ととじブログ

書きたい時に書きたい事を書いている、あまり統一感の無いブログです。

坂田莉咲 (48) ~はるちゃん、あのね (2)~

2020-09-22 14:02:47 | さかたりさ
7月5日に上映された『はるちゃん、あのね』の背景付き編集版が9月12日~20日に、STAY HOME MINI-THEATERmu-mo Live Theaterで公開された。

『はるちゃん、あのね』
作・演出:鳥皮ささみ
出演:
坂田莉咲(まるちゃん役、以下まる)
今川宇宙(はるちゃん役、以下はる)
青矢修(やえちゃん役、以下やえ)

以下、作品についていろいろ書いていくが、どんなストーリーかという説明はしないし、ストーリー全体を体系的に解説するわけでもないし、それでいて部分的なネタバレがあるので、ご注意を。

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最初のシーンは「(まること、まるやままりこが)十年間生まれ住んだ阿蘇市から天草市に転校して二日目、極度の人見知りで未だクラスメートの誰一人として喋れとらんにも関わらず、天草釣り堀レジャーランドに遠足で訪れた時の、お弁当の時間」。

クラスメートから離れ、一人さまようまる。
お弁当やおやつ、シートなどが詰まっているのであろう、本来なら楽しい遠足を象徴する物であるはずの、やけにデカいバッグが痛々しい。
さらに、はるとやえの会話から聞こえてくる「遠足で怒る人なんてこの世におらんよ」という言葉がそれに輪をかける。

そんなまるに、友好的とは言い難い乱暴な言葉ではあるが、初めて明確な形で声をかけているのは、実はやえ。
「こぎゃんとこで、どぎゃんしたと?」という、はるのこてこての熊本弁。
「まりこ、まるやままりこばい」と言うまるに、‘まりちゃん’ではなくなぜか「じゃあ、まるちゃんだね」と、ゆるぎない笑顔でまるに手を差し伸べる、はる。
近づいてきた先生から、まるを連れ、はるを置き去りにして逃走するやえ。
色々と示唆に満ちているのか、そういうわけでもないのか、いずれにしても面白い幕開けのシーンだ。



三年後。
第二のシーンは夢の国。
底抜けの明るさではしゃぐやえとまる。
海賊になる! と宣言するやえだが、後にまるに「(やえは)人生の大半はニートで過ごすことになる」と明かされる。
対比が面白い。
また、この作品の骨子とも言うべき、まるの重大な告白があるシーンでもある。

三年後。
第三のシーンは高校卒業。
高校の卒業式は桜が咲くよりも早い時期だと思うが、少し冷たそうな空気の中で咲いている満開の桜が、今までの楽しかったはるとの時間やこれから先のちょっと寂しく不安な時間を思うまるの心情を、ざっくり言うならば‘別れ’を象徴していて、よい背景だと思う。
もっとも‘別れ’とは言っても、まるとはるの縁が切れてしまうわけではないけれど。



三年後。
第四シーン。
事務服、というより作業服か?
作業服姿の坂田を見る機会はそうそうないだろう。
何を着ても似合いますなぁ。



華やかな東京暮らしをしているであろうはるに思いを寄せつつ地元熊本で暮らすまる。
そのはるから、ショッキングな報告を聞き意気消沈するまると、それに寄り添うやえ。
やえの優しさに触れながら「やえちゃん、ニートなんに優しかね」、飲みに行こうというやえに「そぎゃんお金無かろう!」と返すまる。
けっこうひどい事言うなと思いつつ、ここから、はるとはまた別に、やえがまるの支えであることを彷彿とさせる。
その二人の背景にはMaxValu。
いい。
うまく説明できないが、このシチュエーションに夜のMaxValu以上にハマる背景は無いように思う。



三年後。
第五シーン。
はるの結婚式に伴い再会する三人。



三年後。
第六シーン。
はるに第一子。
ちなみに前シーンからはるが消え、このシーンで登場するまでの時間は約46秒。



三年後。
第七シーン。
やえニート卒業、というのはウソだった。



三年後。
第八シーン。
はるに第二子。
第六シーンから約11秒。



三年後。
第九シーン。
やえニート卒業。永久就職。結婚か?
先にまるの「ちなみに、やえちゃんはこの後もしばらくニートで、というか人生のむしろ大半はニートで過ごすことになる」というセリフがあるのだが、結婚したのであれば無職であっても、通常はニートではなく専業主婦と呼ぶ。
またラストシーンでは、まるはやえの事を「相変わらずニートの親友」と呼んでいる。
これは何かの布石か?
それとも、特に深い意味は無いのか?
第七シーンから約13秒。



三年後。
第十シーン。
はるに念願の女の子。
第八シーンから約13秒。



そして、33年後。
ラストシーン。



退場。



トークショーより。







舞台挨拶とトークショーによると、7月5日の上映までに、次のようなステップを踏んだということである。
7月4日 ゲネプロ
7月5日 グリーンバックによる撮影
7月5日 上映(ライブネット配信)

今回の背景付き編集版は上映前に収録されたグリーンバック版が基になっているので、前回の上映版とは違う。

編集版と上映版を比べると、セリフ回し、間の取り方、表情等々随所に進化の跡が見られ、これで終わってしまうのは、本当に名残惜しく、再演を期待したい。

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2023/03/08 最終更新


いわき市~小玉ダム~鬼ヶ城伝説

2020-09-04 07:27:49 | 社会/地域
福島県いわき市にある小玉ダム。




このダム湖の壁面に鬼の絵がある。
写真を拡大すると…



この地域に伝わる鬼ヶ城伝説にちなんで作られた物らしい。
その伝説というのは、ダム湖岸の駐車場にプレートがあって、そこに書いてあるのを読んだんだけれど、写真を撮らなかった。
なので、細部をはしょってとても簡単に説明すると、次のような感じ。

近くの山に鬼が住み着いていて、里に下りて来ては悪さをする。
征夷大将軍として有名な、あの坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が鬼を退治するということになった。
鬼の方も仲間を集めて迎え撃つ構え。
坂上田村麻呂が鬼との戦いに勝利し、以後鬼達に悪さをしないように誓わせた。
めでたしめでたし。

これ、鬼ヶ城伝説なんていうファンタジーなベールに包んでいるけど、もう明らかに坂上田村麻呂が蝦夷を武力で制圧した話じゃねぇーか。
こういうのを無批判に垂れ流してへこへこしてるような根性だから東北はダメなんだよ、超ムナクソ悪いぜ。

…と、思ったんだけど、本当にそうかな? と、家に帰ってから色々調べてみた。

すると、坂上田村麻呂の時代、蝦夷の居住地は、現在の岩手県奥州市より北方。
つまり、小玉ダムは福島県にあり、福島県は岩手県よりずっと南にあるわけだから、小玉ダム周辺地域はすでにこの頃、坂上田村麻呂を派遣した奈良だか京都だかの奴ら(※)の支配地域だった。

また、この鬼ヶ城伝説というのは、小玉ダム周辺ではなく、同じいわき市内にある「鬼ヶ城山」の方が主流で、さらには近隣の田村市にある「大滝根山」にも同じような伝説が残っている。
もっと深く調べれば、他にいくらでもありそうである。

というわけで、推測。
坂上田村麻呂の時代、蝦夷の居住地は現在の岩手県奥州市より北方だったというのは大雑把な区分けで、例えば今の福島県のように、だいぶ南に位置する地域にも蝦夷が点在して居住していた。
ただ、坂上田村麻呂に好意的な伝説が残っているということは、あくまでも蝦夷は少数派だった。
そして、西国(※)に恭順した住人と少数派の蝦夷との間に、それなりのトラブルがあったのだろう。

※あくまで文脈上の表現です。冗談です。この時代は桓武天皇。