福祉生活常任委員会の予備審査で、生活環境部から「永続可能な地下水の利用を目指す条例」の要旨が説明されました。
取水について届け出制を採用し、問題の生じた地域では基準を設けて、その履行を業者に求めるほか、協議会を設けて水質や水位のモニタリング調査を行うというもので、違反者には罰金も盛り込む内容です。9月議会に上程を目指して、パブリックコメントなど作業を進めたいちうものです。
地下水を県民の財産と定義して、利用について一定のルールを作るという方向性には賛成です。しかし、その内容はまだまだ議論が必要です。まず、県内の地下水脈の調査は鳥大に委託してなされましたが、詳細に解明するには細かなメッシュでのボーリング調査が必要で、その経費が莫大になることがわかり、実態解明までには至っていません。ただ、降水量や河川の状況、地形などから推測し、かなりの取水をしても問題はないと結論付けると止まっています。
すでにミネラルウォーターの生産は事業化され、この5年間で県内生産量は10倍となり、日本国内では3番目の生産県です。わからないからといって生産を止めるというのも現実的ではありません。しかし、かわらないのであれば、取水地点からメッシューを切って、モニタリング地点を決め、水位や水質が変化しないか、常時監視し、異変の兆候があったらすぐに対応が取れる体制を構築することが大事だと思います。井戸が枯れた、川の水量が減ったなどという目に見える現象が起こってからでは、遅いからです。
加えて、モニタリングなどをする協議会は事業者で構成し、県や学識経験者がオブザーバーで参加するというのも理解できません。受益者負担で協議会の運営費を、各事業者にお願いするとしても、監視・評価する部分は事業者から切りはした第三者機関にしないと県民の皆さんの信頼感はないと思うんです。そういったことを考えると、この条例は拙速に制定すべきではなく、慎重審理したうえで、結論を出すべきと考えています。