今後も、連携を強化していくことの重要性の認識では意見が一致しました。

看護師も定足を充足したそうです。来年も23人の採用を予定。離職率は5%と他の医療施設に比べるとかなり低く、問題はないそうです。ただ、コメディカルについては定数割れなので、追加の採用試験を実施したいとのことでした。

 未収金については、休日医療も預り金を採用した。補助金などを紹介して発生の抑制をしているそうです。発生後は電話催告を3会し、督促状を配布し、個別訪問を2回実施し、それでも、だめなら再度、督促状を配布して、弁護士に委託している。戸別訪問は盆、正月前後に事務局長以下、事務職員全員で回収しているとのことで、着実に実績を出しているとの報告もありました。 

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決算審査特別委員会病院事業特別会計分科会の現地調査②中央病院 

2013年11月10日 | 日記

 決算審査特別委員会病院特別会計分科会の現地調査は、午後から場所を県立中央病院へ移して調査を続行しました。県立中央病院について、当分科会は昨年、狭隘化、老朽化が激しく、日進月歩の医学の世界で、最新の医療機器を導入できないよう現状を考えると建て替えを検討する時期ではないかと文書指摘したところ、外部識者も入った病院の基本機能を考える調査委員会を立ち上げていただき、平井知事も、平成30年を目標に新病院をオープンしたいと発言いただくなど、新築計画が動き出しました。それだけに現地調査にも力が入ります。まずは日野院長先生の案内で病院内を見学しました。

 屋上から敷地の南側を見たところです。この森のような場所に新築したいとうことです。約5000㎡あり、広さでは問題はないそうです。ただ、この写真でも分かるように、千代川の河口近くにあり、津波や台風での被災することはないのか、しっかり議論する必要がありそうです

 

 6階に整備された12床の新生児集中治療室(NICU)です。小児科医が24時間常駐し、重症の低出生体重児らの治療にあたります。医師の仮眠室は特注のとても狭いベッドでした。頭が下がる思いがしました。

5床室で、厚生病院に比べ、明るく、ゆとりがあるように思えました。

1階に新設された救命救急センター。14床あり、4対1の看護体制が取られています。人工呼吸器、超音波診断機器、血液ガス分析器、大動脈内バルーンパンピング装置など最新鋭の医療機器が整備されています。

院内保育所です。通常保育は15人、病児保育4人で、保育時間は通常は7:30~19:00、延長保育が19:00~21:00、夜間保育21:00~7:30と24時刊体制です。

給食施設です。これはご飯を炊くお釜。300食弱を提供していますが、クックチルは採用していません。厨房の面積は206㎡。調理器具は十分だそうですが、盛り付けをする配膳台が狭いのが課題だそうです。

医療スタッフの皆さんからお話を伺いました。

 会議室で日野院長先生ら病院スタッフから聞き取り調査しました。日野先生は「病院の建て替えが決まって、職員の気分が変わった。安心の医療、また、安定した経営に心がけていきたい」と力のこもった挨拶をいただきました。

 中央病院は5疾病6事業の内、がん、脳卒中、急逝心筋梗塞の3疾病、小児医療、周産期医療、救急医療、災害医療の4事業を中心に対応しています、血液のがん、再建外科、糖尿病網膜症の専門医をおいているのは県内ではここだけでだそうです。

 平成23年11月策定の地域医療再生計画で日赤病院との機能分担を決め、今年1月に知事と日本赤十字社鳥取県支部長の間で病々連携協定を締結。日赤の488床を88床減らして800床にし、中央病院は現在、一般病床417床、全病床で434床ですが、日赤分を引き受ける構想で、87床で厚労省の許可を得られそうだということです。新築については今年2月、外部有識者も含め、機能強化への検討を始め、病院機能の基本構想がまとめた段階で、今後、箱物をどうするかという議論に移っていくとの報告を受けました。現場の要望が強いPET-CTの導入は現時点は難しく、新病院で対応したいとのことでした。

 知事は平成30年度くらいに新病院を開院したいと言っていることから、医療スタッフは増床する開院に向けて増やしていく計画だそうです。新たに40人~50人必要だとそうです。病院を経て外に出た人をリクルートしているとのことで、研修医も増やしているそうで、医師の採用は鳥取県に残るか、鳥大医学部に入局することを条件にしており、今年から2人増やして14人にしたそうです。鳥大の特別養成枠で27年度から卒業生が出るそうで、毎年7人出てくる予定だそうです。民間病院の不足分は19人なので、3年で埋まり、それ以降は中央病院に回ってきてくれると期待しているそうです。救急医は総合診療医として育てていきたいそうです。医師とナースの職員留学制度を設けたが、若者には魅力的で、鳥大の医局でも関心が高いそうです。 

 新病院への希望をお聞きしたところ、病院の意匠よりも、医療機器にお金をかけたいそうです。これからの医療の見通しを立てた時に、がんと脳卒中、心臓病が中心になっていく。中央病院は地域がんセンターとなるべきだと読んでいる。東部地域のがんセンターとしては低侵食治療が重要になる。内視鏡とかダビンチとかを入れたい。それに対応して手術室は倍にしたい。放射線治療の装置も高度化したいし、2台体制の診療を構築したい。PETーCTも導入したい。脳卒中センターも作りたい。心臓病センターも想定したい。小児科と周産期医療も大事にしたい。救急のレベルも上げていきたい。50~60床を救命救急とICUにしたい。救急は総合診療科のようにしたい。救急外科を充実したい。小児救急は、ここに居て、今は外に出ていた医師を戻して担当させたい。災害対策は地震と津波が重要。電源とか、給食室とか、重要なものは2階以上にあげたいと思っている。

 未収金は電話や来訪は効果がないため、来院時に支払いを催促しているとのことでした。分科会の委員からは、盆と正月を中心に事務局長を先頭に自宅への訪問を繰り返している厚生病院と比べて、中央病院は対応が甘いのではないかと厳しい意見が相次ぎました。

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