ととじブログ

書きたい時に書きたい事を書いている、あまり統一感の無いブログです。

映画『ヒトラー 〜最期の12日間〜 / Der Untergang』

2018-07-10 21:11:01 | 映画/ドラマ
日本では2005年に公開された。
制作国はドイツ、イタリア、オーストリアで、使われている言語はドイツ語。
アメリカ・ハリウッド映画ではない。
ユダヤ資本によるものではない、あるいは大きな関与を受けていない、ヒトラーを主題にした映画という事で、貴重な作品だ。

ホロコーストが人類史上に残る巨悪であることを否定するつもりは無いし、ヒトラーやナチスに対する同情心などももちろん無い。
しかし、ユダヤ資本によるナチズム否定プロパガンダは度を越しているものも多い。
すべてのドイツ人が悪ですべてのユダヤ人が善であり被害者である、と描くならばそれは違う。
やりすぎだ。
だからこそ、ナチスを肯定するような思想が叩いても叩いても沸いてくるのではないか、と思わなくもないが、まあ、今そんなことは関係無いか。

ヒトラーはウソと恐怖と妄想でドイツを支配した。
天才的なペテン師だった。
戦略眼を持った政治家でも無いし、戦術眼を持った軍人でもなかった。
ユダヤ人を虐殺したり、ソ連を騙し討ちにしたり、アメリカに宣戦布告したりと、余計な事ばかりした。
愚かな独裁者に導かれ、ドイツは破滅へと向かっていく。

以下、大した事は書いていないが、いちおうネタバレかも? ということで…


本作は破滅目前のドイツを淡々と描いているだけだ。
破滅に至った経緯に関して、何の説明もない。
また、おそらくは予備知識も求めていない。
なぜか?
それは、観ればわかるから。
ヒトラーとヒトラーを取り巻く側近達、その他の人々のセリフや行動に凝縮されているから。

愚か者を祭り上げ、愚か者が暴走し、それを止めるすべを持たない愚か者達。
最期の最期、滅亡直前まで続く愚か者達の思考ロジックと行動。
今までずっとそうだったのね、と容易に想像がつく。

本作では、総統秘書(ヒトラーの秘書)のトラウドゥル・ユンゲをアレクサンドラ・マリア・ララが演じているが、最後に、トラウドゥル・ユンゲ本人が登場し、語っている。

 ニュルンベルク裁判で恐ろしい話は聞きました。
 600万人のユダヤ人や人種の違う人々が無残に殺されたと…
 これらの事実は大変ショックでした。
 でも私はそれを自分と結びつけられず、安心していたのです。
 「自分に非はない」
 「私は何も知らなかった」
 そう考えていました。
 でもある日、犠牲者の銘板を見たのです。
 ソフィー・シェル
 彼女の人生が記されていました。
 私と同じ年に生まれ、私が総統秘書になった年に、処刑されたと。
 その時私は、気づきました。
 若かったというのは言い訳にならない。
 目を見開いていれば、気づけたのだと。

かくしてドイツは、第一次世界大戦に続く二度目の敗北を喫し、茨の道を歩んでいくことになるのだが、その苦難は今日でも続いている。

同じ過ちを繰り返さないための「分析」と「反省」。

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※補足
本文中で「愚か者」という乱暴な、侮蔑的な言葉を用いていますが、誇張表現という事でご容赦下さい。
もし自分が同時代のドイツに生きていたら、容易に「愚か者」の一人となっていたかも知れません。
現代のドイツには心より敬意を持っています。


色彩をもたない田崎つくると、彼の巡礼の年/村上春樹

2018-07-02 22:04:31 | 本/文学
ツイッターを見ていたら、村上春樹をネタにした、くそムカつくツイートを見た。

村上春樹が嫌いというのは何の問題も無い。

読んだけれど面白くなかったから嫌い。
それはそうだろう。当たり前だ。人それぞれ向き不向きがあり、感性も違う。
読んだけれど何が面白いのかまったくわからない、嫌いだといくらでも発信すればよい。

読んだ事がないけれど嫌い。
これも有りだ。
興味が無いのに繰り返し名前を聞かされては不愉快だろう。
村上春樹なんて知らねーよ、いい加減にしてくれとこれまた好きなだけ発信すればよい。

では、村上春樹ファンをバカにするのはどうだろう?

条件次第ではこれも有りだ。
村上春樹の作品を熟読し、根拠を示した上で、こんなもんを読んで喜んでいる奴らはバカだ、と。
好きな立場からすれば、バカ呼ばわりされるのは良い気分では無いが、示された根拠に多少なり納得できるところがあれば、反対の立場にいる人の意見として参考になるし、納得できなくても、まぁしょうがないと思う事はできる。気持ちに余裕があるときならば、オレってバカかも知れないな、と思う事もあるかも知れない。村上春樹のファンではあるけれど、正直読んでいてイラっとする事は多々あるし、100パーセント支持しているわけではないのだから。

しかしながら、何の根拠も示さず、しかもご丁寧に村上春樹が嫌いってわけじゃないんだよねと言い訳しながら、間接的な言い回しでファンをバカにする。
しかも、村上春樹とは何の関係もない出来事に関して。
これは容認できない。

「くそムカつくツイート」とは、そういった内容のツイートだった。

最初はがまんしていたが、二度三度とリツイートされTLに表示されるので、堪忍袋の緒が切れて、引用リツイートで反撃してやった。
引用リツイート、フォロー外リプのマナーがどうしたこうしたと能書きたれていたが、そんなこと知るか。
マナーっていうのは、そういうくそツイートをしない、それだけで十分じゃないか?

前置きが長くなった。
そういうわけで、村上春樹の名前を聞いたら『色彩をもたない田崎つくると、彼の巡礼の年』を買って放ったままになっていたのを思い出して、読んだ。

以下はネタバレ有り、かつ、同書を読んだ事が無い人には無益な文。
いや、読んだ人にも無益な文。


沙羅を「手に入れる」前に終わりかよ!
お~い、そりゃないよ!
また放り投げエンドか!

はい、すみません。
くそブログでしたm(_ _)m