すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

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鳥取市庁舎問題を考える②  合併特例債の落とし穴

2012年05月05日 | 日記
 新築移転に賛成する人たちは、有利な財源である合併特例債を使わないと損だと主張されますが、本当でしょうか。
 特例債は市の責任で借りる借金であること忘れてはなりません。まず借りたお金の約34%は市の財源で返済しなければなりません。確かに残額は今後20年間返していく間、国が交付税で助けてくれる約束ですが、この交付税が曲者です。

 交付税がいくらくるか、その内容が明示されたことは、これまで一度もありません。地方自治体が必要とする額に、約束した交付税の額を加算し、そこから市税など自主財源分を引いた額を、総務省(以前は自治省)が計算して支給してくれるのですが、もし、この原則通りなら、市の単独事業以外には地方自治体に借金が残るはずはないわけです。ではどうして、どこの自治体も多額の借金に悩んでいるんでしょうか?国の予算賀決まり、交付税の総額が決まると、その総額に合うように地方自治体の必要とする額を低く見積もり、自主財源を高く見積もって、交付税を減額修正したいたからなんです。それでも、誤魔化しがきかなくなって、臨時財政対策債という制度を作りました。これは、交付税として渡さないといけないが、財政難で渡すことができなので、返済する時に交付税措置をするから、とりあえず地方自治体の責任で借金をしておいてくださいというものですが、本当に後年、交付税措置をしてくれるのだろうかという議論が鳥取県議会ではあり、できるだけ、少なくしていくべきだという主張がなされました。

 難しいので、例え話をします。10万円の仕送りを受けていた娘が「車を買うので2万円増やして」と父親に頼みました。「いいよ」と応じてくれましたが、翌月の仕送りは9万円に減っていました。文句を言うと父親は「約束通り2万円は送ったぞ。でも、こっちの生活も苦しいか、本体の仕送りを7万円に減らしたんだ」と取り合ってくれませんでした。

 10万円は元の交付税。2万円が合併特例債や臨時財政対策債の償還に充てられる交付税と思っていただければ、話が見えてくれると思います。

 「国が嘘を言うわけがない」と言われる人もいますが、8年前の三位一体の改革では、地方への国庫補助金などが約9兆円減額されましたが、地方に移譲された財源は3兆円でした。そして、このカラクリを教えてくれたのは片山元総務大臣です。「総務大臣が言っているのにどうして信じないの?」と笑っておられました。

 平成27年以降、鳥取市の交付税は特例期間の10年間が終わり、特例増額分の約48億円が減額されます。明示部分でも48億円減額され、隠れた部分でも減額されます。合併特例債はあくまでも鳥取市の責任で借りる借金です。国の財政再建が本格化すれば、交付税改革も議論の対象になってきます。それなのに、なぜ市職員や合併推進派の市会議員は、合併特例債を使わないと損だと言われるのか、私には理解できません。交付税について勉強不足なのか、それとも、意図的に隠しているのか。いずれにしても、市民には迷惑な話だと言わねばなりません。
コメント (2)
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