ととじブログ

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潮騒 / 三島由紀夫

2020-03-03 06:27:31 | 本/文学
NHKの連続テレビ小説、いわゆる朝ドラで、2013年に放映された『あまちゃん』。
その中で、作中作品として映画『潮騒のメモリー』が登場する。
そして、その主題歌『潮騒のメモリー』の歌詞に、
『来てよ その火を 飛び越えて』
(作詞:宮藤官九郎)
という一節がある。

これが何を意味するのかは、福士蒼汰演じる種市浩一(たねいち こういち)が能年玲奈演じる天野アキ(あまの あき)に言うセリフ、
『潮騒って三島由紀夫だべ。三島の恋愛小説で、映画化もされた名作だ。その火を飛び越えて来いというのは、その中のセリフだ』
で明らかにされている。
『来てよ その火を 飛び越えて』は三島由紀夫の小説『潮騒』の中の1シーンから来ている。

『潮騒』の中の1シーンとは、こんな感じ。
主人公の新治とヒロインの初江。
嵐の日、密会するために、二人それぞれ人里離れた廃墟に向かう。
最初に着いたのは新治。
暖をとるために焚火を焚き、初江を待つ間にうたた寝をしてしまう。
遅れて初江が到着する。
うたた寝をしている新治を見て、濡れた服を脱いで焚火にかざし、上半身ほぼ裸の状態で焚火の前に立つ。
新治が目を覚ます。
それに気がついた初江が叫ぶ。「見ちゃいや! 見ちゃダメよ!」
<体がかゆくなってくる展開なので、省略>
焚火を挟んで、ほぼ裸の状態で向かい合う新治と初江。
初江が叫ぶ。
私のところに来たいなら、
「その火(焚火)を飛び越えて来い!」

上に書いた種市のセリフには続きがあって、
『…そのあと、二人は抱き合うんだ』

抱き合って、それから…いやまぁ、ネタバレになるので、このぐらいにしておこう。

「その火を飛び越えて来い!」のシーンが象徴するように、『潮騒』は純愛小説だ。
新治と初江の二人だけでなく、新治に想いを寄せていた千代子も胸がキュンキュンするような純愛少女だ。

何だこれ!? 全然三島っぽくないじゃないか、と、いや、三島はほとんど読んだ事が無くて知らないのだが、一般的なイメージで、全然三島っぽくないじゃないかと思って、解説を読んでみたら、やはり、っぽくない、三島としては特異な作品のようだ。

この純愛小説は何度も映画化されていて、その内の一つ、1975年に公開された作品は、一時代を築いたコンビ、山口百恵&三浦友和が主演で、それぞれ初江、新治を演じている。
小説を読み終わった後、勢い余ってこの映画まで観てしまった。

映画を観て思ったのは、三島由紀夫ってよくわかんないけど、やっぱ偉大なんだな~と。
あ、これ、そんなに深い意味はないので、はい。

潮騒 (しおさい)
著者:三島由紀夫 (みしまゆきお)
発行所:新潮社
新潮文庫
昭和30年12月25日 発行
昭和60年9月15日 改版


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