すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

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北京・河北省訪問記(第三日)その2 河北省農業局

2011年10月25日 | 日記
 25日午後には河北省農林局を訪問しました。
 孫鳳国副局長の司会で和やかに意見交換会が始まりました。


 最初に挨拶に立ち、河北省の林業を説明したのは王海洋局長です。以下は説明の概略です。
「林業局は省政府に属していて、その任務は森を創ること、森を管理すること、森の自然を守ること、動物について保護を与えること、そして、果樹生産を支えることです。今、65人の職員がおります。少ないと思われるかもしれませんが、大半の森は各管が管理しており、林業局は河北省で一番大切な森林を管理しています。
まず、第一の業務は森を創ることです。河北省の隣は北京と天津であり、他省よりも重要であると認識しており、北京の中央政府からもそのように指示が来ております。特に防災が重要です。北京は砂漠の中にあるという状況ですから、まず、北京市を取り囲むように森林を創り、砂漠化を防止する使命をいただいています。それから、農業生産専門の森(果樹園?)を作って、中国から輸出しています。モンゴルの砂漠化についても、森を作っています。河北の東側は海です。ここにも森を作っています。このように河北省の大事なところに森を作るのが私たちの責任です。河北省の面積の26%は森林です。北方の砂漠化対策を重視していて、砂漠化した土地の面積は減少しています。
 第二の業務は森の管理です。有害な虫から森を守ること、病気が蔓延することを防ぐことです。この課題ですが、被害はだんだん減ってきています。
 第三の業務は林業という産業を発展させることです。特に果実の生産は年間116億元(約1300億円)の生産高があり、中国でも1位か、2位の水準です。生産量が多い順は、1位が梨、2位はナツメ、3位は栗で、4位は柿です。去年、木材と果物の生産高は全部で694億元(約8300億円)でした。日本の支援は重要なことです。鳥取の皆様の支援があればこそ、ここまで、こられたと思っています。
私の夢は、次の5年間で、森林面積を31%まで増やすことであります。」

 続いて、葛会波副局長が説明に立たれました。以下は説明の概略です。
「私からは技術交流について説明します。中日の交流の歴史は長いです。中国の江沢民主席が日本の小渕総理と話し合ってから、森の交流が始まり、12年くらいになるでしょうか。森林技術協会、日本の海外を支援する様々な協会、地球緑化センター、トヨタなど日本の企業・団体による森作りへの協力は省内の19の市と県でなされています。これまでに日本側は森を創るために11億円の投資をしていただきました。それだけではありません、日本の森作りの技術レベルは高く、中日交流の中で両省県の技術交流は重要です。
 林業局は鳥大とも交流をしています。両省県は人的な交流もしています。林業分野では50人くらいの人が日本へ行き、学んできました。日本からは2000人のボランティアが中国に来てくれ、林業における友好は深まりました。人的交流をすれば、両省県民の中に友達ができます。もっともっと交流を深くしたいと思います。
 友好提携25周年になります。これまで友好を深めて参りましたが、もっと沢山の方面で交流を深めたいと思います。森を創ることで、もっと交流しましょう。小渕基金をもっと河北省で広めて欲しい。今後は特に梨を通じての交流をしたい。鳥取県は日本一の梨の生産地で、技術レベルは本当に高いので、この分野での交流は是非とも深めたいと思います。鳥大は専門の研究室をお持ちですので、勉強する機会を創りたいと願っています。

葛副局長が話し終えると孫副局長が「中国、河北省では防災は重要な課題で、大きな資金を投入している。一緒にやっていただければと思う。森を創るべきところは、たくさんある国です。環境を改善する活動も、人民レベルの動きをバックアップしたい。防砂治砂については、中央政府も重視しています。胡錦濤主席も、朱鎔基首相も深いを関心をお持ちでした」と新たな視点を提示してくれました。

河北省の林業を紹介するDVDを観た後、意見交換会に移りました。

 伊藤議長は「以前、承徳市を視察した時、植林した苗木1本1本に水溜が作られていて、1本1本の木を大切にする心配りに感銘を受けました」というエピソードを紹介した後、①森を創ることは水を創ることになる②日本の家屋は木で建てる③急傾斜地は一気に海まで雨が流れ出るが、森があれば地下水を滋養する④豊かな森から流れ出た栄養を含んだ水が豊かな海を創る……このような理由から日本では森を大切にしてきたが、今は様々な問題を抱えている。交流を深める中で共に解決を模索したい話されました。交流が始まった25年前、伊藤議長は県農林水産部の課長補佐。課長、部長、そして、議員として交流の中心にいただけだって、思いがこもっていました。王局長は「素晴らしい演説でした。議長は教授ですね。私も2度日本を訪れています。林業では日本の方が進んでいます。今、様々な課題を抱えてはいるが、日本人の真面目な姿勢を深く感じている」と手放しの賛辞でした。

 以後、私たち議員の質問に移りました。松食い虫対策、後継者の問題、人的交流との促進など各議員が様々な質問をし、林業局の皆さんが丁寧に説明していただきました。私が質問したのは鳥取県産材を河北省に輸出する可能性があるかどうかです。日本での木材価格は1立方メートルあたり、高級材でも1万円を切るような状況だが、7000~8000円なら、鳥取県産材を使ってもらえないだろうかと聞きました。


 王局長は「中国の森林資源は大きな価値を持っているので、天然の樹木の伐採は禁止されています。中国は急速に発展しているので、木材は多くの用途で必要とされています。河北省としても、外国や他の省から輸入したいと思っています。現に日本から中国へ輸出している会社もあります。中国の木の値段は、木の種類やレベルで違うので一概には言えないが。可能性はあると思う」と肯定的に答えていただきました。しかし、葛副局長は「中国での木の用途は住宅でなく、紙(パルプ)と家具。最高級のマツ材なら、1立方メートルあたり1000元以上で取引されるが、普通の木なら7元(約84円)。鳥取の価格なら難しいと思う」と否定的でした。私が残念がると次のように王局長がフォローをしてくれました。
「中国に輸入した木材はとても高い値段になるだろう。今、中国にはお金持ちがたくさんいる」。高級材で作った家具を買いたい人は一部かもしれないがいるが、家具の見本市などで輸入した家具を見たことはない。北京には日本の家具が少し入っているようだが、石家荘にはそんな市場や企業はないので、いいのではないか」
後継者問題についても、「中国でも大きな課題。国は人口が大きいうえ、大都市にはたくさん人が住めるスペースがなく、まだ、地方に止まっているので現時点では大丈夫。河北省の人口の20%は林業です」との認識も示していただきました。
 林業局の皆さんの誠実な対応で有意義な意見交換になりました。
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北京・河北省訪問記(第三日)その1 河北省農林科学院(意見交換の詳細)

2011年10月25日 | 日記


 25日午前訪問した河北省農林科学院の意見交換会では、様々な意見が出来ましたので、その御報告です。まず挨拶に立たれたのは鄭彦平副院長です。


「1986年に両省県が友好締結して以来、実行ある交流がなされてきていますが、特に農業と林業の交流は素晴らしいものでした。1987年以来、鳥取県は100人を超える研修生、研究生を受け入れてくださいましたが、今、この研修生、研究生が河fg北省の農業、林業の研究の中心にいますし、河北の新しい農業を切り開くパイオニアとして農地に立っています。鳥取県の支援でないと河北省の農業の建設はありえませんし、農林科学院にもご協力いただいています。農業技術の研修が始まったとき、院長も行かれていますが、その時、伊藤議長は、まだ課長で、窓口になってくださいましたが、若者でした。その結果、梨、柿の栽培技術において、両省県の技術者が協力して成果を挙げています。ニシムラ、ワセ、ハナゴショガキという日本の品種が河北省で栽培されるようになりました。その先頭に立たれた伊藤議長に深く感謝申し上げます。中日は一衣帯水の間柄です。もっと広範な分野で、深く農業の交流を続ければ未来は明るいものになるでしょう。引き続き、両省県が努力を続けていけば、もっと大きな成果をえることができるでしょう。皆さんを熱烈に歓迎します」
 伊藤議長が答礼の挨拶に立ち、25年の交流を「邯鄲の夢」の故事を引きながら振り返り、「これまでに築いてきたのは土台の上に、さらに交流を深めましょう」とはなされました。それ以後、議員の質問に農林科学院の皆さんが答える形で話が進みました。
 質問は「森林の病害虫で苦労しているが、河北省はどうなのか」「後継者問題は中国ではないのか」などでしたが、それぞれ丁寧にお話いただきました。私はまず、「河北省は果実生産が盛んだが、鳥取算の梨や柿をかってもらえるだろうか」と聞くと、「大丈夫。もうすでに日本から来た果物は、スーパーの店頭にならんでいますよ」と鄭副院長に笑顔でお答えいただきました。


 さらに、「日本では無農薬で化学肥料を使わない農法が評価されてきていますが、河北省ではどうですか」「鳥取でも漢方薬の栽培を始めた農家があります。本場に河北省に輸出できる可能性はあるでしょうか」という2点で考えをお聞きしました。この質問には、2年に鳥取で研修した謝暁亮研究員が答えてくれました。「私は鳥取で6ヶ月生活し、梨と花の栽培技術を勉強しました。河北省ではたくさんの花の品種が栽培されていますが、このときの勉強が生きています。河北省では15万ヘクタールで漢方薬の原材料を栽培しています。品種にして100種類はあります。河北では一番大きな市場が安国市にあります。ここでは200種類を超える漢方薬が販売されています。科学院では栽培技術と加工技術の研究をしていますが、河北省内での栽培の指導もしています。私は約10種類の新しい漢方薬草を作りました。今、指摘されましたが、課題は農薬と重金属です。農薬を出来るだけ減らし、化学肥料をできるだけ押さえる栽培をしたいと思っています。それをルール化して定めようと研究をしていて、この標準栽培を進めていこうと思っています。漢方薬は輸出していますので、農薬には厳しい決まりを設けています。禁止された農薬は絶対使わない、使っていい農薬も最小限使う、推奨している害の少ない農薬を普及していく、以上の3つです。リンゴや梨は袋をかけて、農薬を散布しても残留農薬を少なくするなどの工夫もしています」と教えていただきました。
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北京・河北省訪問記(第三日)その1 河北省農林科学院(概略)

2011年10月25日 | 日記
 三日目の朝は黄砂が舞っていましたが快晴です。


午前中の訪問先は河北省農林科学院です。着くとそれは立派な高層ビルで驚きです。


 中に入ると電光掲示板に、歓迎の言葉が踊っていました。


 議員団の会談には・鄭農業庁次長はじめ、農業庁や農林科学院の研究者の皆さんが勢揃いしていただきました。


 参加者の多くが農業交流が始まった1987年以来、鳥取県に農業研修にこられた方々で、伊藤議長は農林水産部の課長補佐時代から、ずっとこの交流を支えてこられたので喜びも一塩のようです。午前中は意見交流の時間で計画していましたから、私も素朴に思っていた疑問、漢方薬の栽培の現状や鳥取県で産業かできるか、さらには、鳥取の農産物を中国で買っていただきために解決する課題、農薬と化学肥料をどう考えるかなど質問しましたが、皆さん、「もう昔のことなどで日本語を忘れてしまってごめんなさいと言いながらも、ほとんどの人が日本語で丁寧に説明していただきました。


 また科学院の中にある博物館も案内していただき、河北省の農業の現状を考えさせていただきました。


 昼食も一緒にいただいたのですが、皆さん、日本語ができるので意見交換はかなりのものになりました。25年という月日の長さ、最低でも6ヶ月間鳥取に滞在したことによる鳥取への親しみは、これは鳥取県の大きな財産です。県議会としても、この財産をどう未来につなげていくか、しっかりと議論をしなければならないと肝に命じました。


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