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the other side of SmokyGitanesCafe
それとは無関係に・・・。
 




GITANESはアクシデント時の強い味方なのに。
それとは無関係に・・・。


左前方、スーパーの出入り口付近に
黒い車がいることには気付いていた。



この季節に自転車で走るとなると、1時間以上冷たい空気を
吸い続けることになる。
そのせいか、ここ10日程は喉や鼻の奥が痛くて
自転車トレーニングを休止していた。

昨晩久しぶりに自転車に乗ってでかけた。
目的地は10kmほど離れた某駅。往復でも1時間程度だ。





7kmほど走った地点。

左にはスーパーマーケット。左前方にその出入り口。
黒い軽自動車。道路に出るようだが、その車は一旦停止した。

ああ、一旦停止したな。

確認して前を横切ろうとしたときに、その車は発進。
そうすると当然というべきか、左からまともに衝突した訳である。


えっ、私は今、はねられた?


必死にハンドルをコントロールしようとしたがうまくいかず、
身体が浮く。
取りあえずボンネットに乗ってしまえと考え、咄嗟に背中で
ボンネットに乗っかって、その後勢いよく前に押し出されたようだ。
足を地面についたりすると捻挫が恐い。下手に踏ん張っても
ロクなことがない・と思い(こういう場合の一瞬って、かなり長い)
『とりあえず転がった方がいいかな・・・』と思ったときに、
背中から地面に着地。
自分の胸が『ドンッ!』と鳴り、「ウッ・・・」と声が出た。
仰向けに道路のセンターライン付近に転がっている哀れな私。
自然に見上げることになった視線の先には満月があった。

『ああ、この状況にしてはうまく転がれたな・・・。取りあえず
首から上は打ちつけてない。身体のパーツも・・・動く。
ああ、自転車はダメだろうなあ・・・』

車から飛び出してきた女性が、悲鳴に近い声をあげ駆け寄ってくる。
「大丈夫ですか?!大丈夫ですか?!」

ああ、耳元で叫ぶなよな・・・。

上半身を起こしてみた。別に以上はない。
「意識ありますか?!」
「ああ、あるみたい。」

ズボンの左膝に穴があいた。と言っても、手持ちのジーンズのダメージ
加工の穴より小さい穴だが。
膝は痛い。でも動かないわけではない。伸ばしてもどうしても
大丈夫だ。痛いだけ。

前後左右にほかの車が接近していないことはわかっていたので、
ゆっくり立ち上がってみる。問題なし。
膝と左肩、右手首がちょっと痛いような気もする。

「救急車呼びましょうか?!」
「救急車?んーーー・・・。」

手足をグルグル回してみて、動かない箇所がないかどうか確認。
すべて問題なく動く。

狂乱のあと、固まってしまって動けない運転手は
まだ若い女性だった。
私の風体を見て、多分警戒態勢を最高レベルに上げているようだ。
まあ無理もない。

「あのね」
「・・・は、はい?」
「取りあえず、警察呼んでくれませんか?その方が多分アナタ安心
 でしょ?」
「はい、はい・・・」

「取りあえず頭打ってないみたい。骨折もない。」
「はい、はい・・・。」
「普通の会社員だから。恐がらなくていいから。」
「はい、はい・・・。」



警察車両3台到着。警察官8人。
中にはよくみる顔の警察官もいた。
「ああ、あんた!」
「ああ、どうもどうも!」
「あの時のアイツ、あれどうなったの?」
「ああ、結局ヤツはどこかへ飛びましたね。恐い人に
 追い込まれたみたい。」
「あっ、そう。あれ、あんたひかれたの?」
「はい、ボクひかれました。」
と緊張感のない会話の横で、検分は淡々と進んでいた。


当然のことながら、自動車の過失ということになりそうだった。

警官「あとは病院へ行って、診断書を貰って警察へ提出すると
   人身事故ってことになります。診断書を出さなければ
   物損事故。」
私 「診断書をだして人身事故になったら、これって処罰は
   重いんですか?」
警官「そうですねえ、まず自動車運転過失致死になって・・・」
私 「生きてますけど。喋ってるし。」
警官「ああ失敬。傷害ね。」
私 「傷害ね。でもそれって大したことないケガでも?」
警官「んーー、まあ病院で診てもらわないと、何とも言えませんよね。」



家人に電話。「車にはねられたあ。」と言うと、「なんでそんなに
軽い調子なの?」とたしなめられた。
自転車が動かなくなったので、ちょっと遅くなる。多分歩いて二時間は
かかるというと、誰かを迎えに寄越すとのこと。
あ、その手があったか。


ひと通り調べが終ったら、もう警察の役目は終り、
「あとは当人同士で」と、なんだか鹿威しの前のお見合みたいに言われた。



暗くて寒い路上に被害者の私と加害者の31歳主婦。
2歳の子供がいて旦那は介護士で、事故現場の近くに妹がいるらしい。

たまらず再度家人に電話。
私「迎えはまだ?」
家人「まだまだ。」
私「話がまったく弾まないのよ。」
家人「弾む必要はないでしょうに。」



30分後、義父が自転車を積み込める車でやってきた。
ようやく解放される。

私「とりあえず帰ります。明日調子が悪かったら病院へいきます。
  いいですね。」

31主婦「はい、はい・・・。」



どういう訳かほとんど眠れなかったが、一夜明けると身体に数ヶ所
痛い部分があった。本当に時間がたってから痛くなるのだなあ。


普通に出勤していくつか仕事を済ませてから、オフィス近くの外科へ。

レントゲンをパシャパシャ撮ってから問診。

医者「さあ、○○さん。」
私 「はい。」
医者「骨折もヒビも脱臼もなし、水が溜まっていることもなし、」
私 「はい。」
医者「まあ、打撲ですね。」
私 「なるほどね」

保険外扱いになるので、診察代と薬代で二万円弱支払う(立替か)。


診察が終って、先方が契約する保険会社から電話。

ケガのことだから、もう数日様子を見た上で診断書を取って、
警察へ届け出てくださいと言う。
届け出たら加害者は自動的に行政処分と刑事処分をくらうことに
なるのだが、それがもっともわかりやすく、かつ双方の経済的負担が最も
軽く、かつ最も一般的な(普通の)方法だとのこと。保険会社の人は
処分は食らうが、それは運転免許を持っている以上当然負うべき
責任である・とも言った。
また、保険会社が介入するのはすべて警察への届け出が前提になるのだから
保険会社を通すならば、その方法を採る他ないらしい。
そんなもんなのか。


加害者から電話が入った。
今晩ご自宅にうかがいたいと言われたが、取りあえず断る。
昨日さんざん謝られたし、謝罪に来ると言う意思は充分伝わったので、
この先すべて方針が決まってから、改めてお会いしましょう・
何度も言うが、私は普通の会社員です、と言っておいた。

31主婦「で・・・どうしましょう?」
私   「は?何が?」
31主婦「保険使う・・・とか、使わない・・・とか・・・。」
私   「ん?」
31主婦「どうしたらいいのか・・・私、人はねたの初めてなので・・」
私   「私も初めてひかれました。」
31主婦「はい、はい・・・。」

個人的な意見だがという前提で、いろいろ選択肢を提案した。
私「まあ、保険使うとなると警察へ診断書を届け出ることになるね。
  処分はくらうみたいだけど、なんだかそれが一番明快な解決の
  方法だって、みんな言ってますね。その方が安心できる部分も
  あるでしょ?」
31「はい、仰る通りです」
私 「保険料が上がるのがイヤだし、小額だから自腹切るってのも
   あるだろうけど、それで後々問題になることが多いらしいし。」
31「はい、はい・・・。あの、例えば自転車なんかは、同じものを
   買っていただいて、それをこちらでお支払いするというような
   方法なんでしょうか?」
私 「いや、でも『もう自転車なんて恐くて乗れない』って人もいる
   だろうし、例えば破れた服にしても『同じものを探して買って来い』
   と言われても困るだろうし、だからすべて金銭に換算して補償や
   弁済するんじゃないでしょうか。」
31「あ、その通りですよね・・・。」

私 「って、あのなあ、普通被害者に相談するかね?」
31「あっ、ごめんなさい!」
私 「ご主人ともう一度相談しないとダメですね。ボクも詳しくないし
   アドバイスする立場じゃないと思うし。」
31「主人、頼りないんです・・・」
私 「知らんがな・・・。ところで車は大丈夫?」
31「はい、凹んでましたけど。」

私のボディーはやや頑丈にできているようだ。


ドライバーがもし飲酒運転だったり、携帯電話とタバコをもって
運転していたり、事故後の態度が悪かったりしたならば、
私の中の悪魔の羽根が背中に生えてきて、
「簡単に済むと思うなよ」なんてことになって、そっちの方が
いろいろとやりやすいのだが、全然そんな感じではない。

私は行政や司法による彼女に対する罰を全く望んではいないのだが、
先方が保険を使うことを望むなら、私は「ケガをしました」と警察に
申し出なければならない。

まったくもって、矛盾しているような気もするし
第一、面倒臭いことこの上ないのだ。


やっぱり安全運転はお題目ではなくて、
本当に重要なのだ。



今現在身体の数ヶ所が、痛いか痛くないかと言えば痛いのには
違いないんだけれど、それは久しぶりにゴルフへ行った翌日の
筋肉痛よりもマシなのである。



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